子どものだだこね対処術【後編】効果的なアプローチとは?

お子さまが出かける前にだだをこね出したり、外出先で大きな声で泣いたりすると、本当に困りものです。そうなってしまう前にはどんな対策をすれば、またヒートアップした時にはどうすればよいのでしょうかか。前編に続き、白百合女子大学の秦野悦子先生にだだこねへの対応法について伺いました。



子どもの思いをまずは受け止めて

だだこねへの対応法に唯一無二の正解はありません。その時々によって、だだをこねる理由も状況も異なるからです。ただ、基本的な考え方として、次のようなことをお伝えしたいと思います。

子どもが自己主張をした時には、まずはその思いを受け止めてあげましょう。たとえ、その要求は受け入れられない、実現できないものだとしても、頭ごなしに「できないと言っているでしょ」「買ってあげません」と言わずに、「自転車をこぎたいんだね」「ジュースを飲みたいんだね」と、まずは子どもの欲求を受け止めてください。親がその思いを認めることで、子どもは「自分の気持ちをわかってくれた」「自分は認められた」と安心するからです。

「子どもの気持ちを受け止める」と「子どもの要求を受け入れる」は、別のことだと考えてます。たとえば、「だっこして」と言われた時は、「だっこしてほしいんだ」とまずは思いを受け止め、そのうえで、「でも、ママ、両手に荷物を持っていて、だっこしてあげられないんだ」と、受け入れられない理由を説明します。この順序が重要なのです。それでも、「だっこして」と言うのならば、「だっこできないのよ、困ったね」と、保護者も困っていることを、子どもに伝えてみるのも一つの方法でしょう。

一貫した態度を取ることも大切です。ぐずられたくないばかりに、「今日は特別だよ」と念を押しても、子どもにしてみれば「買ってもらえた!」と要求がかなったことしか覚えていません。自分の要求を押しとおすという経験は、だだをこねを加速させます。
ですから、家族では基本的に同じような対応をするのが望ましいといえます。子どもの行動に対しどのような態度を取ったのか、日頃から夫婦で情報交換をしておくとよいでしょう。また、祖父母はつい孫を甘えさせがちです。ゆずれない部分については、どのような方針をとっているのかを伝えておくことも必要でしょう。



だだこねの前の対策も大切

朝の忙しい時間帯に、子どもにだだをこねられると保護者もイライラが募ります。そこで、だだこねを防ぐ手立てを考えてみませんか。子どもが不機嫌そうであれば、だだこねが出やすいサインです。自分の支度を早めに済ませ、子どもの支度につきあう余裕を生み出しておくのです。

「このお洋服はイヤ」などと言いそうな時は、最初から子どもに選ばせましょう。自己決定をすることで満足もしますし、自分で選んだのだからとあとで説明もつきます。「幼稚園に行きたくない」とだだをこね出した場合には、「行きたくないのかー」とその気持ちに寄り添ってから、理由を考えてみてください。体の調子が悪いのか、保護者に甘えたいのか、もしかしたらお友達とケンカをして行きたくないなどといった理由があるかもしれません。それによって、対応は異なります。「先生に昨日作った折り紙を渡そうよ」「今日はどんなシールかな」など、子どもと幼稚園をつなげてみましょう。「着させられる」「連れていかれる」のではなく、「着る」「行く」と自分で決めて動くことがだだこねヒートアップの切り替えにもつながります。

お出かけの際には、だだこねの予防策をしていきましょう。何度か外出をすれば、子どものしそうな行動も予測がつきます。だだこねが発生しそうな場所は避けて通れるように計画しておき、事前に子どもに説明しておきます。「ジュースは買わないからね」「おもちゃ売り場には行かないよ」など、何度も言っておきましょう。子どもは忘れてしまうかもしれませんが、だだこねが始まりそうな時に「今日は○○って言ったよね」と思い出させることもできます。

飽きてきたり、疲れてきたりすると、だだこねも出やすいものです。保護者の都合を優先させようとしている時はなおさら、休憩を取れる場所をあらかじめ調べておき、適度に休みましょう。

だだこねは大きな負の感情です。ヒートアップしてくると、子どもは自分でなかなか気持ちを切り替えることはできません。特に外出先ですと、周囲の目もあって、ますます泣き叫んだり、暴れたりしがちで、保護者も対応に困ってしまいます。しかし、子どもの負の感情に巻き込まれて、一緒におろおろしたり、更に怒鳴ったりしてはいけません。子どもの気持ちを落ち着かせ、切り替えられるように誘導していきましょう。その場から離れて気持ちを切り替えさせたり、ぎゅっと抱きしめて安心させたりすることも効果的です。落ち着いてきたところで、改めて何をしたいのかを聞いて、その気持ちを受け止めてあげてください。

保護者はいつでも子どもの心の内をわかって対応できるものではないと思います。でも、だだこねは単なるわがままではないのだととらえられるだけでも、保護者として心の持ちようが変わってくるのではないでしょうか。

プロフィール


秦野悦子

白百合女子大学教授。専門は発達心理学(言語発達、障害児のコンサルテーション、子育て支援)。臨床発達心理士。わかふじ幼稚園副園長。主な著書に『心と体が育つ親子遊び』『最新しつけ大百科』(以上ベネッセコーポレーション、編著)などがある。

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