反抗期のトラブル、どう対処する? [中学受験 6年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生の保護者のかたの多くが直面する「反抗期」の対処法について取り上げます。




■「この学校、受けたくない」「勉強したくない」

6年生の2学期になると、ほとんどの女の子は思春期に入っているのではないでしょうか。男の子も、少しずつ自我が確立してきています。この時期、よく起こるのが志望校をめぐるトラブルです。10月以降に第一志望、第二志望を決める際、子どもがそれまでの志望校とまったく傾向の違う学校を受けたいと言い出したりする。さらに、ご両親の考えにズレがあったりすると、まったく話がまとまらなくなってしまうんですね。
また、女の子の場合、学校や塾の友達がはっきりといくつかのグループに分かれ、反目しあうといったこともよく起こります。加えて体の変調から勉強に乗れない日もあったりして、ストレスが大きい--もう勉強したくない、受験もやめると言い出すケースもあります。



■「上から」ではなく「側面から」の支援に徹する

反抗期は、大人としての人格形成ができかかっている時期ですから、早めに大人扱いをすべきです。保護者は子どものリーダーにならない。「上から」指示しない。学習環境を整えるなど、あくまで「側面から」の支援に徹しましょう。特に、「勉強しなさい」は禁句です。これを言ったら負けだと思ってください(笑)。どうしても言いたい場合は、塾の先生など第三者に言ってもらってください。「きみはこの単元が弱いから、もっと時間をかけてやるべきだよ」と塾の先生に言われて納得すれば、自分からやり始めるでしょう。反抗期の子どもに「勉強しなさい」と言ってもまずやりませんし、ますます親子関係が悪くなるだけでよいことはありません。

お子さまが、もとの志望校のA学園を受けたくない、B学院がいいと主張した場合も、保護者のかたは「側面支援」の立場を貫いてください。ただし、ご自身がA学園をいいと思う理由や、今から志望校を変えると勉強が大変だという見通しはきちんと伝えましょう。そのうえで、「あなたがB学院を受けたいなら、私は全力で応援する」という姿勢を伝えることが大切です。
一方、子どもが「勉強したくない」と言うからといって、この時期になって「受験そのものをやめる」という選択肢はおすすめできません。子どもが挫折感や敗北感を味わうことになりかねないからです。保護者のかたがご本人と直接ぶつかるのではなく、塾の先生や家庭教師、学校の先生、おじいちゃんおばあちゃんなど、お子さまが信頼する大人の協力を仰いで、あの手この手で説得していただくのがよいと思います。

子どもは大人になりかかっている半面、まだ保護者に頼りたい気持ちもたくさん持っています。「じゃあ受験やめなさい」「勝手にしなさい」などと突き放した場合、あとになって「なぜあの時止めてくれなかったの」などと子どもに恨まれるケースもままあります。



■戦略的な「他人行儀」で接してみる

ついこの間まで素直でかわいかった子どもを、突然大人扱いするのはなかなか難しいもの。「私の子なのに、なぜわかってくれないの」という気持ちにもなりがちです。しかし、思春期の子どもたちは、既に保護者とは違う人格を形成しようとしています。あえて「自分の子」だと思わず、「よそのお宅から預かっている子」だと思って接してみるのも、ひとつの手です。よそのお子さまですから、「勉強しなさい」と頭ごなしにはいえませんし、うちにいる間に成績を落としてもいけないので、しっかり環境は整えてあげなくてはいけません。こちらの考えはわかってもらえないのが当然ですから、きちんと言葉にして伝えてあげる必要があります。「なぜ私の気持ちをわかってくれないの」と親が思っているとき、子どももたいてい、まったく同じように思っているものです。

「どこを受験するか」という問題よりずっと重要なのは、親子関係を良好に保つこと。思春期にこじれた親子関係はなかなか元に戻らず、後々まで尾を引くことも多いものです。大人になりつつある子どもを信じて、支援に徹してください。
なお、保護者のかたご自身の気持ちのケアも大切です。子どもにイライラした気持ちを直接ぶつけるのはぜひ避けたいこと。子どものいないところで、思い切り気持ちを吐き出せる場をつくっておくとよいですね。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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