【専門家】箸の持ち方の練習はいつから? 教え方は?子どもが使いやすい箸の選び方やトレーニング箸も紹介

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箸の持ち方の練習はいつから?教え方は? 子どもが使いやすい箸の選び方やトレーニング箸も紹介

お箸の持ち方をお子さまに練習させる時、なかなかうまくいかず、お悩みの保護者のかたは少なくないでしょう。「正しく持たせなきゃ」と焦っている方もいるかもしれません。

いつから、どんな方法で、どんな箸を使って練習したらよいのか、管理栄養士として、長年にわたり乳幼児への栄養指導を行われている太田百合子先生監修のもと、具体的に見てみましょう。近年注目されているトレーニング箸についても、併せてご紹介します。

子どもが箸を持ち始めるのはいつから?

子どもが箸を持ち始めるのはいつから?

箸の練習をスタートさせる年齢に、決まりはありません。発達や発育に差があるように、箸の練習を始めるタイミングもそれぞれです。お子さまの様子を観察しながら、箸へステップアップしてもよいかどうかのサインを見つけてあげましょう。

先輩保護者たちと一緒に食事をする機会があれば、箸の練習の開始時期についてアドバイスをもらってもよいですね。
以下のタイミングやサインを一つの目安にして、箸の練習を始めてみましょう。

箸に興味を持っている

大人が使っている箸をじっと見るようになったり、「自分も箸を使いたい!」と自己主張したりするようになったら、箸に興味を持ち始めた証拠です。お子さま自身が箸を使いたいという気持ちになった時は、練習を始めるベストタイミング。やる気や喜びにあふれているので、練習のモチベーションも保ちやすいでしょう。

ピースサイン、スプーンやフォークの鉛筆持ちができるようになる

「ピースサインができる」というのは、指先を上手に動かせる一つの目安になります。また、スプーンやフォークの持ち方にも注目してみてください。上から握るのではなく、鉛筆を持つように握って食事ができるなら、箸の練習をスタートするのによいタイミングです。

幼稚園や保育園で箸の練習が始まる

多くの幼稚園や保育園で、年中から年長にかけて箸の練習が始まります。それをきっかけに箸を使い始めるのもよいでしょう。おうちではスムーズに練習が進まなくても、園では不思議とできることも多いです。周りのお友達が箸を使っている様子が、刺激となるからかもしれませんね。お子さまが意欲的になれば、おうちでも並行して練習を進めていけるでしょう。

どんな箸を選べばよい?

どんな箸を選べばよい?

一口に箸といっても、どんなものを選べばよいか悩みますよね。やる気と自信を育てるために、お子さまに合った箸を選んであげましょう。

「トレーニング箸」「しつけ箸」を上手に取り入れる方法もあり

最初から普通の箸で練習を始めるのは、お子さまも保護者のかたも難しさを感じてしまうかもしれません。そんな時に練習をサポートしてくれるのが、トレーニング箸。しつけ箸や矯正箸とも呼ばれています。なかでもリング付きの箸は、正しい指の位置を覚えることができるもの。「使えた!」という経験もできるので、箸を使うモチベーションをつくっていくのに適しています。

ただ、トレーニング箸は持つ場所が固定されてしまうので、持ち方や使い方など細かいことが気になって嫌がるお子さまもいます。ですから、最初は箸に慣れることを目指す程度で問題ありません。これは普通の箸にもいえることです。トレーニング箸もさまざまなタイプがありますから、合うものを探してみてください。リング型から補助の少ない箸へ徐々にステップアップしていく方法もあります。

普通の箸を選ぶは「長さ」と「材質」に注目して

普通の箸を使うなら、お子さまに合った箸を選ぶことが大切です。サイズの合った箸を使うことが、正しい持ち方や使い方を学ぶ大切な一歩となります。箸の長さは、「親指と人さし指で直角をつくった時、両指先を結んだ長さの1~1.5倍くらい」がちょうどよいといわれています。箸を選ぶ際の参考にしてみてください。

箸の材質は、主に木製とプラスチック製があります。木製は滑りにくいので、食べ物を上手につかむことが可能。このほうがストレスなく箸の練習ができます。プラスチック製も、箸先に溝が付いているものならOKです。箸の使い始めは、「できた!」という経験がたくさんできるものを選ぶとよいでしょう。

