こどもの日とは?端午の節句の由来とは?祝い方や過ごし方も解説!

5月5日は、こどもの日。兜やこいのぼりを飾ったり、ちまきを食べたりと、楽しい過ごし方を計画中のご家庭も多いのではないでしょうか。でも、それら1つひとつのお祝い方法にこめられた意味は知らないこともあるかもしれません。由来や意味を知ると、お祝いの気持ちや特別感もぐっと増すもの。端午の節句の由来や、歴史、飾りの意味などご紹介していきます。お祝い方法のアイデアもご紹介するので、ぜひご参考にしてみてください。

こどもの日とは?

こどもの日とは、端午の節句である5月5日に設定された祝日。ゴールデンウイークの中の1日でもありますね。祝日に関する法律である祝日法によると、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことが趣旨だとされています。

こどもの日というと、男の子をお祝いする日と思われている方も多いかもしれませんが、本来はすべての子どもが対象となる祝日。さらには、母親への感謝も伝え、母子の健やかな生活を願う日となります。

こどもの日と端午の節句は、同じ日だけど別の行事と覚えておきましょう。

端午の節句とはなに?

節句とは、中国の陰陽五行説を由来に定着した季節の節目となる日のこと。昔から、節句には、病気や災いを防ぐための宮中行事が行われていました。五節句の1つである端午の節句にも、当初は男の子の成長とは直接の関係のない宮中行事が行われていました。それが、時代を経て男の子の健やかな成長を願う日となっていったのです。

端午の節句の由来

端午の節句は、今から2300年ほど前、春秋戦国時代の中国から日本に伝わってきたと言われています。

中国での端午の節句は、楚の国の国王の側近であった屈原(くつげん)という人を供養する祭りが起源となっています。屈原は、陰謀により失脚し、国を追われる中で川に身を投げて亡くなった人物。国民からの信頼も非常に厚かったため、人々がその死を悼み、彼の命日である5月5日に供養の祭りを行うようになりました。それが徐々に災いや病気を防ぐためのものに変わっていったと言われています。

では、5月5日が端午の節句と呼ばれるようになったのはなぜなのでしょうか。それは「端午」の「端」が初めという意味で、「午」が午(うま)の日を意味していることに関係していると言われています。旧暦では午の月は5月。当初は「端午」を5月最初の午の日としていたのですが、「午」と「五」が同じ発音であったため、5月初めの5の日、つまり5月5日が端午になっていったと言われています。

いつごろから端午の節句は男の子の節句となったのか

端午の節句が日本に伝わった当初は、まだ男の子の節句という位置付けではありませんでした。当時は、病気や災いを防ぐための節句として、強い香りが邪気を払うと信じられていた菖蒲とよもぎを軒下に飾ったり、菖蒲湯に入って厄払いをするものでした。

男の子の節句へと徐々に変わっていったのは、鎌倉時代以降のこと。端午の節句で用いられていた菖蒲(しょうぶ)の読みが「勝負」や武道を重んじるという意味の「尚武(しょうぶ)」と同じであること、また菖蒲の花の形が剣に似ていることから、男の子の成長と関連づけられるようになっていったといいます。

江戸時代になると、兜を飾ったり、のぼりを立てたりして現在と近い形で端午の節句を祝うようになったと言われています。

いつからこどもの日といわれるようになったか

端午の節句である5月5日が「こどもの日」となったのは、どのような背景があるのでしょうか。それは、国会において、もともと男の子の成長を願う日であった端午の節句の日に、全ての子どもの健やかな成長を願う日としての祝日を設けたいという請願がなされたことに端を発しています。それにより、昭和23年(1948年)7月20日にこどもの日が制定されました。

こどもの日はどう過ごすといい?祝い方は?

こいのぼりや兜、ちまきに柏餅……こどもの日をお祝いする昔からの風習はたくさんありますが、せっかくならその意味まで理解してお祝いできるといいですね。お子さまにとっても、1つひとつのお祝いのしきたりの意味や、背景を知ることで、文化や歴史への興味も生まれるかもしれません。子どもの日の伝統的な祝い方を由来と合わせてご紹介します。

こいのぼりを飾る

「屋根より高い鯉のぼり〜」と多くのこどもが小さなころから歌えるほど、こどもの日の定番であるこいのぼり。最近では、住宅事情からコンパクトなものなども登場するなどバリエーション豊かです。こいのぼりの由来や、飾り方について見ていきましょう。

■こいのぼりを飾る理由

中国では、鯉は出世のシンボルと考えられてきました。その理由は、中国の故事にあります。黄河という大きな川の急流に「竜門」と呼ばれる滝があり、多くの魚たちが滝を登ることを試みました。しかしながら、あまりに急な滝であるため登り切ることに成功したのは鯉だけ。成功した鯉は龍へと姿を変え、天に上っていったと言われています。この故事が元となり「登竜門」という言葉も誕生。鯉は立身出世の象徴となったのです。

このことから、子どもの健康やたくましい成長、立身出世の願いを込めるために、天を泳ぐこいのぼりを飾るようになったと言われています。

■いつからいつまで飾るのがいい?

