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総合監修:二瓶 健次 先生
各専門分野の先生の紹介
予防接種 ー 基礎知識・注意点
基礎知識/勧奨接種と任意接種
現在の予防接種は「義務ではないけれど、できるだけ受けましょう」という勧奨接種(定期接種に組込まれています)と「希望する人が受けてください」という任意接種に分かれており、任意接種の費用は自己負担です。任意接種の費用の一部を自治体で負担している地域もあるので確認してみましょう。
日本脳炎、麻疹(ましん)と風疹の混合ワクチンなど、ここ数年で接種の規定が変わっているものや、ロタウイルス、4種混合など、新たに接種が開始されたものもあります。よく確認し、不明な点は自治体や主治医にきちんと相談しておきましょう。また、特定の海外に行く場合に、特定のワクチンが必要なことがあります。
※予防接種について、最新情報は国や自治体の情報を注意しておきましょう。
ロタウイルスワクチンの接種について
2012年7月から、ロタウイルス1価と5価の2種類のワクチンが接種可能になりました。1価は1種類のウイルス株から作られたワクチン、5価は5つの株を含むワクチンです。生後2月(8週)〜14週6日までの初回接種が推奨されています。生後6週間から接種できますが、初回の接種を15週以降に受けることは、基本的に認められていません。
なお、1価は24週までに計2回、5価は32週までに計3回と、接種可能な期間が短いのが特徴。詳細は主治医に相談を。
※腸重積症との因果関係が明らかでないため、腸重積症の起こりにくい時期のみの接種とされています。
※なお、2回目以降の接種は生後14週6日の前後いずれでも接種できます。
ポリオ不活化ワクチンについて
これまではポリオワクチンは生ワクチンでしたが、2012年9月から不活化ワクチンになりました。2012年11月以降はDPTとの4種混合ワクチン(DPT-IPV)の接種になりました。なお、2024年4月からは四種混合ワクチンにヒブワクチンが混合された五種混合ワクチンが、「定期接種」として導入されました。2024年2月以降に生まれた赤ちゃんは、五種混合ワクチンが公費で接種できます。
新型コロナウイルスワクチンの接種 について
新型コロナウイルスワクチンは2024年4月以降、重症化予防を主目的に、定期接種の位置づけ変わりました。ただし、対象者は重症化リスクの高い65歳以上の高齢者と、60歳から64歳までの一定の基礎疾患ある人のみです。
定期接種の対象者外となる子どもは、任意接種としてワクチンを接種することができます。ワクチンの種類は当面、流行している株を基に毎年見直されます。
なお、新型コロナワクチンの接種費用を全額公費で負担する「特例臨時接種」は、24年3月末で終了しました。任意で接種する場合は自費となります。
日本小児科学会は6カ月以上の全ての小児に接種を推奨していますが、接種は強制ではなく、ご本人や保護者の判断に基づいて受けていただくことに変わりはありません。詳しくはかかりつけの小児科医院にお尋ねください。
注意点
1. 間隔(スケジュール)
接種するワクチンの種類(生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイド)によって、4週間または1週間の間隔を開けなければいけません。自治体が日時を決めて接種を行っているものは日程の調整ができないので、これに合わせてそのほかの接種予定を組んでいくといいでしょう。集団接種の有無は自治体によって違うので確認を。最近は、ワクチンの種類も回数も増えましたので、日本小児科学会で推奨するワクチン接種スケジュールを参考にすると良いでしょう。なおまだ先ですが、子宮頸がんのワクチンもありますので、時期が来ましたらかかりつけ医に相談の上、検討するとよいでしょう。
2. 回数
予防接種の中には、同じワクチンを2、3回、間隔を開けて繰り返し接種するものがあります。正しい効果を得るには規定の回数を受けましょう。
3. 副反応
ワクチンによっては、発熱や発疹、接種部位のはれなどの副反応が見られることがあります。ほとんどは心配のないものですが、熱が高かったり、なかなか反応が消えないときは受診しましょう。また、接種直後は強いアレルギー反応が表れることもあるので、30分くらいは接種会場や病院で待機するか、その近くにいるようにしましょう。
4. 接種前調査票
接種前の調査票は必ず記載(アレルギーの既往、前回接種の反応、基礎疾患の有無など)して提出して、接種前診察を受けてください。最終的には接種する医師の判断で接種します。
二瓶 健次 先生