正しい箸の持ち方のポイント

正しい箸の持ち方のポイント

箸は初めから正しく持てるわけではありません。段階を踏んで、少しずつ覚えていくのがコツ。補助付きから普通の箸にステップアップした場合も同様です。「教え方がわからない」というかたは、次のポイントを参考にしてみてください。

1本を鉛筆握りで練習

まずは、箸1本を正しく持つ練習から始めます。いきなり2本を持って練習すると難しすぎてやる気がなくなってしまうこともあるので、ゆっくり進めましょう。親指と人さし指、中指を使い、「3点持ち」で持てるように練習してみてください。鉛筆を持つ形をイメージするとわかりやすいです。

もう1本を差し込む

鉛筆握りができるようになったら、箸を2本持ってみましょう。グーをしている指の間から、もう1本の箸を差し込みます。親指の付け根から下へ向けて、親指と中指の間を通るようにするとよいです。初めのうちは保護者のかたが差し込んであげるとわかりやすいでしょう。

上の箸を動かす練習

正しい持ち方ができるようになったら、下の箸は動かさずに上の箸を上下に動かす練習を始めましょう。親指を支点にして、人さし指と中指で数字の1を書く要領で、箸先が上下するように動かします。2本持って動かすのが難しい場合は、上の1本だけで練習するのもよいでしょう。

輪ゴムを使った練習

箸の動かし方は輪ゴムを使って練習ができます。利き手の親指に輪ゴムを通し一度ねじったら、もう一つの輪を人さし指にひっかけます。親指と人さし指に8の字状の輪ゴムがかかったこの状態で、それぞれの輪に箸を通してください。すると自然と正しい持ち方になります。これなら、練習をしている最中に箸を離してしまっても、輪ゴムがサポートしてくれて箸が落ちません。

左利きの場合について

矯正箸など補助機能付きの箸も、右利きと左利き用が販売されていることが多いです。

以下の動画では、正しい箸の持ち方や、輪ゴムを使った練習方法が紹介されています。お子さまと挑戦する際、ぜひ参考にしてみてください。

お箸の正しい持ち方 練習用動画 箸専門店 箸久
輪ゴムを使ったお箸の練習方法 - はし和文化研究会

箸の持ち方を練習する時の注意点

箸の持ち方を練習する時の注意点

箸の持ち方を教える際は、お子さまと保護者のかたのコミュニケーションが大切です。急ぐ必要はありません。いずれ使えるようになりますから、時間をかけて、じっくりと練習していきましょう。

厳しさは必要なし!子どもの「やりたい!」を育ててあげて

できた時はしっかりほめて、難しい練習では励まして、やりたい気持ちを後押ししてあげましょう。お子さまの「やりたい!」という意欲がベースにある状態がベスト。強制しないように焦らず進めていきましょう。

お子さまにとって箸は単なる食事道具ではなく、成長を感じられるものです。「練習がスムーズに進まないから」と、大人の都合で箸からスプーンに戻してしまったら、お子さまの自尊心を傷つけてしまうかもしれません。持ち方が違うことを厳しく指摘したりしかったりすれば、やる気もなくなってしまいます。上手に持てなくても、「できた!」という気持ちになれることを大事にしましょう。

食事以外の場面で楽しみながら練習

箸の練習は、食事以外の場面でも可能です。食事中の練習で厳しくしてしまった結果、食事自体が嫌になってもいけませんよね。上手に扱えないうちはストレスもたまります。そんな時は、箸を遊びに取り入れてみてください。スポンジを細かく切り取ったものをつかんで練習するなど、遊び感覚で箸を使わせてあげるとよいでしょう。これなら、楽しみながら自然と練習ができます。

ずっと使う道具だからこそ慎重に

お子さまが将来困らないように、正しい箸の持ち方を教えていくことは大事です。しかし、焦って厳しく指導してしまうとマイナスになることもあります。食べること自体が嫌いになったり、家庭の食卓がつらい思い出として残ってしまったり……そんなことになったら悲しいことと思います。

箸はとても難しい道具。それをまだ生まれて数年の子どもが使うなんて、すごいことだと思いませんか?まずは、持てただけでもOK。「いつまでに『正しく』持てなければならない」というものはありません。長い目で見て少しずつ練習していきましょう。

練習用のトレーニング箸、矯正箸とは?

