進路選択に向けて保護者ができるのは「挑戦の後押し」/お笑い芸人 厚切りジェイソンさん&石井てる美さん対談【後編】
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高校生はどこかのタイミングで、大学進学に向けて、「文系」「理系」や行きたい学部を選ばなくてはなりません。その時に、保護者としてできることとは?
前編・中編に続き、苦手な理数系を避けたものの、大学に入ってから理系に転じた石井てる美さん(東京大学卒・元マッキンゼー)、「好き」を究めてコンピューターサイエンスを学んだ厚切りジェイソンさん(IT企業役員)に、進路についてうかがう最終回です。
高校生だって誰かに導いてほしい!?
——納得のいく進路選択に向けて、保護者にできることは何だと思いますか?
石井さん:高校生って、大人のようで大人じゃない。「もう、一人で決められるだろう」と放っておきがちかもしれませんが、あまり調べずに得意不得意で進路を決めてしまった私としては、親でも先生でも、もう少し導いてもらえたら違っていたかなあと。
といっても、「話すのが上手だから、弁護士や先生に向いているかもしれないよ」みたいなことだけでいいんです。それがきっと進路について考えたり、「どうしたらなれるんだろう」と調べたりするきっかけになると思うんです。
ジェイソンさん:自分で決めたほうが、やる気にもなりますよね。うちの子はまだ小学生ですが、そんな考えから、ほめて終わりとか「絵が上手だから〇〇しなさい」ではなくて、「どうしたい?」とか「やりたいことに近づくには何が必要ですか?」などと先の行動につながるような会話を心がけています。そういう話をするためには、日頃からコミュニケーションをとっておくことが大事だと思いますけれど。
挑戦することで「やりたい」が見えてくる
——好きなことややりたいことがない場合は、どうしたらいいと思われますか?
ジェイソンさん:いろいろなことをやってみたらいいと思います。僕は高校生の時に、ケーキの飾りつけとか、庭師の手伝いとか……。いろいろなアルバイトをやったおかげで、それらには向いていないとわかりましたから。
石井さん:始めたことは続けなさいみたいな美徳があるけれど、向いていないとわかったら、それが大きな成果だもんね。やらなければ、好きかどうかもわからないわけだから。
ジェイソンさん:そうね。そして、いろいろと挑戦しながら、将来どうなりたいのかを考えていったほうがいいですよね。目標があったほうが、「大学に受かりやすいから資格をとる」じゃなくて、「こうなりたいからこれをがんばる」になって、気合も入るだろうから。
石井さん:私は、その逆でしたね。まさにやりたいことがなくて、行き当たりばったり。でも、だからこそどんな勉強にも一生懸命に取り組んだことが、文系学部から理系学部に進む時などにも生きたかな。
保護者にできることは挑戦の「後押し」
——最後に、保護者の皆さんにメッセージを!
ジェイソンさん:自分なりの道を見つけられたら最高。だから、ただ悩んでいないで、どんどん挑戦して、自分で行動できるように、背中を押してあげられたらいいと思います。
石井さん:そうですね。人に言われたことじゃなくて、誰が何と言おうとこれが 好き。遅かれ早かれ自分の中に答えを見つけられた人こそ、どんどん新しいものが誕生する、これからの社会で最強だと思います。そのために高校生の今できることといえば、やりたいことがある人はそこに思い切りエネルギーを注ぎ、まだ見つからない人は、目の前のことをがんばっておくこと。
そういう意味では、学園祭実行委員をやったり、アイドルのライブに行ったり、思いっきりカラオケを楽しんだり……。好きなことを自由にやらせてくれた親には、私、すごく感謝しているんです。好きなことに熱中したぶんだけ、勉強をさらにがんばる好循環にもなったし、何かに没頭することって、きっと大事なことで すよね。
それから、英語! 何をするにも自分を助けてくれるものなので、がんばるように、ぜひ伝えてあげてください!
まとめ & 実践 TIPS
進路の決めかたは人それぞれ。「好き」や「得意」がカギになったり、勉強のがんばりにつながったりもすると思いますが、厚切りジェイソンさんのようにいろいろなことに挑戦してみたり、石井てる美さんのように目の前のことをがんばったりするなかで、それぞれの正解が見えてくるのではないでしょうか。
高校生にもなると、保護者のかたの声が届きにくいかもしれませんが、まだまだ見えていないことも。たとえば食卓を囲んでいる時など、日常の中でさりげなく「何をやりたいの?」「こういう作戦もあるかもしれないよ」なんて考えるヒントを伝えることも、保護者にできることなのかもしれません。
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