「高大接続」はどうなっているのか 迷走中の現状を専門家に聞く
高大接続システム改革会議「中間まとめ」に対して、文部科学省はパブリックコメント(意見公募手続)を実施。新テストをめぐる状況は今、いったいどうなっているのだろうか。ベネッセ教育情報サイトでは、教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に解説してもらった。
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高大接続改革は、これまでも紹介してきた通り、単なる「大学入試改革」ではなく、大学教育と高校教育のそれぞれと、その間をつなぐ大学入学者選抜を、一体で改革しようというものです。その一環としての大学入学者選抜では、高校版・全国学力テストともいうべき「高等学校基礎学力テスト(仮称)」で「知識・技能」を中心に測定する一方、学力評価テストでは「思考力・判断力・表現力」を中心に据え、個別大学の選抜では、両テストで担保された学力に加え、各大学の教育方針に沿って「主体性・多様性・協働性」を加味して選抜してもらおう--という構想です。
しかし、思考力・判断力・表現力を中心に出題する学力評価テストのイメージは、改革を提言した昨年12月の中央教育審議会答申の段階で、必ずしも固まっていたわけではありませんでした。中教審の特別部会では、具体例として全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)のB問題(主に活用)や、代表的な国際学力調査である「生徒の学習到達度調査」(PISA)の問題が例示されていましたが、これらは初等中等教育の問題であるばかりでなく、「調査」のための出題です。学力評価テストが目指すような、幅広い学力を持った大学入学希望者の選抜に耐え得るテスト問題として本当に出題できるのか、当時から専門家の間にも疑問視する向きが少なくありませんでした。文科省は、年度末までにまとめる最終報告までにはイメージを公表したい考えですが、裏を返せば事実上、今はまだ十分に示せる状態に至っていない、ということを意味します。
ただし、学力の3要素をバランスよく判定して入学者選抜を行おう、という高大接続改革の基本は変わらないでしょう。大学入学希望者は、テストの出題形式に左右されることなく、授業などを通して幅広い学力を身に付けるよう心がけることを忘れてはなりません。
出典:いまだ見えない「新テスト」問題のイメージ -ベネッセ教育情報サイト