練習用のトレーニング箸、矯正箸とは?

近年注目されるようになったトレーニング箸や矯正箸。いったいどんな特徴があるのでしょうか。

自然と正しい持ち方が身に付くトレーニング箸

トレーニング箸は、箸の正しい持ち方をサポートしてくれるもの。リングなどの補助が付いていて指の位置を固定できたり、箸が連結していたりするのが特徴です。

補助が付いていると自然と正しい持ち方が身に付き、箸の使い方を覚えるきっかけになります。箸が連結していると落とすことがないため、ストレスもたまりません。指先の力がなくても使えるというのもメリットです。箸を使う入り口として、お子さまの自信を育てるのにとてもよいアイテムです。

トレーニング箸を使う時の注意点

多くのメリットがあるトレーニング箸ですが、実はデメリットもあります。それは、「普通の箸に移行する時に時間がかかる」というもの。トレーニング箸に頼りすぎてしまうと、補助なしで使えなくなってしまったり、お子さまが普通の箸を嫌がったりする可能性があります。また、連結タイプの箸は「閉じる・開く」以外の動きがしづらく、食べ物を割ったり米粒を集めたりする動きが難しいというデメリットも。

トレーニング箸を使う時は、デメリットも理解しておきましょう。「これさえ使っていれば大丈夫」と思ってしまうと、後々苦労することがあります。普通の箸と並行しながら、頼りすぎないように取り入れていくのがおすすめです。

トレーニング箸の選び方 タイプや素材は?

トレーニング箸の選び方 タイプや素材は?

トレーニング箸にはさまざまなタイプがあります。特徴を知って、お子さまに合ったものを選びましょう。

箸がくっついているタイプ

箸がバラバラにならないように連結しているタイプです。箸先がピタッと合うようになっているため、物がつかみやすいのが特徴。バラバラにならないのでストレスもたまりません。ですから、初めて箸を使うお子さまが「できた!」という経験をたくさん積むのにおすすめです。

連結タイプにはさまざまな形状があります。大きく分けてこの3つです。

・リングが付いている
・指を支える部分が付いている
・バネが付いている(箸を開きやすい)

この3つは、複数使われていたり1つだけだったりします。当てはまるものが多いほど、扱いが簡単な箸ということ。興味があるお子さまは2歳くらいから箸を持ちたがりますが、この年齢だと指先の力が育っていないこともあります。そのような場合にトレーニング箸を使うと、無理なく箸に慣れていけるかもしれません。

箸の形が工夫されているタイプ

指の位置に溝が付いていたり、補助する出っ張りが付いていたりするタイプです。鉛筆のように六角形になっているものもあります。連結していないため、先ほどのタイプよりも扱いは難しいです。その代わり、より普通の箸に近い感覚で使うことができます。

こちらのトレーニング箸は、ある程度指先の力が付いてきたお子さま向け。連結タイプの箸に慣れたあとに、ステップアップとして使ってもよいでしょう。「既に普通の箸を使っているけれど、持ち方が間違っているから直したい」という場合にもおすすめです。

普通の箸に取り付けるタイプ

補助器具を普通の箸に取り付けるという方法もあります。状況に応じて付け替えたい時や、既にお気に入りの箸がある時などはこちらがおすすめ。取り外せば普通の箸として使えるため、いくつも箸をそろえる必要がありません。100円ショップなどでも購入することができます。

素材は「洗いやすさ」に影響

トレーニング箸にもプラスチック製と木製があります。洗いやすく手入れがラクなのは、やはりプラスチック製。子どもが使うものですから、清潔に保てるようにしたいですね。木製は手入れが難しいですが、自然素材で安心というメリットがあります。どちらを重視するかはご家庭で考えてみてください。補助部分が取り外せるかどうかも併せてチェックするとよいですね。

ちなみに、木製のほうが滑りにくく使いやすいといわれますが、トレーニング箸の場合はどちらでも大丈夫。ほとんどの商品は、食べ物をつかみやすいように先端を平らにしたり溝を作ったりしてくれているからです。ですから、使いやすさに関しては素材よりも機能を重視しましょう。

