学校の休み、子どもの勉強にどう関わる?「勉強させる」より「気にかける」が重要

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新型コロナウイルス感染症の影響で短縮された遅い夏休み。地域により期間に差はありますが、夏休みに入るとほっとするお子さんも少なくないことでしょう。一方で、新型コロナは依然として収束の兆しを見せません。いったん収束したとしても、第2波・第3波が来ることが心配されます。いつまた臨時休校になるかもわからないのが、「ウィズコロナ」の時代です。学校が休みの時、保護者として、子どもの勉強にどう関わればよいのでしょうか。

高校生、する生徒としない生徒に二極化

中原淳・立教大学教授の研究室では、ほぼ全国一斉の臨時休校からゴールデンウィークに入った5月1~6日、インターネット調査モニターに登録している1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)在住の高校生760人を対象に、休校中の様子などを尋ねる調査を実施。結果を、ウェブ報告会で明らかにしました。
一日の時間の使い方を尋ねると、平均で▽学習2時間▽娯楽ほか14時間15分▽睡眠7時間45分……となっていました。ベネッセ教育総合研究所の『高校データブック2013』では、▽学校関連10時間40分▽自宅学習1時間▽娯楽ほか5時間40分▽睡眠6時間40分……となっており、調査方法が違うため単純な比較はできませんが、学校内外で一日の半分近くを占める学習関連の時間が、休校中、わずか数時間に短縮されたことは確かです。
学習時間別に見ると、「ほぼしない」と「3時間以上」の回答がいずれも29%となっており、勉強する生徒と、しない生徒に二極化していることがうかがえます。
調査では、こうした二極化が、何に影響されて起こったのかを、学校・家庭の両面から、詳しく調べています。このうち、保護者の関わりに注目してみましょう。

「勉強させる」より「気にかける」が重要

「家族は、私の教育に熱心だ」と回答した生徒の勉強時間は、平均2時間16分。それに対して、教育熱心ではない生徒では1時間54分と、22分の差がついています。
では、保護者が教育熱心なら安心かというと、そうでもないようです。休校中、親にすすめられた学習コンテンツに「取り組んだ」生徒の勉強時間は2時間9分、「取り組んでいない」生徒は2時間10分と、ほとんど差はありません。
一方、ストレス反応についての結果を比べると、親に勧められた学習コンテンツに取り組んだ生徒のほうが、「無気力状態」「イライラ」「身体症状」の各項目で、いずれも高くなっていたのです。中原研究室では、「休校になってから、子の学習に対して関与しようとしてもかえってストレスになる」「普段からの教育熱心さは、学習時間の確保にはつながるけれど、『イライラ』も高めてしまうかも」と指摘しています。

  • 休校になってから、子の学習に対して関与しようとしてもかえってストレスになる
  • 普段からの教育熱心さは、学習時間の確保にはつながるけれど、『イライラ』も高めてしまうかもしれない

まとめ & 実践 TIPS

子の学習に対して親が関与しようとしてもかえってストレスになったり、子どものイライラを高めてしまうとしたら、親は子の学習にどう関わればよいのでしょうか。
中原研究室では、「子が高校生であっても、学びを支えるための『親の関わり』が果たす役割は大きい」と、普段からの関わりの重要性を指摘する一方、重要なのは、関わっているかどうかではなく、関わりの「質」であり、管理よりもケアが大切だとしています。勉強させようと、あれこれ働き掛けるより、学習や生活を「気にかける」ことが重要であり、それは、学習に向かわせるための環境整備や、学習習慣を支えることの延長にあると見ています。
調査でも、ただでさえ休校中は、普段よりストレスが高まっていることがわかりました。そんな子どもの気持ちに寄り添って、休みの日の生活や学習を支えてあげたいものです。

(筆者:渡辺敦司)

※そのとき学びに何が起こったか—高校生の学習時間に焦点をあてて(立教大学・中原淳研究室)
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/11803

プロフィール


渡辺敦司

著書:学習指導要領「次期改訂」をどうする —検証 教育課程改革—


1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。初等中等教育を中心に、教育行財政・教育実践の両面から幅広く取材・執筆を続けている。

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