子どもの事故、「家の中」にも危険がいっぱい

消費者庁は、0~14歳までの子どもの不慮の死亡事故に関して、その発生傾向の分析結果をまとめました。発生現場の1位は「住居」で31%を占めており、家の中が意外と危ないことがわかりました。また2位は「道路・駐車場」の27%で、年齢が上がるにつれて交通事故の危険性も増えてくるようです。子どもの年齢ごとに、どんなことに気を付ければよいのかを見てみましょう。

0歳児は窒息、1歳児以上は交通事故がトップ

分析は、亡くなった人ごとに地方自治体が作成する「人口動態調査死亡票」をもとにして、2010(平成22)年から14(同26)年までに発生した子ども(0~14歳)の不慮の事故のうち、地震など自然災害を原因とするものを除いて集計しました。

5年間で発生した子どもの不慮の事故は2,030件でした。このうち0~6歳が64%を占めています。このことから消費者庁は、未就学児の事故防止対策が重要であるとしています。年齢ごとに見ると、0歳が25%、1歳が11%、2歳が7%、3~4歳が各5%、5歳が4%、6~7歳が各6%、8歳が5%、9歳が4%、10歳が3%、11歳が4%、12歳が3%、13歳が5%、14歳が7%となっており、0歳児が死亡者全体の4分の1に上っています。

0歳の死因は「窒息(就寝時)」が32%で最も多く、「顔がマットレスなどに埋まる」「掛け布団等の寝具が顔を覆う」「ベッドと壁の隙間などに挟まれる」などの事故が起こっています。次いで「窒息(ミルク等胃の内容物の誤嚥<ごえん>)」23%、「窒息(食物の誤嚥)」10%などで、異物が気管に入る「誤嚥」も窒息の大きな原因になっています。0歳児の事故対策では、就寝中の窒息と誤嚥による窒息の防止が最大の課題です。

1歳以降では、不慮の死亡事故のトップはいずれも「交通事故」でした。やはり子どもの事故防止にとって最大の課題は、交通事故に遭わないようにすることのようです。特に7歳児では死亡事故の59%を交通事故が占めており、他の年齢よりも交通事故の割合が高いことが注目されます。

転落や溺死(できし)なども

一方、死亡事故の2位以下を見ると、年齢ごとに不慮の事故を防止するためのポイントがうかがえます。
1歳は「溺水(浴槽内)」で、風呂場が危険な場所であることがわかります。さらに3~4歳では「建物からの転落」となっており、歩くことができるようになり活動範囲が広がることで、家のベランダや窓から落ちるケースが多いようです。9歳と11歳の死亡事故の3位も「建物からの転落」となっています。5~9歳と11~14歳では「溺水(屋外)」が死亡事故の2位となっており、子どもにとって川や海、プールなどは危険が多い場所といえるでしょう。

意外と多いのが「溺水(浴槽内)」です。10歳の死亡事故原因の2位、12~14歳の死亡事故原因の3位となっています。
このため、窒息や転落などと併せて、事故発生の場所は「住居」が子ども全体で31%、0~6歳のみに限ると39%となっています。家の中というのは、予想外に危険な場所が多いようです。

※子供の事故防止関連 「人口動態調査」調査票分析
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pdf/children_accident_prevention_161102_0002.pdf

(筆者:斎藤剛史)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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