大学教育、ますます「主体的な学び」に動く

文部科学省は、2013(平成25)年度の大学教育の改革状況をまとめました。ここからは、大学がアクティブ・ラーニング(AL)をはじめ、学生に「主体的な学び」を促そうと、ますます努力している様子がうかがえます。

学習指導要領の改訂で、小中高でも注目されているALですが、もともとは大学教育の用語で、「能動的学修」と訳されています。文科省の定義では、一方的な講義形式ではなく、学修者の能動的な参加を取り入れた教授・学習法の総称で、発見学修、問題解決学修、体験学修、調査学修はもとより、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループワークなども含まれます。ここでは「学習」と「学修」が混在していますが、誤植・誤変換ではなく、大学では授業プラス学生の授業にかかわる自主的な勉強時間で単位を認定することになっているので「学修」という言葉を使っています。

そのALを、効果的にカリキュラムに組み込む検討を行っている大学の割合は62%と、ほぼ3分の2で、前年度(55%)に比べ7ポイント増加したことがわかりました。大学で急速にALを意識した授業改善が進んでいる様子がうかがえます。
学部の学生の学修時間や学修行動を把握しようとしている大学は、前年度の40%から60%へと20ポイントも上昇していますから、学生の自主性に任されていた保護者の時代とはすっかり様変わりしています。一人で勉強するだけでなく、図書館に学生が集まって学習できる「ラーニング・コモンズ」の整備も42% → 51%と9ポイント増え、半数を超えました。
このように大学が学生や学生相互の主体的な学びを促そうとしているのは、それが社会に出てから、じわじわと効いてくるからです。

ベネッセ教育総合研究所の「大学での学びと成長に関するふりかえり調査」によると、大学時代に主体的な学びが多かった人たちでは、少なかった人たちより、「成長を実感した」と回答した割合が20ポイントも高くなっています。在学中は、そうした主体的な学びの重要性に気付くことは少ないのですが、卒業後に時間がたつほど、その重要性を痛感するといいます。ALなどを通じて身に付く力が、まさに社会で不可欠になっていることを表わしているでしょう。

しかも、主体的な学びの経験は、自己効力感を高めるというだけでなく、卒業後30年たっても、現在の自己効力感に影響していたといいます。人生をも左右するといえそうで、学生時代の充実した学びがいかに重要かが、改めてわかります。

高大接続改革(外部のPDFにリンク)の中で今後、大学入学者選抜改革だけでなく、大学教育の改革もますます進んでいくことでしょう。大学進学を希望する生徒も、オープンキャンパスなどから、大学がそのように変わっているのだと認識して、進学先を選ぶことが重要です。「楽勝科目」を選んで卒業できれば就職も何とかなる……という姿勢は、もう通用しないのです。


プロフィール

渡辺敦司

渡辺敦司

1964年北海道生まれ。横浜国立大学教育学部卒。1990年、教育専門紙「日本教育新聞」記者となり、文部省、進路指導問題などを担当。1998年よりフリー。連載に「『学力』新時代~模索する教育現場から」(時事通信社「内外教育」)など。

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