勉強することが損だと思っている子に勉強のよさをどう伝えるべきか。

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宿題だけはやるけれど、それ以上の勉強はお断り! 勉強することに時間を使うのはもったいない、勉強するのは損、と考えるお子さまに勉強のよさをわかってもらうには、どのような伝え方をするのがよいでしょうか。

(赤ペン先生 河原)

この記事のポイント

勉強は損と考えるのは「今は」必要性を感じていないから

「この勉強して、いったい何の役に立つの?」勉強することは損、と考えるお子さまの胸の中には、常にこんな疑問が渦巻いているのではないでしょうか。

我が家にもそういう考えの持ち主が一人いて、小学生のころからことあるごとに「勉強する意味がわからない」と口にしていました。その度にさまざまな方向から諭してはみたものの彼女の心に刺さる言葉はなかったようで、中学生の時には学校内弁論大会の作文で「勉強をする意味とは(決められた勉強をするより、自分がやりたい勉強をすればよいのでは?)」という「意見文」まで書いたくらいです。先生はさぞかし苦笑いされたことでしょう。

この娘は、勉強に限らず納得できないことはやれないタイプ。でもその半面、やる必要があると納得したことには、非常な熱意と集中力でとことん取り組むことができるのです。誰に言われたわけでもなく、自らの意思で。もしかしたらお子さまも同じではありませんか?
「勉強は損」と主張するお子さまは、ただ勉強が嫌で面倒がっているのではなく、少なくとも「今の時点では必要ない」と自分の考えで判断しているのだと思います。

勉強のよさを伝えるには、言葉では響かない

「自分の考えを持つ」ことや「自分で判断する」ことを教えるのは、勉強を教える以上に難しく、時間もかかります。ごく自然にそれを行えるお子さまは、恵まれた資質を身に付けているといえるのではないでしょうか。自分の考えに素直で正直で、伸び伸び育っていると推察することもできます。

自分の考えをしっかり持っているお子さまには、どんな名文句を並べて「勉強のよさ」や「勉強することの意味」を伝えたところで考えを変えることはできないでしょう。「勉強のよさ」をわかってもらうには、学ぶことの楽しさを「体感」してもらうしかないように思います。

何かを掘り下げることの楽しさを体感してもらう

学校の勉強については、宿題をやっていればオーケーといったん割り切りましょう。その代わりに、「お勉強感」を出さないように注意しながら、一つのテーマについて掘り下げてみることをさりげなく促してはいかがでしょうか。お子さまの好きなことや興味があること、そのあたりからスタートしてみるのがよさそうです。

たとえばゲームが好きなお子さまだったら、今夢中になっているゲームの概要や、どんなところが面白いのか、どんなところをクリアするのが難しいのか、などをまずは聞いてみましょう。さらに登場するキャラクターの由来やゲームを作ったクリエイター、販売している会社などについても話題を広げ、お子さまが知らないことがあれば「調べて教えてほしいな」とつぶやいてみるのです。

好きなことについて聞いてもらえるとわかれば、お子さまは調べることを苦にしないのではないかと思います。「せっかく調べたこと、ほかの家族にも聞かせたいから紙にまとめてみてくれない?」と声をかけたら、どう伝えたらよいかを考えながら真剣に資料を作ってくれるかもしれませんね。

何かを掘り下げ、探求することの楽しさは、学びの楽しさに通じます。それを体感できたお子さまは、いつか勉強の中にも同様の楽しさを見いだすことができるように思います。

まとめ & 実践 TIPS

「勉強することは損」そう主張するのは、お子さまが自分の考えをしっかり持っているゆえのこと。そんなお子さまには「勉強のよさ」を言葉で伝えるよりも、好きなものや興味を持っていることを掘り下げ、探求してもらい、「学ぶことの楽しさ」を実際に体感してもらうのがよいと思います。

「これだ!」と思う方向を見極め、判断する力が備わっていれば、「自分にとってこの勉強が必要」と感じた時には素晴らしいパワーで突き進んでいけるはずです。柔らかく自由な感性を持つお子さまがこれからどんなことに出合うのか、とても楽しみですね!

赤ペン先生 河原はるこ

河原はるこ

「赤ペン先生」歴8年。4年生担当。
高校生の時、「赤ペン先生」の心のこもった美しい字のおたよりに励まされた思い出があり「赤ペン先生」に。子どもたちへは、「まちがえるのは恥ずかしいことではない!」「どんどんまちがえましょう!」という思いを持ちながら、一生懸命に書かれた解答を尊重し、大切なポイントが一目でわかる指導を心がけている。
趣味:読書とフルーツ酢作り
自己紹介:のんびり屋、でも好きなことには熱い一面も。
中高生3児の母。

プロフィール



赤ペン先生は「進研ゼミ」の選考に合格し、ゼミ独自の研修・教育を通じて、教科の学習内容やお子さまの力を伸ばす指導法などを学んだ人です。 お子さま一人ひとりの解答状況や学習の到達度に合わせて、丁寧に添削・指導いたします。 ※「赤ペン先生」は(株)ベネッセコーポレーションの登録商標です。

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