子どもが疲れて宿題ができない時、親はどう関わるべき?

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通常授業が再開したうえに、学校によっては運動会の練習が始まったり、遠足や行事があったりして、子どもたちにも疲れが出やすい時期です。そのせいで、帰宅してもダラダラして、宿題などにもなかなか取り組めない時は?発達心理学、学校心理学が専門の渡辺弥生先生(法政大学文学部心理学科教授)に、疲れているものの、やらなくてはいけないことがある時のサポートのコツについて教えてもらいました。

この記事のポイント

頑張る前にエネルギーチャージを!

「疲れたー」と帰ってきては、宿題をやらずにダラダラしていたり、勉強中にぼーっとしていたり。子どものそんな様子を見ると、つい「宿題は?」「ゴロゴロしないの!」「集中しなさい」なんてけしかけたくなりますが…。大人だって、疲れている時に「ごはんまだ?」「あれやって!」なんて言われたら、ぐったり度が増して、むしろやる気が失せてしまいますよね。
人は、心身を緩める“グリーンゾーン”の時間があってこそ、ガッとエネルギーを放出する“イエローゾーン”に入って頑張れるものです。だから子どもたちに必要なのも、小休止。とくに今は、学校によっては運動会の練習が始まったり、行事があったりして疲れが出やすい時期です。宿題などやらなくてはいけないことがあるとしても、「ダラダラする前に宿題をやらせなきゃ」なんて詰め込んだり、疲れているところに無理強いしたりするよりも、見方をポジティブに変えて、くつろぎタイムを作ってあげましょう。いったんまったりと寛いでエネルギーチャージするほうが、その後の宿題などを頑張れるものなのです。

あえて“ダラダラ”の時間を作る

ただし、次に進むための寛ぎタイムと、何となくダラダラするのは大違いです。だから、お子さまにはその区別をきちんと伝えたうえで、寝るまでのタイムスケジュールを一緒に書き出して、「何時から何時までは休憩にしようか」なんて決めるのもおすすめです。そしてタイマーをかけたりしながら、ゴロゴロしてもいいし、ボーッとしてもいいし、本を読んでもいいし、好きなおやつを食べてもいいし…。その間は「姿勢が悪いよ」「またゲームするの?」なんてとやかく言わず、こういう時間の大切さを認めて、好きなように思い切りリラックスさせてあげること!そして時間になったら、「さっ!切り替えて、宿題を頑張ろう!」なんて背中をポンとたたいたりして、次に送り出してあげるといいでしょう。もしもその際にまだ疲れが残っているように見えるなら、一緒に軽くストレッチしたり、少し目をつむったりするのもおすすめです。

宿題への取り組みかたも要チェック

せっかく休憩してもすんなり“イエローゾーン”に入れないような場合は、学習の取り組みかたのほうにも問題がある可能性も。「好きな教科から始めてみようか」「おやつを食べる前に机の上に宿題を出しておくとすぐに取りかかれるよ」などと、スムーズに勉強に取りかかるためのコツもアドバイスして、いろいろと試してみるといいでしょう。また、眠たい時間帯に宿題をしても効率が悪いので、子どもにもよりますが「夕方5時から6時はグリーンゾーンにして、目が冴えている6時から7時に宿題をやるイエローゾーンにしたら?」などと、1日を“ゾーン制”にしてしまうというのも、メリハリのある生活を習慣化して、切り替えをうまくする方法の一つかもしれません。
なお、上手にゾーンを切り替えたり、勉強に集中できたりした時は、できて当たり前だと思わずに「サッと切り替えられたね」「集中して宿題をやっているね!」「リズム良くやれたね!」などと、頑張りを認めたりほめたりするのも大事なこと。そんな繰り返しから、いわゆるオンとオフを上手に切り替えて、しかるべき時にガッと集中できるようになっていくコツを獲得していくものです。

まとめ & 実践 TIPS

子どもが所在なさげにボーっとしていたり、ダラダラしていたりすると、「ぼーっとしている時間がもったいない!」なんて思いがちですが、子どもにとってもダラダラする時間は必要です。ポジティブに考えれば、「寛ぐこと」「まったりすること」は人の幸せに関わる重要な時間です。また本来、自宅は子どもの居場所なのだから、ハッピーな場所にしてやりたいものです。学校や習い事で想像以上に頑張って来ているはずですので、家庭では意識的に“グリーンゾーン”の時間をつくってオーバーヒートを防ぎ、宿題などにも少しでも前向きな気持ちで取り組めるようにサポートしてあげてくださいね。疲れを癒す方法と同時に、諦めずに取り組めたという経験を育んであげることは、きっと明日の頑張りと幸せにつながるはずです!

プロフィール


渡辺弥生

法政大学文学部心理学科教授。教育学博士。発達心理学、発達臨床心理学、学校心理学が専門で、子どもの社会性や感情の発達などについて研究し、対人関係のトラブルなどを予防する実践を学校で実施。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か?—乗り越えるための発達心理学』(光文社)、『感情の正体—発達心理学で気持ちをマネジメントする』(筑摩書房)、『まんがでわかる発達心理学』(講談社)、『子どもに大切なことが伝わる親の言い方』(フォレスト出版)など多数。

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