学校選びのために(4) 理系学部の合格実績で見ると……[中学受験]

私立中学校・高校の一貫校へのアンケート集計の分析を続けたい。
進路先について、進学者が多い順に学部・学科を聞いた結果については既に触れた。そこでは女子が自然科学系・社会科学系への進路を取る数少ない学校について紹介した。
またその節に、関西の私立中高に比べ、関東の私立中高は文系への進路を取る比率が高い旨を述べた。

では男子校、女子校、共学校で一体「理系に進路を取る生徒が多い」のはどういったところだろうか。

考え方として、まず以下の二つの条件を設けた。

A:卒業生のなかで理系学部に合格した生徒の数が最も多い、つまり理系学部の合格順位が1位である。

B:男子校、女子校、共学校のなかでさらに、卒業生が進学した大学の実績ごとに難関、上位……とグループに分け、グループ内の理系合格数の平均を取ったとき、その平均より合格実績が高い。つまり、同程度のレベルの一貫校と比べたとき、理系に進学する生徒がほかより多い。

そして、理系以外への進学者のほうが多い場合を条件Cとして、以下、校名を挙げる。

1:条件A(いずれかの理系学部で合格順位が1位)、条件B(共学校、女子校、男子校各グループの理系学部の合格平均を超える)ともに満たす一貫校
(共学校)渋谷教育学園幕張(千葉)、東邦大学付属東邦中高等学校(同)、公文国際学園(神奈川)
(女子校)豊島岡女子学園(東京)
(男子校)駒場東邦中学校・高等学校(東京)、芝中学・高等学校(同)、巣鴨中学校・高等学校(同)、城北学園中学・高等学校(同)、浅野中学・高等学校(神奈川)、サレジオ学院(同)

2:条件Aか条件Bのいずれかを満たす一貫校
(共学校)穎明館中学・高等学校(東京)
(女子校)光塩女子学院(東京)、白百合学園(同)
(男子校)暁星中学・高等学校(東京)

3:条件Cの一貫校
(共学校)渋谷教育学園渋谷(東京)、開智学園(埼玉)
(女子校)女子学院(東京)、吉祥女子中学・高等学校(同)、大妻中学高等学校(同)、学習院女子中・高等科(同)、鴎友学園女子中学高等学校(同)、晃華学園中学校・高等学校(同)、共立女子中学高等学校(同)、横浜雙葉中学高等学校(神奈川)、湘南白百合学園(同)
(男子校)立教池袋中学校・高等学校(東京)、世田谷学園(同)、学習院高等科(同)、明治大学付属明治高等学校・中学校(同)、鎌倉学園中学校・高等学校(神奈川)

分析者によるコメントとしては、共学校の理系学部順位平均(4.5位)が、男子校のそれ(4.7位)より高いのは意外な感があった。
もっとも上記はあくまで量的分析であって理系の授業の質の充実・魅力度を示したものではないことをおことわりしておきたい。


※このページに掲載のデータは、「私立中高一貫校の大学受験対策状況」学校ランク別 アンケート分析(森上教育研究所)に基づくものです。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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