2時間で完成!「推し本」を友達に紹介するつもりで書く読書感想文お助け術
- 読書感想文
「どこから手を付けたらいいかわからない」「本を読むことも文章を書くことも苦手……」の悲鳴があちこちから聞こえてくる、夏休みの読書感想文の宿題。サポートしたくても自信がない保護者のかたも多いのではないでしょうか。
悩まずサクサクと読書感想文を完成させるには、いくつかのコツがあるそう。「読書感想文お助け塾」で指導を担当する井上靖文学館学芸員の徳山加陽さんに、2時間で完成させるコツと、保護者のかたができるサポート術を教えていただきます。
準備:本を読みながら、気になったところに付箋を貼る
——読書感想文にはどんなことを書いたらいいでしょう。
ふだんの授業で読書感想文を書く機会は少ないので、戸惑いを感じてしまうかもしれません。そもそも読書感想文はあらすじをまとめる作文ではなく、本を読んで自分の考え方や行動がどのように変わったかを書く作文。「推し本」を紹介するつもりで、感想文を読んだ友達に「読んでみたい!」と思ってもらうことを目指しましょう。
——本を読んでも、感想文を書こうとすると何も思いつかないことがあります。
読書感想文を書く本を読む時には、気になったところに付箋を貼っておきます。いいなと思ったところや自分の考えとはちがうと感じたところなど心に引っかかった部分に付箋を貼っておくと、あとで感想メモを作る時に役立ちます。
ステップ1:書き始める前に、感想メモを5つ作る
付箋を貼った本を横に置いたら、読書感想文お助け術のスタート。といっても、いきなり書き始めると途中で困ってしまいます。まずは、本を読んだ感想メモを5つ作りましょう。以下の15項目の中から書きやすいと思ったものを5つ選び、テンプレートを埋めるようにメモ用紙やノートに書いていきます。読んだ時に印象に残ったことを忘れてしまったら、付箋をヒントに本を見返します。
【感想メモ15項目】
1. この本を選んだ理由
2. 自分と同じところ
3. 自分とちがうところ
4. 好きなキャラクター
5. 苦手なキャラクター
6. はじめて読んだ時に思ったこと
7. 気に入った場面
8. いいな!と思ったセリフ
9. 似ている体験
10. 本を読んで思い出したこと・自分の思い出
11. 自分だったらこうする!と思ったところ
12. 本を読む前と感想が変わったところ
13. 気付いたこと・気になったところ
14. おすすめ!ここは絶対読んで!というところ
15. 本を読んで、自分が変わったところ
特におすすめは1、4、8、11、15番。1番の「この本を選んだ理由」はスムーズな書き出しになります。「主人公が自分と同じスポーツをしていたから」でもいいですし、「なんとなく」でもかまいません。「なんとなく読み始めたけれど、この部分で夢中になった」と続けることもできます。
4番「好きなキャラクター」、8番「いいな!と思ったセリフ」のように、好きなところも人におすすめしやすく書きやすいです。特にセリフは最初に引用すると印象的な書き出しになります。
11番「自分だったらこうする!と思ったところ」、15番「本を読んで、自分が変わったところ」は自分の体験をエピソードとして加えたり、まとめに使ったりできます。
井上靖文学館のワークショップ「読書感想文お助け塾」では、子どもたちが好きな項目を埋めていく。
ステップ2:メモの順番を決めて、読書感想文を書く
5つの感想メモができたら順番を決めて、いよいよ読書感想文を書いて仕上げます。たとえば以下のような流れにします。書いたメモをすべて使わなくても大丈夫です。
1. この本を選んだ理由(主人公が自分と同じようにサッカーをしていたから)
↓
6. 初めて読んだ時に思ったこと(最初はつまらなかった)
↓
12. 本を読む前と感想が変わったところ(反対意見を言うのはよくないと思っていたけど、チームのためになることもあるのだと知った)
↓
8. いいな!と思ったセリフ(主人公が勇気を出して言ってすごいと思った)
↓
15. 本を読んで、自分が変わったところ(自分も相手のことを考えて行動したいと思った)
本の魅力を伝えるために、「どうしたら興味を持ってもらえるかな?」を考えて、順番やタイトル、伝え方を工夫しましょう。
保護者のサポートは、本を読んでいなくてもOK
——保護者はどのようにサポートしたらいいですか?
感想メモ作りが進まない時は「好きなセリフはあった?」などと声をかけ、会話を通じて引き出してあげましょう。子ども自身が読書感想文とは関係ないと思っていて、実は関連する体験エピソードがあることも。サポートの際、保護者のかたがその本を読んでいる必要はありません。「読んでいないからどんな本か教えて」とお願いすることで、本人がどんなところに興味を持ったのかもわかります。
仕上げる時は、「だから」「けれども」などの接続詞を書き出しておいてもいいでしょう。子どもはそこから選んで、文章のつながりに使うことができます。
井上靖文学館では、2時間のワークショップで子どもたちが読書感想文を書き上げています。好きな虫についてくわしく書いたり、『しろばんば』の舞台である湯ケ島を訪れた経験を書いたりした子もいました。読書感想文には、子どもたちの好きなことが表れます。保護者のかたは自分の感想を押し付けず、その子らしい読書感想文になるよう応援してあげてください。
まとめ & 実践 TIPS
読書感想文を書くのには時間がかかるイメージがありますが、書き方のコツを知っていれば苦しまずに短時間で書き上げることができそうです。感想メモを作って順番を考えるやり方は、ふだんの作文や記述式の問題でも役に立つはず。ぜひ、楽しみながらおうちでも読書感想文お助け術にチャレンジしてください。
執筆/樋口かおる
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