日本の英語教育も「世界標準」に? 外部試験の導入論議きっかけ‐渡辺敦司‐

文部科学省の有識者会議が、大学入試に英検やTOEFLなど外部の英語能力検定試験の活用を検討していることは、以前の記事で紹介しました。これをきっかけに高校の授業も、これまでのように「読む」「書く」中心から、「聞く」「話す」も含めた「4技能」をバランスよく身に付けさせるという、本来の姿に立ち戻る効果が期待されます。ところで、外部試験の活用による影響は、それだけではないようです。「世界標準」を意識して日本の英語教育そのものを変えようという論議に発展する可能性がありそうなのです。

いま英語教育関係者の間で注目されているのが、欧州のCEFR(セファール)です。「外国語の学習・教授・評価のための欧州共通参照枠」(Common European Framework of Reference for Languages:Learning,teaching,assessment)のことで、初等中等教育(小・中・高校相当)の外国語の運用能力がA1からC2まで6段階で示されています。たとえばA(基礎段階の言語使用者)2は日常的な範囲なら単純な情報交換に応じることができるレベル、B(自立した言語使用者)2は専門分野などの抽象的な話題でも理解でき、英語を母語とする人とも普通にやり取りできるレベル……といったように、文章で基準が示されています。各国のカリキュラムや教材などをCEFRと対照させれば、自分の国の英語教育が「欧州標準」でどこに該当するか、比較するための共通の物差しになります。地域統合を果たした欧州連合(EU)では、高等教育(大学など)を中心に各国の教育内容も標準化して互換性を持たせ、域内の自由な移動に備えようという機運があり、その初中教育版と言うこともできます。

文部科学省は主要な外部検定試験について、CEFRとの対照表(外部のPDFにリンク)を作成し、有識者会議に示しました。たとえば英検2級(高校卒業程度)はCEFRのB1レベルであり、TOEFL iBT(インターネット形式で実施)なら57~86のスコアに該当する、といった具合に、比較ができます。こうした対照表があれば、大学が入試などに外部試験を活用する場合、「うちの学部はB1くらい身に付けておいてほしい」「B2なら英語は満点で換算する」「本学は入れてから鍛えるのでA2で十分」などと具体的に示すことができます。
ただし、これは各試験の実施団体が公表した資料などに基づいて文科省がまとめたものであり、今後設置される協議会で、その妥当性なども検証することにしています。

CEFRはあくまで欧州の基準であり、日本での英語学習に必ずしも当てはめるべきではないという異論も有識者会議の委員の中にはあります。ただ、有識者会議の下に設けられた小委員会の「審議のまとめ」でも、日本の国際競争力を高めるための総合的な英語力向上には「世界標準を視野に入れた目標設定」が必要だと指摘しています。本格的な学習指導要領の改訂論議は秋以降に中央教育審議会で行われる見通しですが、有識者会議での議論が大いに影響することが予想されます。なお、有識者会議委員の中には「高校入試でも外部試験の活用を促進すべきだ」という意見も出ています。


プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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