こいのぼりを飾り始める日、そして片付ける日について、明確な決まりはありません。ただ、お祝いに向けてのムードを高め、飾りを長く楽しめるようにするには、4月の中旬くらいから飾るのがおすすめ。大安や友引など日柄と天気のいい日を選んで飾り始められるとよいでしょう。

片付けに関しては、いつまでも出していてはだらしない印象も受けてしまうため、できればゴールデンウイーク中、または翌週くらいまでにできると良いでしょう。ただし、しまう際は天気と湿度に注意! 湿気やカビから鯉のぼりを守るため、天気がよく湿度の低い日を選ぶようにしましょう。

兜を飾る

こいのぼりと並んで、こどもの日に飾る定番である兜。等身大のリアルなものから、小ぶりのもの、また折り紙で折ったものなど、様々なものがありますね。男の子にとっては、兜はかっこよく、強さを感じられるもの。飾ることで、誇らしい気持ちも抱くのではないでしょうか。

■兜を飾る理由

兜は、敵の攻撃から身を守るもの。そこから、子どもを病気や災い、事故などから守ってほしいとの願いをこめて飾られるようになったと言われています。
平安時代には、端午の節句の日には鎧や兜をまとい「競馬(くらべうま)」や「流鏑馬(やぶさめ)」を行っていました。それが鎌倉時代に入ると、武士たちが身の安全を祈願するために神社に鎧や兜を奉納するようになり、一般の市民も真似をして兜を飾る風習が生まれたと言われています。

■いつからいつまで飾るのがいい?

こいのぼり同様、かぶとも飾り始めや片付けの時期の明確な決まりはありません。基本的には、こいのぼり同様、4月の中旬からゴールデンウイーク中または翌週くらいまでが良いでしょう。

また、しまう日については、湿気やカビから兜を守るよう、天気がよく湿度の低い日を選んでください。

柏餅を食べる

餡子を包んだおもちを柏の葉で包んだ柏餅。柏の葉の香りもさわやかで、上新粉で作られたおもちの独特の食感がクセになるものです。

■食べる理由

柏餅の由来は、柏の葉の縁起の良さにあやかるためだったと言われています。柏の葉は、新芽が生えてこないと古い葉が落ちないという性質を持つもの。そのため、「家系が絶えない」「子孫が繁栄する」ことにつながる縁起の良い植物とされています。そこで、江戸時代のころから、柏の葉で包んだおもちを食べるようになったと言われています。

ちまきを食べる

ちまきは、もち米やうるち米、米粉などから作った餅を、笹や茅(ちがや)の葉で円錐形または三角形に包み、糸やイグサで縛り蒸したものです。茅(ちがや)の葉で包まれていることが多いことから「茅巻き(ちまき)」と呼ばれるようになったと言われています。なお、柏餅と違っておもちの中には餡子が含まれていないのが一般的です。

■食べる理由

ちまきを食べる理由は、端午の節句の起源ともなった屈原(くつげん)にあります。中国の春秋戦国時代に楚の国王の側近であった屈原は、陰謀によって失脚し、川に身を投げ5月5日に亡くなります。人望が厚く、国民からも親しまれていた屈原の死は、多くの人を悲しませ、その死を悼んだ人たちが川にちまきを投げ入れて供養したと言われています。そのため、中国では5月5日にちまきを食べるようになり、それが日本にも伝わったとされています。

菖蒲湯に入る

菖蒲の葉をお風呂に入れた菖蒲湯。剣のような菖蒲の葉と、菖蒲の強い香りに包まれたお風呂に、お子さまも驚くのではないでしょうか。無病息災を願うために、ぜひ取り入れたい風習ですね。

■菖蒲湯に入る理由

菖蒲の葉の形は、武士にとって欠かせない「剣」に似ています。また菖蒲の「しょうぶ」という読みは「勝負」「尚武(武道を重んじるという意味の言葉)」と同じです。これらの理由から、強くたくましい男の子の成長を願って菖蒲湯に入る風習が生まれたと言われています。

また、菖蒲は昔から薬草として用いられていたもの。強い香りで、邪気払いや魔除けができるとされていました。このことも菖蒲湯につかる理由の1つです。

初節句の祝い方は?

