子どもを水虫から守る!【後編】~対処法と予防法~

前回に引き続き、子どもたちが水虫に困らないよう、日本医真菌学会理事長で御茶ノ水真菌アレルギー研究所・所長の比留間政太郎先生に、子どもの水虫についてお話を伺いました。今回は、水虫の対処法と予防法をご紹介します。



水虫の症状と対処法

子どもを水虫から守るためには、まず皮膚のトラブルを見つけた時に「水虫かな?」と疑うことが大事です。水虫の場合、皮膚が痒(かゆ)い、皮がむける、赤いぶつぶつができる(湿疹)、小さな水疱(すいほう)ができるといった症状が現れますので、このような症状は見逃さないよう注意してください。また、水虫は体中の皮膚に感染する可能性がありますから、子どもの指の間や爪なども含め、全身に目を配ってください。特に家族に水虫の人がいる場合は、感染する可能性がとても高まりますので要注意です。

もし子どもが「水虫かな?」と思ったら、まずは皮膚科の専門医の所へ行き、顕微鏡で「白癬(はくせん)菌」がいるか検査を受けてください。自己診断で市販薬を使用されるかたもいますが、別の病気の可能性もありますので、専門医を受診することをおすすめします。
水虫だと判明した場合は、塗り薬と場合によって飲み薬で治療します。治療には、時間がかかる場合もありますが、菌がいなくなるまできちんと治療しないと、長期化したり慢性化したりして再発を繰り返すことになります。そうならないためにも、焦らず確実に治療してください。また、家族に水虫の人がいる場合は、必ず一緒に治療を受けてください。過去に水虫になった経験がある人も、完全に治っていない場合がありますので、少しでも足の皮がむける、痒みがあるなどの場合は、再度皮膚科医に診てもらって、適切なアドバイスを受けてください。



水虫にならないために

水虫にならないためには、日常生活のなかで以下のことに気を付けてください。

・室内は掃除機をかけ清潔を保つ
・1日1回、体をきれいに洗う
・靴はなるべく交代で履き替え、中を乾燥させる
・靴ひもはきちんと縛り、遊びをつくらない
・足に合った靴を履く


掃除をする時は、必ず掃除機で菌の付着したアカを吸い取ってください。体をきれいに洗う際は、手足の指をきちんと開き、爪も忘れずに洗いましょう。またナイロン製のタオルでは、皮膚に刺激を与え傷つける可能性がありますので、せっけんを泡立ててやさしく洗うことをおすすめします。

最近注視されている「白癬菌」の一種に、「トリコフィトン・トンズランス」という、新型で感染力の強い菌があります。2000年頃に海外からやってきた菌で、柔道などの格闘技を行う人の間で感染が広がり始めました。この菌に感染して水虫になった場合、柔道着で擦れる顔や首などにも症状が現れます。しかも自覚症状がなく、見た目には判断がつきにくいことが特徴です。特に心配なのは、2012(平成24)年から中学校の保健体育で武道が必修になったため、きょうだいのいる家庭や家族に格闘技をしている人がいる場合は、家庭内で小さな子どもたちに感染が広まる可能性が高くなったということです。ですから、格闘技や武道を行ったあとは早めに体をきれいにし、また使用した衣類はこまめに洗濯するなどの注意を心掛けてください。

水虫を防ぐためには、体を清潔にすることが一番大切です。でも子どもの場合、自分だけでは体をきれいに洗えず、白癬菌を残してしまう可能性があります。ですから、保護者のかたや教育の現場で、日頃から正しいスキンケア法を教えてあげてください。きちんと清潔を保っていれば、水虫は決して怖くありませんよ。

『水虫を完全に治す本』『水虫を完全に治す本』
<マキノ出版/比留間政太郎(著)/1,365円=税込み>

プロフィール


比留間政太郎

東京医科歯科大学卒業。順天堂大学医学部附属練馬病院皮膚・アレルギー科教授を経て、現在日本医真菌学会理事長、お茶の水真菌アレルギー研究所・所長、比留間皮膚科耳鼻科医院・副院長。著書に『水虫を完全に治す本 』(ビタミン文庫/マキノ出版)などがある。

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