いまこそ考えたい「家庭で求められる国語力の育み」 第1回
文部科学省が行った学力調査によると、学力の低下傾向に歯止めはかかったものの、国語力の面で課題があるという結果でした。その理由は何か、また国語力をつけるために家庭でできることは何か、を考えてみたいと思います。
調査結果から見えた「読解力」の弱さ
文部科学省は、全国の小学5年~中学3年生を対象に実施した03年度学力調査(教育課程実施状況調査)の結果を4月22日に公表しました。各社新聞の朝刊を飾りましたから、記憶も新しいかと思います。
これは、2002年度から実施された「ゆとり教育」を柱とする新学習指導要領で学ぶ子どもを対象にしたはじめての学力調査でした。この調査は、学習指導要領の目標・内容に照らした児童生徒の学習状況を把握するために国立教育政策研究所が行っています。今回の調査対象教科は、国語、社会、算数・数学、理科、英語(中学生のみ)。約45万人が対象の大規模な学力調査です。
実は、落ち込みが目立った前回(01年度)調査で出題したものと同じ問題を、比較のために今回の調査でも複数出題しているのですが、そのデータを比べると、正答者の割合(正答率)が上回るか同程度だった問題が8割を超えています。つまり、いまのこどもたちの学力の低下傾向にやや歯止めがかかったことになるわけです。しかし国語などの記述式問題に関しては正答率に改善が見られませんでした。国語は「前回と同じ記述式問題」の正答率が63.4%で前回を0.9ポイント下回ったのです。
他の教科の記述式問題の正答率は下回っていませんから、結果から見ると国語の記述式問題にはやや課題があるといえそうです。
報告書では、「場面に応じて立場を明らかにし自分の考えを書くこと」「筆者の表現の方法や工夫を評価すること」「条件や目的に応じ、自分の考えを相手に伝えること」などが国語の課題で、これらを改善するためには「現実の場面に即した言語活動や自分の考えを書く言語活動の充実」「様々な文章や資料に基づいて、自分の考えをまとめたり評価したりする言語活動の充実」「目的や相手、場面に応じ、自分の考えが伝わるようにわかりやすく話す言語活動の充実」などがポイントだと指摘しています。
これは、2002年度から実施された「ゆとり教育」を柱とする新学習指導要領で学ぶ子どもを対象にしたはじめての学力調査でした。この調査は、学習指導要領の目標・内容に照らした児童生徒の学習状況を把握するために国立教育政策研究所が行っています。今回の調査対象教科は、国語、社会、算数・数学、理科、英語(中学生のみ)。約45万人が対象の大規模な学力調査です。
実は、落ち込みが目立った前回(01年度)調査で出題したものと同じ問題を、比較のために今回の調査でも複数出題しているのですが、そのデータを比べると、正答者の割合(正答率)が上回るか同程度だった問題が8割を超えています。つまり、いまのこどもたちの学力の低下傾向にやや歯止めがかかったことになるわけです。しかし国語などの記述式問題に関しては正答率に改善が見られませんでした。国語は「前回と同じ記述式問題」の正答率が63.4%で前回を0.9ポイント下回ったのです。
他の教科の記述式問題の正答率は下回っていませんから、結果から見ると国語の記述式問題にはやや課題があるといえそうです。
報告書では、「場面に応じて立場を明らかにし自分の考えを書くこと」「筆者の表現の方法や工夫を評価すること」「条件や目的に応じ、自分の考えを相手に伝えること」などが国語の課題で、これらを改善するためには「現実の場面に即した言語活動や自分の考えを書く言語活動の充実」「様々な文章や資料に基づいて、自分の考えをまとめたり評価したりする言語活動の充実」「目的や相手、場面に応じ、自分の考えが伝わるようにわかりやすく話す言語活動の充実」などがポイントだと指摘しています。
読解力の源は「がまん強さ」
さて、OECD(経済協力開発機構)が2000年と03年に実施した調査(生徒の学習到達度調査【PISA】)でも、世界各国と比べて日本の生徒の読解力の低下が指摘されていました。
実は、各種調査ですでにこうした予兆は指摘されていました。
国立教育政策研究所の「読書教育実態調査」では、小学校はじめ中高の教師に「国語学力は低下したか」との問いかけに、約63%もの教師が「とても低下したと思う」「低下したと思う」と回答しています。