男の子が生まれて初めて迎える端午の節句を初節句と言います。初節句は子どもの健やかな成長を願う特別な機会。工夫をこらして、思い出に残る初節句にしていきたいですね。

初節句の祝い方のアイデア

こいのぼりや兜は、必ずないといけないものではありませんが、お祝いのムードを高めるためにも準備しておけるとよいですね。もし、購入する場合は費用負担など誰がするかなどを実家や義実家とも話し合っておくのが良いでしょう。以前は母方の実家が準備することが多い傾向にありましたが、最近は変化してきているようです。子どもの両親が準備する、両親・実家・義実家で折半するなど、相談しておくことをおすすめします。もちろん、市販の兜や五月人形でなく、折り紙などで作ったものでもOKです。

また、初節句は一生に一度の機会。新型コロナウイルスの感染予防対策をしっかりとったうえで、両家の両親も招いて食事会などできるといいでしょう。小さな赤ちゃんがいる中での準備となるため、手作りにはこだわらず、外食やテイクアウト、仕出しのお祝い膳を活用するのもgood。また、大事をとってZoomなどを利用したオンライン食事会にするのも良いですね。いずれの場合も、縁起がよいと言われている次のようなメニューなどがおすすめです。

  • ・出世魚と言われるブリ・ハマチ・カンパチなど
  • ・「勝つ」に音が通じる鰹
  • ・「めでたい」とされる鯛
  • ・お祝いの定番であるお赤飯
  • ・まっすぐ伸びる様子にあやかるタケノコ

ちまきや柏餅といった端午の節句の歴史にもとづいた食べ物も準備できるとよいでしょう。

初節句のプレゼントにおすすめなもの

初節句の年齢は0歳から1歳であることが基本。プレゼントを準備する場合は、その年齢の男の子の成長に役立つものにできると喜ばれるでしょう。

■知育玩具

 つみきや、かたち合わせ、パズルなど、遊びながら脳の発達や手先の使い方の練習にもなるものがおすすめです。

■乗用玩具

 体を動かす遊びは、体力作りや体の発達の面でも大切なものです。またがって床を蹴って進む車や、木馬など室内でも元気に遊べるものだと喜ばれるでしょう。

■身長計

 子どもの成長は記録したり、折々に確認したりしたいもの。壁に貼るタイプの身長計なら、気軽に子どもの成長を感じられるアイテムとなるでしょう。

■ベビーシューズ

 立ち始めたり、歩き始める時期とも重なることの多い初節句。外を靴で歩くことに慣れるために、室内用のベビーシューズを送るのも喜ばれるでしょう。贈る際は、サイズの確認を忘れずに。

親子で祝う、こどもの日のおすすめの過ごし方

お子さまが主役のこどもの日。親子で過ごす場合も、思い出深いものにしていきたいですよね。いつもと違う特別な日を演出できるちょっとしたアイデアをご紹介します。

手作りのこいのぼりを作ってみる

住宅事情等により、こいのぼりを飾れないご家庭も多いでしょう。そのような際は、手作りのこいのぼりを作って部屋の中に飾ってみてはいかがでしょうか?

トイレットペーパーの芯や紙コップを鯉の体に見立てたり、シールや手形、お絵描きで鯉の体の模様を作ったり……と工夫をこらすのも楽しいものです。

手作りのかぶとを作ってみる

折り紙や新聞紙でかぶとを作ってみることもおすすめです。折り方の解説動画などもたくさんあるため、親子で視聴しながら作るのも楽しいでしょう。模様付きの折り紙や、お子さまの好きなキャラクターがついた包装紙などを使うと、お子さまのテンションもUPするはずです。

また、お子さまの頭のサイズに合わせた「実際にかぶれるかぶと」を作ることもおすすめです。かぶとをかぶったら、気分は強い武士! お子さまの気持ちも盛り上がることでしょう。

一緒に料理をしてみる

お子さまとのクッキングも良い思い出となるでしょう。とはいえ、生のお肉やお魚に触れるのは心配な面もあるかもしれません。そういった場合は、デザート作りがおすすめです。

  • ・こいのぼりやかぶとの形のクッキーを作る
  • ・スポンジケーキを買ってきて、クリームやフルーツでデコレーションする
  • ・いろいろなフルーツをカットして、見た目も鮮やかなフルーツポンチを作る

デザート作りは手間がかかるものですが、クッキーの生地やスポンジケーキは市販のものを使えば効率的です。

菖蒲湯で銭湯デビュー

菖蒲を買って、自宅のお風呂に入れて、片付けをして……となると手間も大きいもの。そこで、菖蒲湯をしている銭湯で銭湯デビューをするのはいかがでしょうか。普段とは違う大きな湯船にお子さまの気持ちも盛り上がるはずです。とはいえ、新型コロナウイルス感染予防対策も忘れずに。事前に銭湯の換気状況や、利用者の少ない時間帯なども確認しておけると安心ですね。また、脱衣所や浴槽内での会話は必要最小限に留めておくよう、注意しておきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

こどもの日は、何気なく過ごしても楽しいものですが、由来や歴史を知ることで、より興味深く、特別な気持ちを抱いてお祝いすることができます。「こいのぼりにはこんな言い伝えがあってね……」「柏餅を食べる理由はね……」とお子さまの知的好奇心も刺激しながら、楽しい時を過ごせるとよいですね。

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