「第6回 高校生アートライター大賞」大賞受賞者インタビュー 中村陽道さん

「アートライター大賞」とは、アートについて自分の言葉で考え、伝える力を育む、高校生のためのエッセイコンテスト。第6回の今回は、3人が大賞を受賞しました。
その中のひとり、「ARTS OF JOMON」という展覧会で縄文土器にインスパイアされた作品を見て『流れる、という思い』というエッセイにし、大賞を受賞した東京都立工芸高校3年生の中村陽道さんの想いをご紹介します。

縄文土器に宿った「生命のパワー」をエッセイに

表参道のスパイラル・ガーデンで開催された「ARTS OF JOMON」という展覧会をきっかけに感じたことを書いたのが『流れる、という思い』というエッセイです。

この展覧会は、縄文土器にインスパイアされた現代のアーティストが、それぞれの方法で縄文土器に関する作品を展示するというグループ展なのですが、歴史の教科書に出てくるような硬質な縄文土器に、私は生命が宿っているような力強さを覚えたのです。そして、アートをはじめとする表現行為は、「人が生きて死ぬ」という過去から今までの生命の奔流の中で葛藤しつつも、どう爪痕を残すのか、ということにあるのではないかと思い、その気持ちをこのエッセイに込めました。

日常のさまざまなインプットがエッセイのヒントになった

美術館やギャラリーにはよく行きます。そこで、作品を見て「いいな」と思うことはとてもよくありますが、それを誰にでも理解できる言葉と文章で伝えなければいけないということに難しさを感じました。「こういう感じだと思う」と、抽象的な感想を言うのは簡単ですが、それでは作品のよさは伝わらないと思ったからです。このエッセイを書いたことにより、美術館などですばらしい作品に出合ったときは、「この感動を、どうやって言葉にしよう」と考えるようになりました。

私は、本や漫画を読むのが好きなのですが、このエッセイを書いてみて、そうしたところから得た全く違う種類のバラバラな情報が、一つのテーマに偶然結びつくこともあるということがわかりました。

実は、エッセイに登場した親鸞の750回忌の言葉は、好きな漫画家の書いたインタビュー本で出てきた一節でした。このエピソードは、書く前にはエッセイに入れるつもりはまったくなかったのですが、書き始めてみると、自分が思ったことや感じたことを言葉にしていく中で「自分はあの言葉にも生命のパワーを感じたな」というように、「これとあれは実はつながっているのかもしれない」と、それまでの自分の体験や作品を見て思ったことが、自分の中でつながっていったのです。

卒業制作のプレゼンにも「言葉の説得力」を活かしたい

僕は高校のデザイン科で、グラフィックデザインの勉強をしており、今は卒業制作を控えています。この卒業制作ではまず、同じデザイン科の生徒の前で、制作物のコンセプトをプレゼンテーションします。そこでは、「これがなんとなくかっこいいと思ったから」という曖まいな言葉は避け、デザイン作品としてまわりの人を納得させるような言葉を選んで発表をしなければなりません。

今回のエッセイを書くにあたって、「見ること」と「書くこと」ことは必ずしもすんなりいくものではないこと、しかし感動を人に伝えたいときには、それを言葉にしなければいけないということを学びました。この経験をプレゼンテーションに、そしてこれからの自分の活動にも活かしたいと思っています。

小さい頃から絵を描くのが好きで、高校でも芸術や創作に関わることを学びたいと思い、専門課程のある工芸高校に入学したという中村さん。今は、秋に迫った文化祭の準備と美大受験のための予備校で忙しい日々を送っているそうです。これからは、デザイナーという多様性のある職業の中で自分のやりたいことを探したいと語ってくれました。
芸術鑑賞が趣味でもあるというご両親も、中村さんの進路を応援してくれているそうです。

「第6回 高校生アートライター大賞」
http://www.geijutsu.tsukuba.ac.jp/~awa/

主催:筑波大学芸術専門学群 共催:毎日新聞社
後援:文部科学省 全国高等学校美術工芸教育研究会
協賛:株式会社ベネッセコーポレーション

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