なわとびステップアップ上達法【STEP-1】 前回しとび
子どもから大人まで、多くの人に親しまれているなわとびですが、苦手なお子さまも多いのではないでしょうか。なわとびはリズム感や瞬発力、持久力など、スポーツにおける基礎的な能力が身に付く、理想的な運動です。あやとびや交差とび、二重とびなど、中には難しい技もありますが、ちょっとしたコツを覚えることで、すぐに跳べるようになるでしょう。教えてくれるのは「究極のスーパーなわとび」と呼ばれる「ダブルダッチ」の元世界チャンピオンで、なわとびの指導や普及活動を行っている、小野健太コーチです。
まずは、練習を始める前の注意点を学び、それからすべてのなわとびの技の基本、「前回しとび」に挑戦しましょう。
※「ダブルダッチ」とは2本のロープを向かい合って回し、その中で音楽に合わせてダンスやアクロバティックな技を交えながら跳ぶスポーツ。若者や子どもなどを中心にブームになりつつあります。各地で国際大会も開催され、日本は強豪国として世界をリードしています。
<なわとびステップアップ上達法(動画)>
練習を始める前の注意点
<なわとびステップアップ上達法 練習を始める前に(動画)>
練習を始める前にいくつか注意点を確認しましょう。
●練習する時の服装
なわとびを跳ぶ時は、なわがズボンの裾に引っかからないよう、軽くて動きやすい服装にしましょう。男のお子さまはハーフパンツやスリムパンツ、女のお子さまはレギンスやハーフパンツなどがよいでしょう。
●練習する時の靴
靴はクッション性のあるスニーカーなどを選び、靴ひもはじゃまにならないように、しっかりと結びます。素足やサンダル履きは、足首を傷めるのでやめましょう。
●練習する場所
コンクリートなどの固い地面も足を傷めるので、土の上やフローリングなどで練習するようにしましょう。
●心構え
なわとび上達のコツは、第一に根気よく続けること。途中であきらめたりしないよう、最初は簡単な目標を設定し、それが達成できたら、周りのかたがしっかりほめてあげましょう。一つの技を覚えた時の達成感は、お子さまにとっての大きな自信につながります。
前回しとびは、なわとびの最も基本的な技
<なわとびステップアップ上達法 【STEP-1】前回しとび(動画)>
まず、前回しとびの理想的な動きを確認しましょう。
脇を締め、手首を腰の辺りに置き、手首を使ってなわを回します。ジャンプの際は、体を真っすぐに伸ばし、前を向きます。着地の際には軽くひざを曲げ、地面の反動をやわらげます。
前回しとびの基本的な動きは以下です。
(1) 体の後ろになわを回し、構えます
(2) 後ろからなわを前に出し、手首を使って回します
(3)肩に力を入れずに、つま先で軽く両足ジャンプ
※体は真っすぐに伸ばし、顔は正面を向いたままにします。空中では体をリラックスさせて、リズムよく跳び続けます
なわとびが苦手なお子さまは、ひざを大きく曲げてジャンプしてしまうことがよくあります。しかし、これではなわに引っかかりやすくなるうえ、動作が大きいため疲れてしまい、跳ぶ回数を伸ばせません。体は真っすぐなまま、ひざを曲げず、着地の際には大きな音が立たないよう、つま先でジャンプすることがポイントです。
前回しとびの練習 ~その場でジャンプ
最初は、なわを使わないで、ジャンプの練習から始めましょう。体を真っすぐに伸ばして、つま先でジャンプ。着地の際にはきちんと足をそろえ、同じ場所に足が着くようにします。
次は2人1組になって、1人がボールのようにジャンプして弾んでみましょう。もう1人が、バスケットボールでドリブルをする時のように、後ろから肩を押さえます。肩を下に押してくれる力を利用して、体を上下に弾ませる感覚を身に付けます。
