約8割の自治体で小中一貫・連携教育実施 成果と課題は相半ば
各地の自治体で独自に行われている「小中一貫教育」を、正式な制度にするかどうかの検討が、中央教育審議会の部会で行われている。文部科学省が部会に報告した初の実態調査(2014<平成26>年5月現在)の結果からは、成果を認める一方、課題も多いとみる自治体、学校も少なくない。教育ジャーナリストの渡辺敦司氏に話を聞いた。
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報告によれば、9年間を通じた教育課程を編成して系統的な教育を目指す「小中一貫教育」を実施しているのは、全市区町村の12%に当たる211自治体でした。小中「一貫」には至らないまでも、情報交換や交流を行うことを通じて小学校教育から中学校教育への円滑な接続を目指す「小中連携教育」を実施している市区町村が、66%に当たる1,147自治体あります。しかし、22%に当たる385自治体は、特にこうした小中一貫・連携教育を行っていないとしています。
小中一貫教育を推進する主なねらい(複数回答)としては、「中1ギャップの緩和など生徒指導上の成果を上げる」(96%)、「学習指導上の成果を上げる」(95%)、「9年間を通して児童生徒を育てるという教職員の意識改革」(94%)がほとんどで、次いで「教員の指導力の向上」(79%)、「異学年児童生徒の交流の促進」(75%)、「特色ある学校づくりを進める」(73%)などが挙げられました。一方で実施市区町村のうち71%と多くの自治体が「学校選択制を導入していない」としており、保護者や子どもの選択幅を広げるというより、現行の学区を前提として教育の充実を目指している自治体が多いようです。
自治体の回答を見ると、76%が「成果が認められる」とする一方、「課題が認められる」も74%と相半ばしています。学校側の回答でも同様です。中教審ではこうした結果をもとに、新たな学校制度に位置付ける意義や目的、制度上の制約などを検討することにしています。
出典:12%の市町村で小中一貫教育 成果と課題、相半ば -ベネッセ教育情報サイト