「あれっ! 言葉が遅れているかな?」と思ったら【後編】子どもの言葉を伸ばす保護者の働きかけ

言葉を話せるようになるには、保護者からの語りかけが重要のようです。では、具体的にはどのような関わりをすればよいのでしょうか。前回に引き続き、小児科医であり言語聴覚士でもある梅村浄先生にお話を伺いました。



はっきりした原因がなくても言葉がゆっくり育つ子もいる

お子さまの言葉が遅くて焦ってしまうというのは、仕方のないことだと思います。ただ、赤ちゃんのころは言葉がなくても、表情や泣き声から、お子さまの気持ちを感じられたと思います。ですから、2歳の子でも同じようにしてあげてほしいと思います。「言葉で言わないからわからない」ではなくて、聞き手のほうが聞く耳を持つことが、子どもの言葉を育てる根底になります。そして、保護者からの語りかけを増やし、楽しい時間を増やすことが大事です。具体的な方法をいくつか紹介しましょう。

◆子どもの言葉を伸ばすポイント
言葉をわかるようになるには、「大好きな保護者と、楽しい時間を共有する」ことがとても大切です。そうした経験をとおして、自分も話したい、伝えたいという思いが強まり、それが言葉を話すことにつながります。楽しい時間を作り出すためのアイデアをいくつかご紹介します。

(1)保護者からの自然な言葉かけを増やす
保護者が思いついたこと、その子と話したいことを話してください。0歳の赤ちゃんにも話しかけてあげましょう。「今日は、たくさん洗濯物があるのよ。ママは大変!」「今日の夕食はハンバーグだよ。○○ちゃんは好きかなあ」など、どんなことでも構いません。自然な言葉かけを増やして、コミュニケーションって楽しいんだという雰囲気を感じてもらいましょう。
言葉をかける時のポイントは、ゆっくりと短い言葉がけがよいですね。また、指さしなど、動作をつけて話すとわかりやすいでしょう。

(2)一緒に歌って楽しむ
言葉かけを増やすのは、一人言みたいで難しいと感じるなら、歌でも構いません。お子さまの好きな童謡でも、保護者の好きな歌でも構いません。また、保護者が作った即興の歌でもよいでしょう。

(3)いないいないばぁのような手遊びをする
0歳の赤ちゃんは、「いないいないばぁ」「一本橋」のような声と動作が一緒になった手遊びをとても喜びます。子どもは繰り返しを楽しみますので、表情や声を変えて繰り返してあげましょう。

(4)絵本は興味があれば読む
絵本の読み聞かせは、言葉を覚えるのに有効だと思い、取り入れている保護者のかたも多いと思います。ただ、興味があれば、でよいと思います。お子さまの興味のあるジャンルを読んであげましょう。あまり関心がないのに無理矢理読んでも、あまり効果は期待できません。

(5)外に出かける
保護者とお子さまで、自宅にこもってばかりだと、どうしても言葉が少なくなってしまいます。言葉の遅れを気にしている保護者のかたは、引け目を感じてしまいがちですが、あまり気にせずに公園や子ども家庭支援センターなど、同世代の子どもと交流できるような場所に行ってみましょう。お子さまにとっては、とてもよい時間になるはずです。



注意したい言葉かけ

一方、注意したいのは、言葉を覚えさせようとして無理に言わせようとすることです。「○○と言ってごらん」と言われても、子どもはますます言いたくなくなってしまいます。また、お子さまを否定する言葉かけも避けたいですね。お子さまは言葉を言う準備をしている最中です。「こんなことも言えないの」などと言って、その芽を摘んでしまわないようにしたいですね。そして、お子さまからの投げかけを無視してはいけません。きちんとした言葉にならなくても保護者のかたに伝えたいことがたくさんあります。そうした思いをキャッチして、代弁してあげることが、乳幼児期には大切です。



お子さまの発音が気になる場合

私は、幼稚園の園医もしていますが、3、4歳児クラスで発音が気になる子がいると相談されることがあります。長年の経験から、5人いたとしたら4人は年長さんになる頃には治っていきます。日常生活や遊びのなかで口腔筋を鍛えることができます。熱いものをふーふー冷ましたり、硬いものを食べたり、麺類をすすったり、ストローで吸ったりすることでも鍛えられます。幼児期には食事も言葉の発達に関係あることを知っていただきたいですね。


プロフィール


梅村 浄

小児科医・言語聴覚士。西東京市にある梅村こども診療所で、20年以上、地域の子どもたちを診察。現在は、梅村こども診療所相談室を開き、自由診療・予約制で子どもの言葉と心の相談を行っている。著書に『こどもの心に耳をすます』(岩波書店)など。

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