宿題や家庭学習を後回しにする娘。どう導けば?[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学2年生の娘のことです。1年生のころは学校から帰るとまず宿題と次の日の学校の仕度をして、30分程度の家庭学習をしてからお友達と遊んでいました。しかし2年生の夏休み明けくらいから「宿題はあとで」と言って先に遊び、帰ってくると食事・お風呂・ゲームなどで時間を使ってしまいます。宿題は嫌々雑にしたり忘れたりするようになり、家庭学習もしなくなりました。生活全体が好きなこと優先で、しなければならないことは後回しです。どのように導いたらよいのでしょうか? 家庭学習が無理なら塾へ通わせようかと検討しています。(りんごママさん)

 

【親野先生のアドバイス】

りんごママさん、拝読いたしました。

ご安心ください。
これがほとんどの子どものたどる普通の道であり、そうあるべき道でもあるのです。ですから、この子はとても健全に成長しているのです。

子どもたちは、1年生の初めに、まずやるべきことをきちんとやってから遊ぶように言われます。それで、子どもたちは、そういうものだと思って素直にやります。みんな張り切っていますし緊張もしていますので、そのまま1年間はがんばれるのです。

でも、だんだん疲れてきますし、必ずしもそうしなくてもいいのではないかと気が付いてきます。クラスの友達にも先輩たちにも、そうしていない子がいることもわかってきます。
そして、自分もそこまでしなくても実はやっていけるということに気が付きます。

それに、友達ともっとたくさん遊びたいという気持ちも強くなってきます。
というのも、発達心理学上でギャングエイジといわれる3、4年生に近づいているからです。

この年代には次のような特徴があります。

・大人との関わりよりも子ども同士の関わりが強くなる
・それまでは大人にどう思われるかが大事だったのが、そのころから子ども同士の価値観のほうが大事になってくる
・子どもたち同士の結びつきが強くなり、群遊びができるようになる。秘密基地を作るのもこのころが多い

このようなわけで、この年代に友達とたくさん遊んでおくことは非常に重要です。そこで、友達との付き合い方、誘い方、断り方、自己主張の仕方、妥協の仕方、怒り方、感情の出し方、受容の仕方、共感の仕方、けんかの仕方、仲直りの仕方など、友達関係に関わる多くのことを学ぶのです。

ましてや、現代のように、どの子も忙しい時代においては、友達と遊べるときに遊んでおくことは勉強以上に重要です。
私は、はっきり勉強以上に重要だと言います。
健全な友達力を身に付けることは、勉強以上に重要です。

現在の子どもにまつわる問題の多くは、子どもたちの友達力の未熟さによるものだからです。そして、その原因は、友達との遊びのなかでそれを身に付ける時間が決定的に不足していることにあるのです。
ですから、学校から帰ってきたら、まっ先に友達と遊ぶというのはすばらしいことなのです。

また、先に遊んだほうが、その分明るいうちに遊べて明るいうちに帰ってくることができます。
安全面から見ても、理にかなっています。
ですから、先に遊びに行かせてやって、その代わり帰宅時刻を厳守させるのがよいと思います。先に宿題をやっていたら、明るいうちに遊べる時間が減りますし、帰り道も暗くなるわけです。

「先に宿題をやってから遊びに行きなさい」は昔の話です。
「先に遊びに行きなさい。帰る時刻は絶対守りなさい」が今のやり方です。

「帰ってくると食事・お風呂・ゲームなどで時間を使ってしまいます。宿題は嫌々雑にしたり忘れたりするようになり、家庭学習もしなくなりました。」

まず、帰ってくる時刻を厳守させることです。そして、いろいろと時間の使い方を合理的に工夫することが必要です。
集中力を高めるために、ストップウオッチやタイマーや砂時計などを使うのもいいでしょう。宿題も家庭学習も、まず簡単なものから取り組むと入りやすくなります。できたら、やる順番を決めておくとリズムがつくりやすくなります。

テレビは、必ず録画してから見るという習慣にしておくといいでしょう。そうすれば、テレビの都合に合わせなくてすみます。
人間をテレビに合わせるのではなく、人間にテレビを合わせるのです。

学力を上げるには、楽勉に心がけるのもいいと思います。
家庭学習や塾もいいとは思いますが、過重負担にならないようにしてください。なんといっても、家庭の一番の役割は、安心して心からくつろげる子宮のような場所を子どもに保障することです。

家庭で安心してくつろげないでストレスがたまってしまう子は、外でストレスを発散するようになります。友達とのけんかが増えたり、授業時間に集中できなかったり、やってはいけないことをやってしまったりするようになります。

まずは、安心して、お子さんが健全な成長をしていることを喜んでください。
そのあとは、楽しみながらいろいろと合理的な工夫をしてください。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。りんごママさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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