手出し・口出しするならココ! 自由研究のマンネリを高学年らしくチェンジ!

お子さまの夏休みの宿題「自由研究」。毎年、頭を悩ませていませんか。高学年だからひとりで取り組んでほしいけれど、進まない様子を見るとつい手出し、口出ししてしまう……というかたも多いと思います。そこで、子供主体で自由研究に取り組むための関わり方について、「第11回 夏のチャレンジ 全国小学生『未来』をつくるコンクール」(*)自由研究部門・環境部門で審査員を務める深海先生にお話を伺いました。
(文/大島佳子)
*ベネッセ教育総合研究所主催「第12回 夏のチャレンジ 全国小学生『未来』をつくるコンクール」

そもそも自由研究とは、「自由」な研究子供の「やりたい」が大事

子供は、自分が好きなことや興味があることに対してはやる気がアップします。そんな子供たちが意欲的に取り組めるように、自分で「自由」にやりたいテーマを選び、自分なりに「研究」するために設けられた課題が「自由研究」です。

自由研究に取り組む利点は、大きく2つあると深海先生は言います。
「ひとつは、テーマ選びや研究の過程を通して、これまで学校で学習した内容ややり方を活用することで、学んだことをしっかりと身につけられること。もうひとつは、自分がやりたいことを自分でやりとげることで、大きな満足感を得られることです」
ところが、親が指示したりサポートしすぎたりすると、大きな満足感を得ることもできません。特に、自立心が育ち反抗期でもある高学年では、子供が主体的に進めて、親は見守るのが理想的。とはいえ、「放っておくといつまでたっても進まない」という状況では、おうちのかたもイライラが募りますよね。
「親が関わる場合でも、内容を決めたり実行したりするのは子供。子供が『自分でやった』という気持ちがもてるように、とまどいやすいポイントで上手に促しましょう」(深海先生)

自由研究で子供がとまどうポイントは、次の3つ。
①テーマが決まらない
②やり方・調べ方がわからない
③うまくまとめられない
ここでの口の出し方、手の出し方に気をつけることで、お子さまの意欲がぐんとアップします。

子供がとまどう3つのポイント、どう関わる?

では、取り組むステップに沿って具体的な方法をご紹介します。

TEP1 テーマ決め
テーマが決まらない」のお悩みサポートポイント
人から与えられた課題では、そこそこの形にまとめればいい、となりがち。テーマ選びでは、お子さま自身が興味のあることを選ぶのが大前提で、これは高学年も低学年も同じです。
「これを自由研究にすればいいよ」とおうちのかたが決めてしまうのではなく、例えば野球が好きな子なら、「どんなフォームや握り方だと速いボールを投げられるの?」など調べてみるヒントを与えるくらいにしましょう。

親の関わりポイント
・子供が好きなことや学校で習ったことをヒントに、さりげなく興味をもちそうなことをつぶやいてみましょう。
・子供が「なんでだろう?」と口にしたら否定しない。
つまらないと思ったことでも、気づいたことをまずほめて、気持ちを盛り上げてみましょう。

TEP2 調べる
やり方・調べ方がわからない」のお悩みサポートポイント
自由研究では、インターネットや本から知識・情報を得ることももちろんよいのですが、それで結果がわかっても、本当に理解できているとは限りません。インターネットや本の情報を解釈して自分の言葉でまとめるならまだしも、ただ書いてあることをまとめていくようでは、自由研究を行う意味がありません。自分なりに考え、調べることが大切です。
お子さま自身に考えさせ、なかなかいい案が出ない様子であれば、「そういえば、教科書を見れば参考になることが載っているかもよ」などと促してみましょう。

<豆知識学校の理科の授業では、下記の調べ方を学習しています。

【小3】比較して調べる
実験前と実験後の変化を調べる、条件の違う複数のものを比べる、など、比較することで違いを見極める学習をしています。>

【小4】原因を分析する
なぜ違うのか、原因を調べることを学びます。「△△だから、××の場合は□□が違う」というように、物事を筋道立てて考える論理的思考力を養います。

