文化部活動の規制、運動部と横並びのワケは…?

文化庁の検討会議が、「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に盛り込む内容の方針を固めました。運動部活動と同じく、学期中は週当たり2日以上(平日1日以上、土日1日)の休養日を求める見通しで、年内にもガイドラインを通知したい考えです。
スポーツと文化活動は性質が異なるのに、なぜ運動部と横並びなのでしょう。

3月の通知でも「準じた取り扱い」求める

まず、経緯をおさらいしておきましょう。同じ文部科学省の外局であるスポーツ庁は今年3月、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」をまとめました。
そこでは、
▽学期中は週当たり2日以上の休養日を設ける▽長期休業中は学期中に準じ、長期休養(オフシーズン)も設ける
▽1日の活動時間は、長くとも平日は2時間程度、休業日(土日や夏・冬休み中)は3時間程度……などを求めています。これには、トレーニング効果を高めるには適切な休養も必要であり、過度の練習がスポーツ障害や外傷のリスクを高めるといった、スポーツ医科学の見地を踏まえた根拠があります。

だとすると文化部活動は性質が違うはずですが、3月にスポーツ庁と文科省、文化庁の連名で出した通知では、文化部についても当面、運動部のガイドラインに準じた取り扱いをするよう求めていました。「当面」というのが、文化部活動のガイドラインを策定するまで、というわけです。そして「文化部活動の特性を踏まえ」(通知)た検討が行われたのですが、結局、休養日や活動時間は同じとする方向になりました。

子どもの生活時間も考えて

実は、検討会議が始まった当初から「運動部のガイドラインが、学校では(文化部と)セットで運用されている」(7月の第1回会合で、長沼豊座長=学習院大学教授)というように、基本的には横並びにしたい考えをにじませていました。委員の中には、活動の特性から例外を認めてほしいという意見も根強かったのですが、「差がない部分は同じにしたい」(文化庁担当者、11月の第3回会合で)ということで、一部に不満を抱えつつも原案通りとする流れが固まりました。

その理由には、まず、部活動の顧問を務める教職員の問題があります。ただでさえ過労死すれすれの長時間労働が常態化している実態に対して「働き方改革」が求められるなか、特に中学校・高校で休みをとれない大きな要因となっている部活動を何とかしたい……というわけです。文化部は運動部に比べて活動日や時間が少ない部活動が多いのですが、中には運動部とほとんど変わらないような部活動もあります。
それ以上に重要なのが、子どもの視点です。平日2時間を超えた練習や活動では、どうしても他の生活時間に支障をきたします。とりわけ勉強時間が少なくなっては、いけません。そうしたことから、一定の歯止めが必要だという認識がありました。

部活動は、あくまで「生徒の自主的、自発的な参加」(中学校・高校の学習指導要領)によって行われるものです。しかし、すべて子ども任せにしていては、勉強がおろそかになるなど問題も出てきます。子どもに自己管理能力や自治能力を付けさせることも部活動の大きな意義ですし、そうした力こそが社会でもますます求められています。保護者としても、熱心に活動する子どもを応援したい気持ちもあるでしょうが、望ましい部活動の在り方を、広い視点で学校側と話し合っていく必要があるでしょう。

(筆者:渡辺敦司)

※文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/bunkakatsudo_guideline/index.html

プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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