おすすめトレーニング箸5選

おすすめトレーニング箸5選

トレーニング箸といっても種類はさまざま。そこで今回は、タイプが違う5つの商品をご紹介します。

・エジソンのお箸®KID"Sシリーズ/EDISONmama (エジソンママ)

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しつけ箸として有名なエジソン箸。親指と薬指を支えるフックと、人さし指・中指を入れるリングが付いています。連結しているので、箸が交差したりバラバラになったりする心配もありません。慣れてきたらリングを取り外してステップアップもできます。連結部分は分離して洗浄可能。左利き用もあります。

・コンビベビーレーベル はじめてサポート おはし LU/Combi(コンビ)

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箸が連結していて、親指と人さし指の付け根部分に「はじめておはしサポーター」という支えがあります。箸を開閉する時に人さし指のはらの部分でこの支えを押すようにすると、自然と箸の使い方が身に付いていくそう。慣れてきたらこの支えを外し、さらに連結部分を外し……最終的に普通の箸として使うことができます。こちらの箸は右利き・左利き両用です。

・スケーター しつけ箸/Skater(スケーター)

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親指・人差し指・中指の3点に指にやさしいシリコーン製ソフトリングが付いています。四角い箸先と滑り止め加工でしっかりつまめます。お子さまの好きなキャラクターが多数取りそろえられたラインナップもうれしいところ。

・三点支持箸/イシダ

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普通の箸に見えますが、こちらもトレーニング箸。指先や関節が当たるところに、くぼみと目印が付いています。この位置に指を合わせて持つことで、自然と正しい持ち方になるというもの。使い方は普通の箸と同じなので、ある程度練習が進んできたお子さまにおすすめです。小学生や大人のかたが箸の持ち方を矯正したい時にも使えます。長さは複数あるため、自分に合ったものを選んでください。左利き用もあります。

・はじめてのちゃんと箸/ののじ

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「手つなぎ構造」で2か所が連結された箸です。連結部分はバネ設計になっているため、箸を開く動きをサポートしてくれます。このトレーニング箸は、連結しているのに交差箸になるという面白い仕組み。バラバラになるストレスは減らしながらも、普通の箸に近い感覚で練習をすることができます。こちらの商品は左右両用。練習用の豆も付いています。

箸の練習はステップごとに進めて、できたらしっかりほめよう

箸の練習はステップごとに進めて、できたらしっかりほめよう

大人にとっても難しい箸の持ち方。子どもにとってはさらに難しいはずです。最初から正しい持ち方や使い方を求めなくて大丈夫。お子さまの発育や発達に応じて、一つひとつ丁寧にステップを踏んでいきましょう。

そして大事なのは、保護者のかたがしっかりほめること。しかったり厳しくしたりする必要はありません。初めはできなくて当たり前。ちょっとでも持てたら、一回でも使えたら、それで花マルです。「できた!」という達成感をたくさん感じられるようにしながら、ゆっくり練習をしていきましょう。それを積み重ねていくことで、いずれ箸が使えるようになるはずです。

まとめ & 実践 TIPS

箸の使い方は、覚える子どもも教える大人も大変なもの。ですから、互いにハードルを下げてみてください。練習をする目的は「箸を使って食べられるようになる」こと。正しく持つことよりも、自分で箸を持って意欲的に食べることのほうを大事にしていきましょう。もし間違って覚えてしまって恥ずかしい思いをしたら、その時に正しい持ち方に直すことだってできます。そう、箸の持ち方はやり直しができるもの。そう考えて、お子さまのペースでゆっくり取り組んでみましょう。

編集協力/岡聡子、Cue`s inc.

プロフィール


太田 百合子

東京・こどもの城小児保健部にて長きにわたり乳幼児の栄養指導を行う。現在は東洋大学などの非常勤講師、指導者や保護者向け講習会講師、NHK子育て番組出演や育児雑誌などの監修を務めている。『ひよこクラブ』本誌の離乳食特集の監修も多い。日本小児保健協会小児科と小児歯科の保健検討委員、日本食育学会代議員、東京都小児保健協会理事。モットーは「わかりやすい栄養相談」、研究テーマは小児肥満、離乳食、幼児食。

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