山口もえさんに聞く「のんびり、ゆっくり『好き』を育てる」【第1回】自分らしさを見つけるには?

16歳でデビューし、おっとり、マイペースなキャラクターで親しまれている山口もえさんは、現在7歳の女の子と3歳の男の子のお母さん。2010(平成22)年にはタレントで初の野菜ソムリエ中級資格を取得されています。
かわいらしさはそのままに、ときおり大人の女性らしい頼もしさを感じさせるもえさんに、ご自身の子ども時代や、仕事も子育てもマイペースで楽しむこつを伺いました。

いつも誰かの後ろに隠れていた子ども時代

幼いころは、とにかく人前に出るのが苦手な子どもでした。
3人姉妹の真ん中だったのですが、言葉をしゃべるのもふつうの子より遅かったですし、いつも誰かの後ろに隠れていて、着替えを持ってお砂場に行っても絶対に服を汚さずに遊ぶようなおとなしい子だったみたいです。何を考えているのかよくわからなくて困った、と母は言っていました。

そんな私の引っ込み思案を心配したのか、母は水泳やピアノや書道などいろいろな習い事をさせてくれたのですが、いちばんのめりこんだのはクラシックバレエです。たしか小学校に上がったばかりのころ、初めてバレエ『くるみ割り人形』の舞台に連れて行ってもらった時のことはいまだに覚えています。きれいなチュチュを着て、キラキラ光るティアラをつけて踊っている姿に心を「きゅん」とつかまれ、すっかり主人公のクララの気持ちになって、「私も踊りたい!」と思いましたね。
7歳でバレエを始め、発表会にも出るようになると引っ込み思案も少しずつ治ってきました。音楽に乗って踊っているとふわあっと幸せな気持ちになれるんですよね。



ダンス教室と間違えて芸能事務所に

高校生になると週1回男性と二人で踊るレッスンが始まりました。私はそれまで「バレリーナになりたい!」と思っていたのですが、思春期でもあり男性と密着して踊ることに抵抗があって、16歳で一度バレエをやめてしまいました。でも、やっぱり踊りはどうしても続けたくてダンス教室を探していたところ「ダンスレッスン生募集」という広告を発見。しかもレッスン料無料って書いてあったんです。実は私、「ただ」っていうのにとても弱くて(笑)。母と一緒にさっそく見学に行きました。それは、私が今も所属している芸能事務所だったんですね。「ほら見なさい、あなた間違えていたわよ、ここダンス教室じゃないわよ!」と母に言われ、がっかりして帰ろうとしていたら、たまたまその場にいた社長が「芸能界に興味がなくてもダンスレッスンだけでも受けてくださっていいんですよ」と言ってくださったんです。それが今の仕事のきっかけになりました。



「滑舌が悪いね」と言われて

事務所でダンスのレッスンを受けているうちに、女優を目指している子、歌手志望の子などさまざまなお友達ができ、CMやドラマのお仕事の話を聞くうちに「面白そうだな」と思い始めました。オーディションを受けて最初に決まったのがお味噌(みそ)のCM。撮影のあとには、赤味噌に白味噌、合わせ味噌、豆乳まで抱えきれないくらいのお土産を頂き、家族みんながとても喜んでくれたので、「この仕事、なんていいんだろう!」と(笑)。それがきっかけで積極的にCMのオーディションを受けるようになりました。

ところが、18歳を過ぎるとオーディションにまったく受からなくなりました。少女役には年齢が行き過ぎ、かといって大人の役には幼すぎる年齢なんですね。そのうえ事務所で「滑舌(かつぜつ)が悪いね」と言われて、「私のしゃべり方って変なんだ……」と初めて自覚させられ、やっぱり向いていないのかも、止めてしまおうかと考えた時期もありました。そうしたら、芸能界に入るきっかけをつくってくれた社長が「そのしゃべり方がもえのよさなんだからそのままでいいんだよ」と言ってくださったんです。それを聞いて、私は「この社長のために何かしたい」と思いました。中途半端な気持ちを捨ててがんばるようになってからしばらくしてドラッグストアのCMが決まり、その後、NHK「イタリア語講座」やバラエティーのレギュラーなど次々とお仕事を頂けるようになりました。



力を出し切れば、その先で何かにつながる

今だから言えますが、ドラッグストアのCM、その前の年のオーディションでは落ちていたんです。その時は、ウエディングドレス姿の女の子がお婿さん役の俳優さんをおいて、スキップして歌いながらドラッグストアに去っていくという内容でした。私は一度にひとつのことしかできないので、「スキップしながら歌うなんて無理!」と思っていたのですが、とにかくやるしかないと思いっ切りやったんですね。そうしたら、思いっ切り落ちたんですけど(笑)。その時の印象が良くも悪くも強烈だったらしく、次のCMの絵コンテができた時、担当のかたが「あの子をもう一度見たい」と言ってくださったのだそうです。「自分の力を精いっぱい出し切れば、その時はめちゃくちゃでも、何かにつながることもあるんだ!」って思いました。

なお、大学は必ず卒業するというのが両親との約束でした。だから、仕事がない時は大学の勉強に専念しようと思えたし、仕事にチャンスが来た時は迷いなくチャレンジができたような気がします。



「無難な人生」より「有り難い人生」!

2人の子どもを授かって、離婚も経験した今思うのは「どんな経験も決して無駄にはならないなあ」ということです。将来の夢とか、自分らしい幸せとか目指すゴールがあってもそこまでの道は一直線とは限らない。困難が目の前にあって、まったく先が見えないような気がする時も、その先にはきっとまた新しい道が開けているんだなって思います。「難がないのは無難な人生、難があるのは有り難い人生」っていう言葉が、いつも私の心の中にあって。親として、子どもたちに大変な苦労はさせたくないという気持ちはあるけれど、それ以上につらいことも楽しいことも、いろいろな経験をして深みのある「有り難い人生」を送ってほしいなって思いますね。

『お野菜たっぷり! 山口もえの親子ごはん』
<祥伝社ムック/山口もえ(著)/1,008円=税込>

プロフィール



1977(昭和52)年東京生まれ。16歳でタレントとしてデビューし、バラエティー番組のほか、ドラマ・映画・舞台・CMなどに出演中。タレントで初の野菜ソムリエの中級資格を取得。

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