「会ったことない友人」11人以上が2割 高校生のスマホ・ネット事情‐斎藤剛史‐

総務省のインターネットリテラシーに関する実態調査によると、LINEなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上の付き合いだけで「一度も会ったことがない友人」が11人以上いると回答した者は、高校1年生全体の2割に上っていることがわかりました。スマートフォン(スマホ)などの普及は、子どもたちの人間関係にも大きな変化を及ぼしているようです。

調査は2014(平成26)年6~7月、全国の国公私立22校の高校1年生を対象に、インターネットリテラシーのテストと利用実態などのアンケートの2本立てで実施し、3,672人から回答を得ました。まず所有するネット接続機器(複数回答)を見ると、スマホが88.1%(前年度は84.2%)、ゲーム機が66.5%(同74.4%)、パソコンが52.2%(同66.7%)、携帯電話が12.6%(16.7%)などで、高校生の約9割がスマホを持っています。ネット接続に最もよく利用する機器は、スマホが80.1(同74.8%)、携帯電話が4.2%(同6.3%)、パソコンが7.2%(同11.1%)などで、ネットの利用はスマホが中心になっています。1日のネット利用時間(1時間刻み)は、携帯電話やパソコンなどは「1時間未満」が最も多いのに対して、スマホは平日で「1~2時間未満」が29.1%、休日で「2~3時間未満」が23.2%と最も多くなっており、スマホの普及は高校生のネット利用の長時間化にもつながっているようです。スマホは「3時間以上」が平日で計34.0%、休日で計50.3%、そのうち「6時間以上」が平日で8.2%、休日で15.7%でした。

「一度も会ったことのないSNS上だけの友人」がいると回答したのは48.5%、その数は「11人以上」というのが全体の19.3%となっています。スマホの普及とLINEなど無料通話アプリの拡大が、「友人」という人間関係の在り方を大きく変えつつあるといえるでしょう。
現在所属しているチャットグループの数を尋ねたところ、「6~10グループ」が25.0%、「1~5グループ」が20.8%、「11~15グループ」が19.4%などで、高校生の43.3%が11以上のチャットグループに所属しています。数多くのネット上のグループの中を綱渡りのように暮らしている高校生の姿が目に浮かびます。

一方、テスト結果と実態調査を分析した結果、ネット利用時間が「1時間未満」の者はテストの正答率が71.2%だったのに対して、「6時間以上」の者は正答率が64.4%で、ネットの利用時間が長くなるほどインターネットリテラシーの正答率が落ちるということが明らかになりました。さらに、ネットの利点として「勉強等が効率的に出来るようになった」と回答した者の正答率は72.8%、「いろんな事がわかり、自分の世界が広がった」と回答した者の正答率は72.5%と高く、インターネットリテラシーの向上について総務省では、より前向きな姿勢でネットを利用するよう促すことも重要であるとしています。スマホなどの情報端末機器と正しく付き合うことが大切なようです。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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