ネット利用時間が増える小学生の現状は?

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10~17歳の青少年がスマートフォン(スマホ)などでインターネットを利用する時間は、年々長くなっています。ターニングポイントは自分用の機器を持つようになる10歳ごろにあることが、内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」からうかがえます。子どもたちは、どのようにネットを使っているのでしょうか。

この記事のポイント

生活にネットは不可欠に

調査は2022年11~12月、青少年5,000人(回収数3,230人)とその保護者5,000人(同3,276人)、0~満9歳の子どもがいる保護者3,000人(同2,088人)を対象に行われました。スマホや自宅用のパソコン・タブレット、学校から配布・指定されたパソコンやタブレット(いわゆるGIGA端末)、ゲーム機など7つの機器によるインターネットの利用状況について調査しています。
ネット利用率は、10歳以上の小学生で97.5%、中学生で99.0%、高校生で98.9%。もはやネットは、子どもたちの生活に不可欠なツールになっていることがわかります。

小学生はGIGA端末を活用

機器ごとのネット利用率を見ると、2020年度から整備が進んだGIGAスクール端末の利用率が伸びており、全体では63.6%、特に10歳以上の小学生では他の機器を抜いて70.2%と高い割合になっています。スマホは59.5%、自宅用パソコン・タブレットは55.6%でした。
中高生のネット利用は、スマホが中心です。中学生ではGIGA端末の70.0%を抑えて、スマホが最多の86.6%でした。高校生はスマホが97.3%に上り、自宅用パソコン・タブレットは42.8%にとどまっています。
10歳以上の小学生のほうが、GIGA端末やスマホ、自宅のパソコン・タブレットと、さまざまなデバイスでネットを利用していることがうかがえます。

「自分持ち」で利用時間が増加

心配になるのが、利用時間の長さです。青少年全体の平均利用時間は、前年度比17分増の約4時間41分になりました。目的は「趣味・娯楽」が最多で約2時間49分となっています。学校段階別に見ても、高校生は約5時間45分、中学生は約4時間37分、10歳以上の小学生は約3時間34分と、それぞれ前年を上回っています。
年齢別では、9歳では約2時間20分なのに対し、10歳では約3時間27分と、1時間以上の大きな伸びが見られます。幼いうちは保護者と共用で機器を使っている割合が多いのに対して、10歳を境に専用と保護者と共用の割合が逆転し、子ども専用の割合が6割を超えることが影響しているとみることもできます。
ただ、趣味や娯楽ばかりとは限りません。GIGA端末では「勉強をする」(79.8%)や「検索する」(61.6%)が上位になっています。これに対して、たとえば小学生のスマホ利用では「動画を見る」(68.6%)、「検索する」(65.9%)、「ゲームをする」(64.7%)、「投稿やメッセージ交換をする」(55.6%)と、用途により端末を使い分けていることがうかがえます。

まとめ & 実践 TIPS

GIGA端末の活用が始まるに当たって、学校では、タブレットの使い方のルールづくりや指導を積極的に行ってきました。しかし、子どもたちの多様な利用状況を見ると、それだけで十分とは言えません。
子ども自身が端末を持つようになる10歳前後の時期には、ご家庭でも今一度ルールを確認することも大切ではないでしょうか。

(筆者:長尾 康子)

内閣府 青少年のインターネット利用環境実態調査
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/net-jittai_list.html#kekka

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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