テストの問題文を読み込みすぎてしまい時間が足りなくなってしまいます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


【質問】

テストの問題文をつい読み込みすぎてしまうようです。その結果、時間が足りず解答ができなくなってしまったり、肝心なところを見落としてミスをしている気がします。どのように改善すればよいでしょうか?

相談者:小6女子(神経質・よい子タイプ)のお母さま



【回答】

読むペースを決め、自分をコントロールできるようにする


■問題文を読み込みすぎてしまい時間が足りなくなるとはどういうことか?

「テストの問題文を読み込みすぎて時間が足りなくなる」というのは、問題文のある箇所が気になって考え込んだり、それに関連した事柄が次から次へと浮かんできたりして前に読み進めなくなるという状況でしょう。こうしたことは神経質な性格のお子さまに多く、結果として問題をやりきれない、考える時間が足りないということになります。文章を読んだり問題を解いたりする自分のスピードを考慮して、どのくらいのペースで進んでいけばすべての問題に手が付けられるかを考える必要があります。問題文の字数や問いの形式・数量は問題によって異なりますから、ご自分の受ける模擬試験や志望校の問題の出題傾向も十分にチェックすることが大切です。


■ペースを決め引っかかることを少なくする。

問題文の量は試験問題によって大きく異なり、文字数の合計が4000字程度の学校もあれば10000字を超えるところもあります。そうした志望校の特徴と自分自身の解くスピードを考え合わせれば、おのずと問題を解くペースは決まってくるでしょう。そしてもし自分のペースが遅すぎると思えるのであれば、問題文の読み方をもっと速くするとか、記述問題を書く時には最初から書く内容の構成を考えてから書き始めるなどの工夫をして、時間を縮める努力をする必要があります。

最初のうちは時間やペースを意識することは窮屈に思えるかもしれませんが、慣れてくるにしたがって、読む時に細かいところに引っかかって先に進めないということは少なくなってくると思います。また、ペースを守るために、問題文を読んで少々理解できない箇所があっても我慢して読み進めるという姿勢も付いてくるでしょう。


■自分を客観的にコントロールできる力を付ける。

自分の最善のペースがつかめてきたら、次は、たとえペースから外れても追いつけるよう、」自分をコントロールできるようになることです。たとえば難問にぶつかったとか、抜き出し問題で抜き出すべき内容が問題文の中で紛れてしまい、時間ばかりが過ぎていくという状況になった時です。そんな時は、その問題を諦めて次に進むという勇気を持たなければなりません。また、予定に遅れてしまったわけですから、今まで以上に速く読んだり解いたりする必要が出てきます。

そんな時は、自分を落ち着かせると共に、集中力を上げて問題を解くスピードをアップするのです。「がんばれ、がんばれ」と自分を鼓舞しながら集中力を上げられれば、スピードを上げても正確さが損なわれることはないでしょう。また、気ばかり焦って、パニックになることも少ないと思います。能力を最大限に発揮するためには、自分を客観的に制御できるこのような力が不可欠です。


■問題文をすべて理解しなくても問題は解ける?

「少々理解できない箇所があっても我慢して読み進める」ということは既に述べましたが、読み進めていくうちに説明が加わり、理解できるようになる場合はあります。また、注釈を参照することで理解できることもあるでしょう。あるいは、最後まで読み終えてもわからなかったが、選択肢問題を解いていくうちに理解できることもあるかもしれません。さらには、理解できない部分は設問には関係ないため、理解する必要がなかったということもあるでしょう。

問題文の内容が高度化したため、このように問題文の、ある箇所がそこを読んでいる時点では理解できないということはあります。実際、問題文の内容で極端に難しい部分は、理解してなくても合格点がとれることは少なくないのです。つまり、細かいところにこだわって前に進まないより、わからないところを我慢して最後まで読んで全体をおさえたほうが結果的にはよりよい点数がとれる可能性が高いということです。

性格的に神経質な人には嫌なことかもしれませんが、完璧には理解しなくても良い場合があるということが経験的に納得できれば、細かいところを気にせず問題文を読めるようになると思います。問題文が難しければ難しいほど、自分を叱咤(しった)激励し、集中力を切らすことなく、勇気を持って問題文を読み進めましょう。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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