ジャンプをする時は、体を曲げたり反り返したりしてはいけません。背中を伸ばして、真上にジャンプをするようにしてください。また、着地の時はひざを曲げないように気を付けましょう。その場で、つま先で跳ぶようにジャンプをします。肩の力は抜いて、腕はぶらぶらとさせ、リラックスします。この方法は、ジャンプの時の姿勢を正しく整えるのに最適です。部屋の中や、狭いスペースでもできるので、試してみてください。
前回しとびの練習 ~なわの持ち方
なわの持ち方を確認しましょう。指をそろえてグリップを握り、添えるようにして親指を伸ばします。テレビのリモコンを操作するようなイメージです。「グー」のように強く握ってしまうと手首が固くなり、うまく回せなくなってしまいますので、注意しましょう。
前回しとびの練習 ~1回ずつジャンプ
なわの持ち方を確認したら、今度はなわを使って1回ずつジャンプします。ジャンプとなわを回すタイミングを身に付けましょう。まず、後ろから前になわを回して持ってきたら、1回ずつ越えるように跳びます。「『前に来たな』と思ったら跳ぶ」ようにします。ジャンプの練習で学んだように、背筋を伸ばして上に飛びましょう。なわを回しているからといって、お尻を突き出したり、反ったりしてはいけません。この時、脇は締めて、なわは腰の辺りで回します。
また、親指で円を描くように手首を回すと、スムーズになわが回ることも覚えておきましょう。最初のうちはゆっくりジャンプしますが、慣れてきたら少しずつ早くしていきます。跳ぶ時はお尻を突き出したり、足が曲がったりしないように注意します。
前回しとびの練習 ~リズム感を身に付ける
今度はリズム感を身に付けましょう。なわを使わずジャンプして、空中でももを1回たたきます。通常、なわとびを跳ぶ瞬間は両手が下がっているため、両手を下げてももをたたくことで、実際に跳んでいる時のリズム感を体で覚えることができます。なお、連続して練習する時は、いちばん高く跳べたところでももをたたくことを心がけるとよいでしょう。
ジャンプする時のリズム感は、縄跳びに最も必要なポイントです。跳ぶ時は体をリラックスさせて、同じ場所で真っすぐ上に跳べるようにしましょう。
前回しとびの練習 ~片手でなわを持ってジャンプ
リズム感を覚えたら、今度は片手になわを持って回しながらジャンプ。なわを回す時は、腕を体から離しすぎたり、大きく振り回したりしないよう注意して、手首を腰の横辺りで回すようにしましょう。なわが地面にあたる瞬間と同時に跳べるよう、ジャンプとなわを回すタイミングをつかみましょう。
まずはジャンプをせず、回すだけの練習をします。片手になわを持ち、まず腰の辺りで小さく円を描くように回します。この時、なわが遠くなったり、手より前にまわったりしないよう、体の横でしっかり回してください。うまく回せるようになったら、なわが地面に着く瞬間にジャンプします。1回ずつできるようになったら、連続でやってみましょう。
前回しとびの練習 ~連続してジャンプ
前回しとびの最後の練習は、両手でなわを持って連続してのジャンプです。これまでに練習したことを組み合わせて跳びます。なわの回転とジャンプのタイミングがずれないよう注意して、リズムよく真っすぐ上にジャンプできれば、なわは勝手に回ってくれるでしょう。手は腰の辺り、ジャンプのリズムは一定、背筋を伸ばして跳びましょう。脇は締め、つま先で跳ぶようにすれば、きれいに跳べます。親指で円を描くように手首を回すことも意識します。
ここまでくれば、なわとびに対する苦手意識もずいぶん減っているのではないでしょうか。ご家庭でお子さまと一緒に練習すれば、ジャンプの時に体は曲がっていないか、腕の回し方は正しいかなどを、保護者のかたが見てあげることができます。きちんとできていた時には、しっかりほめてあげましょう。
動画では各練習の最後に、かっこいいフィニッシュの決め方をご紹介しています。最初はなわを足で止めてみましょう。なわの回転に合わせ、なわを踏んで、なわを「V」の字にストップさせる「ベーシック・ストップ」です。かっこよくポーズを決めることや、オリジナルの技を決めることもできますので、いろいろと挑戦してみましょう。