【小5】条件を制御して確かめる
AとBの違いの原因を確かめるために、調べたい条件以外の条件を同じにして調べる方法を学びます。例えば、植物の栽培で、日当たりが違うと育ち方がどう変わるのかを調べるときは、日当たり以外の条件(土、植物の種類、水やりの方法など)は全て同じ条件で、日当たりだけを変えた鉢を複数用意して調べたりします。

【小6】推論する
いままで学習してきたことから総合的に考え、「こういうことなのではないか」と自分なりの仮説を出し、その考えが正しいか正しくないか調べます。


親の関わりポイント
・方法そのものは教えない。
 子供自身が考え、気づけるような手がかりを与えたりヒントを与えたりして、決めるのは子供に任せて
・子供だけでは危険なことは、一緒に行ったり見直しのサポートをしたりする。

STEP3 まとめる
「うまくまとめられない」のお悩みサポートポイント
調べることが終わるとひと安心して、まとめを面倒に感じるお子さまも多いようです。調べたことをそのまま文章で書くだけ、となってしまいがちです。
そんなときは、「初めて読む人には、どう書いたらわかりやすく伝わるかな?」と声をかけてみましょう。

他の人に伝わりやすくするには、以下のような方法が効果的です。
・項目や見出しを立てて書く。
 (例:次の①~⑥のような見出しを立ててまとめる
   ①研究の目的 ②予想(仮説) ③調べ方 ④実験・観察 ⑤結果 ⑥考察)
・図や絵で文章を補足する。
・写真は、大きさや角度を工夫する。
 (例:対象物を定規と一緒に撮影し、対象物の大きさをわかりやすくする、など)
・グラフを活用する。
 (例:時系列の変化は折れ線グラフ、量の比較は棒グラフ、など)

また、お子さまなりに工夫ができたときには、ぜひ「○○したら、すごくわかりやすくなったね!」と努力を認めてあげてください。

難しいテーマ、完璧な仕上がりを求めすぎないように

高学年らしい自由研究を考えたとき、お子さまが取り組む内容について、『子供っぽい』『簡単すぎる』と感じることもあるかもしれません。でも、おうちのかたから見ると幼くありきたりに感じる内容も、ユニークな研究になることもあります。
例えば、「アリの通り道にいろいろな甘い食べ物を置き、アリが好きな物が何かを調べる」という研究。一見、低学年の子が取り組む研究のように感じるかもしれませんが、そこに「甘い食べ物だけでなく、いろいろな匂いがするものを置いてみる」と視点が広がると、「アリの好きな食べ物だけでなく、嫌いな匂い=アリ除けの効果があるものがわかる」深みのある研究になります。

「高学年の自由研究では、親は、難しいテーマや複雑な方法、完璧な仕上がりを求めてしまいがちです。でも、親目線での完成度の高いものを求めすぎるとつい親が主導してしまい、子供の自由研究ではなく、親の自由研究になってしまいます。意欲をもって取り組むうちにぐんと深まったり広がったりすることも大いに考えられます。まずは、子供主体で進められることがいちばん。お子さまが『自分でやった』という満足を得られるような支援をしてあげてください」(深海先生)

自由研究のヒントがいっぱいのこちらのサイトも、ぜひチェックしてみてください。

全国の小学生からヒントがもらえる!    ナツケン 夏の宿題検索サイト
http://navi.benesse.ne.jp/sho/all/others/natsuken/

第12回 夏のチャレンジ 全国小学生「未来」をつくるコンクール
http://navi.benesse.ne.jp/sho/all/others/concour/

プロフィール


深海龍夫

東京都公立小学校校長、全国小学校理科研究協議会会長、東京都小学校理科教育研究会会長を経て、現在はベネッセ教育総合研究所顧問を務める。

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