【幼児英語教育の考え方・1】「体験」の中に英語を織り込んでいくことの大切さ
グローバル化が進み、英語を使って外国の人とコミュニケーションする機会は、今後ますます増えていくでしょう。お子さまに「使える英語を身につけてほしい」と願う保護者のかたは、どのように英語教育について考えていくべきなのでしょうか。
小中高等学校を中心に英語教育研究を行う、ベネッセ教育総合研究所 主任研究員(グローバル研究室)・加藤由美子氏にお話をうかがいました。
大原則は「英語を勉強する」のではなく、「英語で遊ぶ」こと
0歳から幼児の終わりまでの英語との関わりの大原則は「英語で遊ぶ」こと。便宜上「英語学習」という言葉は使いますが、学校段階での教科と同じような意味合いの「教育」・「学習」という言葉は使いません。「幼児の段階で学校段階のような教育や学習はできない」ということを、まず保護者のかたも理解していただきたいと思います。幼児の段階では遊びから切り離した「知育」を急いでも、いったん頭の中に入ったとしても力としては身につきにくいものです。なぜなら、幼児はすべて「体験」を通じて、いろいろなことができる力を自分のものにしていくからです。
子どもの体験は「遊びをメインとした何か」ではなく、「遊び」そのもの。遊ぶことが学びであり、体験から学ぶ。まさに、Learnであって、Studyではありません。LearnをPlayingの中で行うことが大切なんですね。英語を「勉強」にしてしまったら、やはり英語嫌いになってしまいかねません。
日本語メインであることが基本
0歳から2歳で特に注意すべきは、「母語」の発達を決して邪魔してはいけないということです。日本語でできないことを、英語で求めても仕方がありません。母語優先の生活を送っていく中で、どのように英語といい出会いができるかが重要です。目標は、将来英語を勉強するための素地をつくること。これは「バイリンガル教育」とはまったく別のものです。
「英語のリズム」という観点で、「胎児」の英語学習にも意味がある
胎児は基本的な英語学習はできず、科学的な「効果」も実証されていないのですが、「英語のリズムに触れること」は、その後の英語学習にいい影響を与える可能性があるということはできます。外から聞こえるさまざまな音の中に、「英語のリズム」が含まれることで、「英語のリズム」の感覚のようなものが残り、プラスの要素に働くのではないかということです。「リズム」を習得することは英語学習の基本であり、胎児、幼児に関わらず大切なことです。どんなに正しい発音であっても、英語本来の「リズム」が備わっていないと、コミュニケーションを円滑なものにすることはできません。
ただし、忘れてはならないのが、「英語を聞くこと」そのものがお母さまの「ストレス」になってはいけないということ。嫌いだけれど聞かなくちゃ...という状態では、まったく意味がないのです。リラックスして、お母さまも楽しめることが大前提。それさえ守れば、赤ちゃんがお腹にいる時からできることはあります。