これらの結果を受けて、やはりこどもたちの読書量の減少を指摘する教師側の声は大きいようです。
また、親などのおとなに昔話をしてもらったり、本を読んでもらったりなどの本に親しむ環境が整っていない家庭が増えたことを危惧する声も多くあります。親(おとな)自身が本を読む姿をこどもに見せていない、つまりおとなが本を読んでいない点も最近指摘されていることです。
お茶の水女子大の藤原正彦先生は、数学者でありながら国語力の重要性を訴えてきた研究者ですが、その藤原先生は「国語がすべての教科の、ひいてはすべての知的活動の中心」と考えています。
「国語の『読む力』と深く結びついているのが「がまん強さ」。活字を追いながら本を読むということは、映像と音声が飛び込んでくるテレビを見ることに比べて、はるかに忍耐力が必要な行為です。こどもにがまん強さがなければ「読む」ことはできないでしょう。がまん強さとは、あらゆる学習場面にとって必要なものです」と。
このがまん強さにつながる「読む力」、つまり読書をし、活字を目で追いながら「読解力」と「語彙力」を身に付けることがやはり大切なのです。こどもにとっての「語彙」が豊かになれば、物事を考えまとめあげる力、つまり思考も豊かになるはずです。十分な読書は学校では時間が少ししかとれませんから、家庭で行う学習活動といえます。こどもにとって読書のしやすい家庭環境作りは、保護者が担う国語の学力向上の鍵といえるでしょう。
言葉が豊かになれば、家庭で保護者と話す語彙量も増え、感情表現も豊かになるはずです。
一方でこどもの考えを十分に聞いてあげる、こどもがなぜそう思うのかなどを引き出してあげるなどのコミュニケーションも、自分の考えをまとめたり評価したりする言語活動の基盤であり、家庭でできるアクションプランといえそうです。
では、この国語力を育むには家庭でどうすればよいかを、もう少し次回探ってみたいと思います。
実は、各種調査ですでにこうした予兆は指摘されていました。
国立教育政策研究所の「読書教育実態調査」では、小学校はじめ中高の教師に「国語学力は低下したか」との問いかけに、約63%もの教師が「とても低下したと思う」「低下したと思う」と回答しています。
これらの結果を受けて、やはりこどもたちの読書量の減少を指摘する教師側の声は大きいようです。
また、親などのおとなに昔話をしてもらったり、本を読んでもらったりなどの本に親しむ環境が整っていない家庭が増えたことを危惧する声も多くあります。親(おとな)自身が本を読む姿をこどもに見せていない、つまりおとなが本を読んでいない点も最近指摘されていることです。
お茶の水女子大の藤原正彦先生は、数学者でありながら国語力の重要性を訴えてきた研究者ですが、その藤原先生は「国語がすべての教科の、ひいてはすべての知的活動の中心」と考えています。
「国語の『読む力』と深く結びついているのが「がまん強さ」。活字を追いながら本を読むということは、映像と音声が飛び込んでくるテレビを見ることに比べて、はるかに忍耐力が必要な行為です。こどもにがまん強さがなければ「読む」ことはできないでしょう。がまん強さとは、あらゆる学習場面にとって必要なものです」と。
このがまん強さにつながる「読む力」、つまり読書をし、活字を目で追いながら「読解力」と「語彙力」を身に付けることがやはり大切なのです。こどもにとっての「語彙」が豊かになれば、物事を考えまとめあげる力、つまり思考も豊かになるはずです。十分な読書は学校では時間が少ししかとれませんから、家庭で行う学習活動といえます。こどもにとって読書のしやすい家庭環境作りは、保護者が担う国語の学力向上の鍵といえるでしょう。
言葉が豊かになれば、家庭で保護者と話す語彙量も増え、感情表現も豊かになるはずです。
一方でこどもの考えを十分に聞いてあげる、こどもがなぜそう思うのかなどを引き出してあげるなどのコミュニケーションも、自分の考えをまとめたり評価したりする言語活動の基盤であり、家庭でできるアクションプランといえそうです。
では、この国語力を育むには家庭でどうすればよいかを、もう少し次回探ってみたいと思います。
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