小学校高学年の英語学習 中学校へ向けて家庭でできる勉強法とは?

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2020年度から小学校で必修化された英語。小学校と中学校の英語学習の違いはどこにあるのか、と疑問に思われる方も少なくありません。
また、小学校で教科となったことで家庭学習ではどのようなことをするべきか、といったお声もよく耳にします。
そこで今回は、小学校と中学校での英語学習の違いに着目しながら、小学校高学年のうちからできる「中学校につながる英語学習」についてお伝えしていきます。

この記事のポイント

小学校の英語学習の特徴

2020年4月より小学校3年生から必修化された小学校の英語にはどういった特徴があり、どのレベルまでの学習が求められているのでしょうか。

「聞く」ことが学習の中心

まず、小学校英語は「英語を聞いて、意味を理解する」ことが学習の中心です。「あいさつ」や「教室で使う英語」といった身近な内容からはじまり、各レッスンの状況設定も日常生活に基づいた内容が中心です。そのような場面設定でよく用いられる英語表現を「聞く」ことを中心に学習します。また、教科書では「音声を聞いて考えてみよう」といった内容や問題が多く見られます。

「書く」学習は覚えていなくても書き写しができればOK

小学校高学年では、英語を「読む」「書く」まで学習します。
ただ、やはり中心は「聞く」ことにあり、「読む」学習については聞きとった英語(音)を声に出せればよく、「書く」学習については授業やテストでもお手本の「なぞり」や書き写しができればよい、ということが多いです。中学校の定期テストのように、何も見ずに日本語から英語を書く、といった問題は多くありません。そのため、単語を何度も書いて暗記する、といった学習は小学校英語では求められる機会は少ないと言えます。

文法用語中心の指導は行わない

中学校では、「be動詞/一般動詞」~などの文法用語を当たり前のように耳にしますが、小学校英語の授業では、言語としての英語を「自然に」「身近に」学習することが重視されるので、文法用語が用いられることはあまりありません。
たとえば、「自分ができることを伝えるときはI can ~ .と言うよ」のように、表現として英語を指導されます

  • ・「聞く」ことが学習の中心
  • ・「書く」学習は暗記ではなく書き写しができればOK
  • ・文法用語中心の指導は行われない

中学校の英語学習の特徴

では、中学校ではどのような英語学習が求められるのでしょうか。

「読む」「書く」学習が本格化する

中学校になると、「なぞり」や「書き写し」のお手本なしで単語や英文を書くことが求められるようになります。小学校の英語学習と違い、単語や文章がきちんと読めて、つづりや意味が正確に書けることや、文法的に正しく書けることが必要となるのが大きな違いです。
また、1回の授業で学習する単語数や教科書の本文の量が増えるため、「読む」「書く」学習の量的な違いもあります。

英文法を踏まえた、体系的な学習が始まる

英文法を踏まえた体系的な英語学習が始まるため、名詞や動詞といった品詞の違いや時制といった文法的な観点をしっかりと考えることが多くなります。小学校で学習してきた表現中心の英語から、文法などのルール・規則を踏まえた英語学習へと変化します
そのため、文法用語と英語表現の結びつきがうまくいかず、理解に時間がかかるケースもあります。

このように、小学校と中学校の英語学習は求められる力や内容、そして学習量が異なるため、急な変化としてとまどいを覚えるお子さまも少なくありません。

ご家庭でできる!小学校高学年の英語学習

ここまで、小学校と中学校の英語学習の違いについて触れてきましたが、中学校での学習の特徴を捉え、その学習に慣れておけば、中学生になっても慌てることが少なくなります。

では、中学校での英語学習にスムーズに移行するためには、どうすればいいのでしょうか。次から小学校高学年の今からできる「中学校式勉強法」をご紹介していきます。

【勉強法①】覚えにくいアルファベットを「自分なりの覚え方」を探してマスターする

アルファベットは英語学習における基礎の基礎です。だからこそ、小学校のうちに順番どおりに言えたり、大文字と小文字の両方を書けるようになっておけば、中学校の英語学習の「貯金」になります

しかし、大文字と小文字の違いがわからない!というお子さまのお悩みをよく聞きます。こういった場合、何度も練習することに加え、よく間違えてしまうものや、覚えにくいと感じるアルファベットを自分流の覚え方で覚えることがおすすめです。
たとえば、「bはBの上の丸をとった形!」「dはbの逆!」のように、自分の中で「どうしたら覚えられるか」を考えてみることも大切な学習です。お子さまと一緒に、覚え方の工夫を考えてみてください。

【勉強法②】「書く」練習を体験してみる

小学校では「書く」ことを多く体験しないため、中学校進学時にそのギャップに驚いてしまうお子さまも少なくありません。そのため、小学校高学年時点から「書く」練習にも少しずつ慣れておくことは、中学校での成功につながります。

おすすめの家庭勉強法は「そらがき」です。
「そらがき」とは、小学校の教科書やテストで見た単語を、何も見ずに、空中に指でつづりを書いてみる、という方法です。「そらがき」には、「書く」ことに気軽に挑戦できるという大きなメリットがあります。
お子さまが「こんな英語を習ったよ」と言ってくれたときに、「どんなスペル(つづり)だったかな?」と声かけしてみるのはいかがでしょうか。一緒に「そらがき」をして、書くことに自然な形で挑戦できるきっかけになるかと思います。

【勉強法③】身近なものから英語につなげる声かけをする

覚える単語や熟語、表現の数は小学校から中学校にかけて増えていきます。英語に限らず、小学校と中学校の「覚える数の違い」にハードルを高く感じてしまうケースがあります。
学習指導要領によると、小学校で学習する英単語は600~700語であるのに対し、中学校では1600~1800語の学習が求められます。
一方、小学校高学年のうちから英語への興味を広げてあげることで吸収の素地をつくり、語彙や自信を養うことができます。
「チョコレートやハンバーガーの英語は日本語と同じだけど、発音のしかたが少し違うね」、「日曜日に放送しているテレビ番組の名前は『サンデー』がつくものが多いね」など、子どもたちに身近なものと英語を結びつける声かけはとても効果的です。

英語と日本語の表現の違いや共通点、この言葉は英語でなんと言うのかな?と意識することで、お子さまが英語に興味をもつきっかけになります。

・アルファベットの書き方・順番を覚えて中学校入学までに「貯金」をつくる

  • 【勉強法①】アルファベットは「自分流の覚え方」を見つける
  • 【勉強法②】「書く」練習のおすすめは「そらがき」
  • 【勉強法③】身近なものと英語を結びつけ、英語に興味をもつ

ここまで、小学校高学年のうちからできる学習について紹介してまいりましたが、なによりも大切なことは「楽しく」「興味をもちながら」英語に触れることです。

英語の学習に気負いすぎず、気楽にゆっくりと中学校の英語学習に触れ、「英語って楽しい」「英語に興味がある」というポジティブな気持ちをもつことが大切です。

まとめ & 実践 TIPS

中学校の英語学習の特徴を頭に入れながら、英語学習の素地をつくっていくことで中学校での英語学習のスムーズなスタートを切ることができます。英語は身近なところにたくさんあるので、子どもの興味を広げ、英語を学ぶ楽しさや意味を感じてもらえると中学校に向けての素地がしっかりと養えるのではないでしょうか。
ぜひ今回ご紹介した練習を実践してみてください!

株式会社プランディット 英語課 寺田
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から中学校向けの英語の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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