問題中のヒントに気付かず答えを出せない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


質問者
小学生女子のお母さま

質問
(国語は)作文のように、文章を組み立てる、順序よく書く、話すことが苦手のようです。本は嫌いではなく、興味を持つとジャンルを問わず読んでいます。(算数は)文章問題の応用につまずきます。問題中のヒントに気付かず答えを出せないことがあります。

小泉先生のアドバイス
正しい手法で、集中して考え、問題数をこなしていく

算数を解く時の手順は、「問題を読む」→「条件を整理する」→「方針をたてる」→「計算する」→「答えを得る」が一般的です。
「問題を読む」では問題文を読みながら、≪何を求めるのか?≫と≪条件は何か?≫を明らかにします。次に「条件を整理する」では、与えられた条件を一つひとつ確認していきます。また、≪隠された条件≫などを見つけるのもこのステップです。さらに、これらの条件を組み立てることで問題を解いていきますが、多くの生徒は「方針をたてる」のステップで解き方の方向を決めます。
もちろん≪方針≫が決まっても、すんなりと答えが出ない場合も少なくありません。だいたいの場合は、「計算する」という作業を行いながら、からんだ糸を解きほぐすようにして答えを目指します。不安と期待が交差する時間であり、「答えを得る」ことができた時の安心感や喜びはまさに算数のだいご味と言えましょう。

さて、ご質問にある≪問題文中のヒント≫は、「方針をたてる」ための手掛かりであり、「条件を整理する」のステップで見出すものです。≪解法のための糸口≫と言っても良いものですが、じつは問題を解くにあたり非常に重要なポイントであると言えます。なぜなら解法の糸口さえ見つかれば、その問題は半分解けたと言って良いからです。
それでは、この≪解法の糸口≫を見つけやすくするためにはどうしたら良いのでしょうか。一つの方法としては、多くの問題にあたることで解法のパターンに慣れることでしょう。「算数や数学の成績は、演習量に比例する」とよく言われますが、解法のパターンを覚えたり慣れたりすることで、≪解法の糸口≫も見つけやすくなるのです。これは基本問題だけではなく応用問題でも同じであり、演習量を増やすことで問題文中のヒントを見逃さない実力が付いていきます。

また、文章題の問題内容を図や表にまとめたり、≪規則性の問題≫では数字を書き出したりするのも、≪解法の糸口≫を見つけやすくする方法です。共に≪手を使う≫ことで視覚的に見やすくし、さらなる視点から問題に取り組むことを可能にしています。意識が集中し考えが前に進むことで、見えないものが見えてくるからでしょう。ぜひ、生徒に指導したい手法であると思います。

ただし、なぜか手を使うことを嫌がる子どもも少なくありません。「なぜ手を使わないの?」と聞くと、「面倒くさい」とか、「図や表がうまく書けない」という答えが返ってくる場合があります。これらのケースは慣れてくればできるようになりますから、≪手を使う≫ことを少しずつ取り入れてみてください。
もっとも、意外な理由で嫌がるお子さまもいます。たとえば先日国語を指導した生徒は、問題文を読む時にまったく手を使わない(線を引かない)生徒でした。いくら指導しても、なかなか線を引きません。もちろん線を引く大切さや、どこに線を引けば良いかは事前に教えてあります。しかし、引きたがらないのです。そして何回か指導してついにわかったことは、「大切でないところに線を引くと恥ずかしいから線を引きたくない」というものでした。つまり妙なところに線を引き、先生や他の人に「おかしい」と思われたくないらしいのです。
このように理由はさまざまですから、一つひとつ丁寧にその原因を取り除く必要はあるでしょう。

さて、いくつか≪解法の糸口≫を見つけやすくする手法を挙げましたが、もう一つ大切なことがあります。それは≪方法≫と言うよりも、≪姿勢≫と言って良いでしょう。すなわち、「解法の糸口は必ずある」と信じ、「集中して考える姿勢」を持つということです。
算数はもちろん他教科でも、問題は「解けるようにできている」わけであり、「答え」は必ずあります。そして、それらを導くための「ヒントや糸口」も必ず存在するのです。
しかし、考えることをすぐにあきらめる生徒たちがいます。あまりにも長い時間考えさせるのは逆効果かもしれませんが、少なくとも10分程度は一つの問題に集中できるようにしたいものです。

以上をまとめますと、「正しい手法で、集中して考え、問題数をこなしていく」ことが≪解法の糸口≫を見つける、すなわち≪問題中のヒント≫に気付きやすくする手法・姿勢であるということになります。まさに、算数上達のための≪王道≫であると言えるでしょう。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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