子どもが自分から机に向かいたくなる声かけは?【赤ペン先生アドバイス】
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おうちのかたが何も言わなくても自ら机に向かい、さっと宿題を終わらせてくれる。そんな毎日だったらどんなにいいでしょう。「勉強やりなさーい!」なんて、本当は言いたくないですよね。机に向かいたくなるような声かけには、どのような言葉がよいのでしょうか。
(赤ペン先生 河原)
毎日の声かけが「アラーム」代わりになっているかも?
子どもたちにとって「机に向かう」という行為は、「楽しいことを中断して行うこと」。
勉強そのものを「楽しい」と思っていない限り、いえ、たとえそう思っていたとしても、いそいそと机に向かい、喜びにあふれて宿題を始める子は、そうそういないように思います。
自ら机に向かえるとしたら、それは「その習慣ができているから」。
「歯磨きをする」とか「寝るときはパジャマになる」のと同じで、「しないと、なんか気持ちが悪い」というのが動機ではないでしょうか。
ですから、お子さまがなかなか机に向かえなくても、それは子どもとしての極めて正直な反応であり、単に習慣ができていないだけと言えるでしょう。
あるいは、おうちのかたの声かけを「アラーム」代わりにしているとも考えられます。
アラームが鳴り響くまでは大丈夫と、机に向かうタイミングをおうちのかたに委ねてしまっているのです。この「安心感」が「自発的」になれない原因になっているのかもしれません。
声かけの前に勉強スペースの確保に協力
では「自発的に」机に向かうことを習慣とするには、どうしたらよいでしょうか。
まず確認したいのは、お子さまが勉強をする「場」が、いつでも使える状態にあるかどうかです。勉強机やリビングのテーブルの上が、ノートや教科書を広げられるくらいのスペースが空いているか。ここがごちゃっとなっていると、どんなに素敵な声かけをしたところで「さあ始めよう!」という気にはなれません。
自発的に取り組む習慣がつくまでの間だけでも、スペースの確保に一役買ってあげて、最低限の場を空けておいてあげると効果的です。
学校用とは別に、おうち専用の勉強道具をそろえておくのもお勧めです。ランドセルからわざわざ引っ張り出さなくても、使える文房具が目の前にあれば、ひと手間省けて勉強へのハードルが一段階下がります。「お気に入り」をそろえてあげるだけでモチベーションが上がる場合もあるので、ぜひ試してみてください。
具体的な声かけ3パターン
習慣づけの環境が整ったところで、気持ちを新たに、お子さまに声をかけてみましょう。
声かけの例を幾つかご紹介したいと思います。
①「宿題」「やりなさい」というワードを出さずに、お子さまと会話する
「今日、算数でどんなこと習ったの?」「書くのが難しかった漢字ある?」
あくまで学校生活についての質問という形でお子さまと会話します。この会話のどこかで、お子さまが「あ、宿題やらなきゃ」と自ら思い出して机に向かったら、大いにほめてあげましょう。質問内容は毎日微妙に変えるのがコツです。
②「遊び」の延長から始めてもらう
クイズ出していい?と誘います。紙に答えを書く形式にすると、自然と机に向かうことに。「県の名前を5つ」「キャラクターの名前を10個」など、そのとき習っていることをお題にしてもいいですし、全く関係のないことでもおもしろいと思います。なぞ解き本などから出してもいいですね。
クリアできたら1ポイント、とポイント制にしてごほうびを設定しておくと、エンジンがかかります。せっかく座ったから宿題でもやるか、という気分を誘発することにもなると思います。
③今日の「ハッケン!」を報告してもらう
その日「発見」したことを、ノートに一行書いてもらいます。「初めてわり算を習ったけど難しかった」「校庭のけやきの葉っぱが赤くなってた」「先生のジャージがかっこよかった」などなど、その日気付いたことなら何でもOKということにしましょう。
1ハッケン1ポイントなどと設定しておくと、張り切ってたくさん書いてくれるかもしれません。
お子さまが何を「発見」したのか、おうちのかたもワクワクできますね。親子の会話も弾み、気分が乗ったところで、気持ちよく宿題に取り組めるのではないでしょうか。
まとめ & 実践 TIPS
「机に向かうと楽しいことが起こる」と感じてもらうのが、習慣にするための一番の近道です。
自発的な取り組みを促す声かけは「アラーム」ではなく、「合図」にするのがよいでしょう。どんな合図を送ろうか、とおうちのかたが工夫し、楽しんでいると、それはお子さまにも伝わり、机に向かうことが苦でなくなるどころか、「楽しい」とさえ思ってもらえるようになるかもしれません。
それがいつの日か、勉強することそのものが楽しいという気持ちにつながっていくのではないかと思います。
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