見てよし! 食べてもよし! 梅の楽しみ方
桜よりも一足早く咲く梅の花。梅は花の美しさだけでなく、果実には健康効果もあります。その魅力を知っておくことで、さらに楽しむことができるでしょう。
梅は「花よし、香りよし、果実よし」と三拍子揃っている
春の到来を告げる梅は、「花よし、香りよし、果実よし」といわれる、三拍子揃った花木です。早春に、桜などの他の花に先駆けて咲くため、「花の兄」とも呼ばれます。まだまだ寒い中でも、先日までつぼみだった梅が控えめに、しかし気高く咲き始めているのに気づくと、春の訪れを感じてあたたかな気持ちになるでしょう。
しかも「松竹梅」というふうに、並べておめでたいものの一つともされている、なじみ深い花です。
梅と日本人の関係
原産地は中国ですが、日本でも弥生時代の遺跡で梅の種の中の核部分が発見されていますから、少なくとも2000年以上、日本人は梅の花に親しんでいることになります。奈良時代や平安時代には、花の美しさを愛(め)でるのはもちろん、髪に挿したり、着物の袖に飾ったりもしていたようです。彩り、形、香りともに清楚でありながら華やかで、おしゃれの小道具にするにはピッタリだったのでしょう。
また、昔から「梅はその日の難逃れ」ということわざがあり、梅を食べると一日中健康でいられるといわれてきました。梅に含まれるクエン酸やリンゴ酸、ピルビン酸などの働きによって、疲労回復や肝機能の活性化が期待できるのです。
食べて楽しむ梅
山形県には、梅をすりつぶして寒天に練り込んだものを、薄くのばして乾燥させ、竹の皮で包んだ「のし梅」というお菓子があります。江戸時代に小林玄端(こばやし げんたん)という医師が、中国人から秘薬の製法を伝授され、気付け薬として作ったのが原型とされています。このように、薬でありながらお菓子として愛されているという珍しい食品があるのも、梅がおいしさと健康効果を合わせ持っているからこそでしょう。