遊びが学びの土台を築く! プレイフルラーニング ~知識編~

幼児期に夢中になって遊んだ経験のあるお子さまは、語彙(ごい)が豊かで将来的にも学習意欲が高まるということが各種調査から明らかになっているようです。今回は、発達心理学がご専門の十文字学園女子大学 人間生活学部准教授の大宮明子先生に、夢中になって楽しんでいる瞬間にこそ学びの土台が築かれるという考え方「プレイフルラーニング」について教えていただきました。



子どもたちの遊びが変わりつつある

私が子どものころは、携帯用ゲーム機・スマートフォン・タブレット端末などはありませんでしたから、遊びといえば外遊びが中心でした。おもちゃも今のようにバラエティー豊かではなかったので、牛乳瓶のふたや空き箱でおもちゃを作るなど、自分たちで工夫して遊びをしていたと思います。
しかし近年、核家族化や都市化、情報化など、さまざまな要因が絡みあい、お子さまの遊びが大きく変わっています。テレビゲームなどの室内遊び中心となり、かつてのように地域で異年齢の友達と遊ぶ機会も少なくなりつつあります。また、塾やおけいこごとなどで多忙な生活を送っているお子さまも少なくないようです。そのため、一昔前であれば、お子さまが日常生活の中で自然に体験できたことが、今日ではできなくなってしまっているのです。そこで、今回私が提案したいのは「プレイフルラーニング」です。



自由にたくさん遊んだ子どもたちは語彙が豊か

「プレイフルラーニング」とは、同志社女子大学教授の上田信行先生の提唱する言葉で、楽しさの中にこそ学びがあふれているという考え方です。「プレイフル」というのはただ楽しいだけでなく、ワクワクドキドキしながら、遊びに夢中になって試行錯誤する経験です。そうした経験が豊富であればあるほど、学力の基盤となる子ども自身で考える力、集中力、想像力が鍛えられ、就学後の学習意欲が育まれることが、各種調査から明らかになっています。

たとえば、2008(平成20)年にお茶の水女子大学名誉教授の内田伸子教授らが実施した、幼児期の読み書き能力や語彙力などを調べた調査を紹介しましょう。保育者の指示のもとみんなで同じ活動をする一斉保育と一人ひとりの子どもが主体的に活動をする自由保育を比較した場合、自由に自分の好きな遊びをしていた自由保育の子どもたちのほうが、語彙が豊かで、就学後の国語の成績も高いという結果が出たのです。
保育者が文字指導を積極的にしてくれたほうが読み書きの力や言葉の能力は高まるのではないかと考えるかたも多いようですが、自由保育の場合、友達と話さないと遊びが成り立たないため、自然と言葉の力を鍛えることにつながるのです。また、友達と自由に遊ぶことができるため、もっと上手にするには、もっと面白くするにはと工夫する結果として、子どもの考える力や想像力が伸びます。
また、東京学芸大学の杉原隆名誉教授が行った調査では、保育の一環として運動を多く取り入れている一斉保育の園よりも、まったく行っていない自由保育の園の運動能力が高いことがわかりました。体育指導がある場合は、同じ運動を繰り返すため、子どもが経験する動きの種類が限られてしまいます。説明を聞いたり、順番を待ったりする時間も長く、運動する時間は短くなります。一方、自由保育の場合は、説明を聞いたりする時間はないため運動時間は長く、運動場を走る、滑り台を滑る、鉄棒にぶら下がるなど、さまざまな運動を経験できるのです。

このようにお子さまが主体的に遊ぶことで、さまざまな力が身に付くことが明らかになっています。ご家庭でも、お子さまが主体的に楽しみながら遊べるようサポートしてあげることが、就学後の学びの意欲を伸ばすために大切です。



お子さまの成長を促す! 遊びに夢中になれるおもちゃを選ぶポイント

乳幼児期のお子さまの成長を促す遊びをサポートするためには、夢中になって遊べるようなおもちゃを用意してあげることも大切です。ポイントは2つあります。

1)興味があるものを見極める
乳児期のお子さまは、どんなおもちゃに興味を持つかまだわかりにくいので、いくつか用意してあげるとよいでしょう。子育て支援センターなどに出向き、いろいろなものに触れさせてみるのもよいですね。はいはいするころになれば、自分の興味のあるものに手を伸ばすようになりますので、お子さまの様子を注意深く観察してみましょう。絵本を選ぶときも同じです。たとえば、同じ電車の絵本でも、ストーリー性の強いものを好むお子さまもいれば、図鑑のようなものを好むお子さまもいます。
男の子だから電車、女の子だからお人形などと保護者の思いこみで選ぶよりも、お子さまが夢中になれる遊び道具を保護者のかたが選んであげることが、子どもの学ぶ意欲・探究心を伸ばします。

2)シンプルだけれど拡張性のあるものがよい
ゴールや目的が決まっている遊び道具より、子どもが自由に遊びを変化・発展させられる「余白」のある遊び道具が理想です。積み木やブロックなど、自分で工夫できるおもちゃがよいでしょう。高価なものではなくてもよいのです。新聞紙を刻んで雪のようにして遊んだり、丸めて投げたりするだけでも十分に遊びになります。アルミホイルやラップの芯に糸をつなぎ、電話に見立てて遊ぶといったことも楽しいですね。小さいうちは、保護者から仕掛ける必要がありますが、どんどん子どもが遊びを広げていくはずです。

次回は、子どもを伸ばす遊びのサポートの仕方について大宮先生にお伺いします。


プロフィール

大宮明子

大宮明子

十文字学園女子大学 人間生活学部幼児教育学科准教授。専門は発達心理学、認知心理学。特に子どもの思考の発達、乳幼児期の親子の関わりについて研究している。主著に『幼児期からの論理的思考の発達過程に関する研究』(風間書房)がある。

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