宿題の日記が書けなくて時間がかかります[教えて!親野先生]
- 学習
日記や作文など、文章を書くことが苦手な子どもも多いものです。文章にまとめる以前に「そもそも書くことがない」と悩んでいるケースも少なくないでしょう。そんなお子さまのサポートをしたいものの、どうやって書く内容を引き出せばいいか戸惑ってしまうこともあるかもしれません。子どもが日記を書きやすくなるために保護者にできるサポートとはどのようなものなのでしょうか。教育評論家の親野智可等先生に伺いました。
【質問】文章を書くのが苦手な小4男子。「書くことがない」と日記の宿題にも苦労していますが、どうサポートすべき?
小学4年生 男子
アニソン さん
週に2,3回、宿題で日記が出ます。小4の長男は文章を書くのが苦手で、すごく時間がかかります。本人は「書くことがない」とよく言います。書くことが決まればどんどん書けることもあるのですが…。
親野先生からのアドバイス
拝読しました。
日記が書けなくて苦しむ子は多いですね。
そういう子でも書きやすい方法をいくつか紹介します。
親が質問、子どもは回答。筆談しながらまとめていく
●筆談日記
これは、親子が筆談で会話をしながら書いていく日記です。
親が質問でリードするので、何を書いていいかわからない子でも書き進むことができます。
しかも、親が半分書いてくれるので、子どもにとって取り掛かりのハードルも低いといえます。
◎見本「フラフープに鳥のうんちが落ちてきた」
- 「今日は学校でどんな遊びをしましたか?」
- 「ゆうちゃんと2人でフラフープをしました。」
- 「学校にフラフープがあるの?」
- 「遊具室にあります。」
- 「どんなところが楽しかった?」
- 「ゆうちゃんが回しているとき、鳥が飛んできてうんちを落として、フラフープにちょっとついたのが面白かったです。」
- 「ゆうちゃんはどうしたの?」
- 「『ぎゃあっ、白いうんちだあ』って言って笑っていました。」
実際の会話を思い出し、ありのままにまとめる
●会話日記
これは実際の会話を思い出して書く日記です。
学校の友達や先生、あるいは家族との会話を思い出して、ありのままに書きます。
会話をそのまま書くだけで説明を書かなくていいので、日記が苦手な子でもけっこう喜んで書きます。
◎見本「焼き芋に歯の形がついていた」
- 私「何か食べたい。お菓子ない?」
- 母「テーブルの焼き芋を食べていいよ。」
- 私「やったあ。」
- 母「レンチンした方がいいかも。」
- 私「これ、お兄ちゃんの食べかけじゃないの?歯の形がついてるよ。」
- 母「あれ、本当だ。でも、この歯の形はパパのだよ。」
- 私「歯の形の違いが分かるの?すごくない!」
写真や動画を見て、思い出しながらまとめる
●写真・動画日記
過去の写真や動画を見ながら書く日記です。
保育園時代の写真や七五三の写真でもいいですし、2,3日前に兄弟で遊んだ動画でもいいです。
写真や動画があると、その時のことを思い出せるので、書きやすくなります。
◎見本「2年生のとき縄跳びの二重跳びができるようになったこと」
- ぼくは、2年生のとき縄跳びの二重跳びができなかったので、家でがんばって練習しました。おばあちゃんが「紐が長すぎると跳びにくいよ」と言って、紐を短くしてくれました。それで練習していたら、夕方には跳べるようになりました。おばあちゃんが「ようちゃん、できたねえ」と喜んでくれました。うれしかったです。
保護者が用意したテーマのリストから、何を書くかを子どもが選ぶ
●テーマ一覧から書くことを探す
日記帳や原稿用紙を目の前にじっと考えていても、なかなか書くことは見つかりません。そこで、効果的なのはテーマのリストを用意してあげて、そこから選ぶ方法です。
例えば次のようなものです。
- ・自分が天才発明家だったら発明したい物
- ・もし宇宙人と友達になれたら
- ・もし「どこでもドア」があったら
- ・もしぼくが億万長者だったら
- ・キングコングと孫悟空はどっちが強い?
- ・自分の紹介をします
- ・ぼくが住んでいる地域を紹介します
- ・私が得意なことは○○です
- ・家族の紹介をします
- ・お父さんの趣味は○○です
- ・お兄ちゃんの宝物
- ・私のイチオシ芸能人
- ・好きな芸能人にファンレターを書きましょう
- ・「夏休みが60日になる」のと「金土日が休みになる」のとではどっちがいいか、自分の意見を書きましょう
- ・いじめをなくす方法を5つ書きましょう(理由も書きましょう)
- ・猫と犬はどっちが頭がいい?
- ・男と女はどっちが得だと思いますか?
- ・世界が平和になるための方法5つ書きましょう(理由も書きましょう)
- ・ぼくが最近悔しかったこと
- ・わたしが今までで一番うれしかったこと
- ・この頃いやだったこと
- ・面白かったこと
- ・ぼくはドラえもんです(好きなキャラクターになりきって書きましょう)
- ・わたしはユーチューバーです(ユーチューバーになりきって書きましょう)
- ・ぼくはプロ野球選手です(プロ野球選手になりきって書きましょう)
- ・わたしは猫です(猫になりきって書きましょう)
- ・ぼくは靴下です(靴下になりきって書きましょう)
親子のおしゃべりをメモにまとめて日記に仕上げる
●親子おしゃべり・メモ・文章化
- 1,まず親子でおしゃべりをします。
テーマは、その日のこと、前述のテーマ一覧にあるもの、その他子どもが乗ってきそうなものなら何でもいいでしょう。 - 2,そのおしゃべりをメモします。
子どもがメモすればベターですが、難しい場合は親御さんでもかまいません。 - 3,メモを文章化して日記を書きます。
子どもが文章化すればベターですが、難しい場合は親御さんでもかまいません。
その場合は、親御さんが書いたものを子どもが書き写して完成です
以上、いくつか紹介しましたが、子どもの実状に応じてアレンジしてやってみてください。
なお、文字や文章を書くのが難しい書字障害がある場合は、親御さんがサポートしても難しいこともありますので、先生と相談して特別な配慮をしてもらうことが必要です。
私ができる範囲で、精一杯提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
みなさんに幸多かれとお祈り申し上げます。
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