「家庭科」「技術・家庭」は男女とも裁縫・料理が不得意な子どもが多い?

アンケート期間 2011/08/31~2011/09/1 回答者数:2,617人
アンケート対象:本サイトメンバー 小学生・中学生の子どもがいる保護者

※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある



今回は、実技4教科の中から「家庭科」「技術・家庭」についてお伺いしました! 包丁やノコギリなど、便利でも使い方に注意が必要なアイテムを多く使うこの教科を、保護者はどう捉えているでしょうか。小1から中3までのお子さまをお持ちの保護者を対象に、困っていること、子どもに働きかけていることなどをお聞きしています。


成績は「どちらとも言えない」が最多!

最初に、お子さまの「家庭科」または「技術・家庭」の成績について伺いました。また、「家庭科」または「技術・家庭」に関する習い事や部活動、クラブ活動の経験の有無についてもお聞きしています。

【図1 お子さまの「家庭科」または「技術・家庭」の成績はいかがですか?】

図1 お子さまの「家庭科」または「技術・家庭」の成績はいかがですか?

「子どもの『家庭科』または『技術・家庭』の成績は、よい」という保護者は、全体の約2割、「よくない」という保護者は、1割未満。最も多かったのは「よいともよくないとも、どちらとも言えない」という保護者で、5割近くを占めています。
「家庭科」または「技術・家庭」に関する習い事や部活動、クラブ活動の経験の有無については、9割以上の保護者が「子どもは経験がない」と答えています。実技4教科中、「経験あり」の割合が最も低くなりました。


学年に反比例して「とても好き」が減少!

では保護者から見て、お子さまは「家庭科」または「技術・家庭」の授業が好きでしょうか。

【図2 お子さまは、「家庭科」または「技術・家庭」の授業が好きですか?(学年別)】

※「家庭科」の授業が始まる「小5」以上のお子さまをお持ちの保護者のみ集計しています。

図2 お子さまは、「家庭科」または「技術・家庭」の授業が好きですか?(学年別)
「子どもは、『家庭科』または『技術・家庭』の授業がとても好きである」「まあ好きである」を合計した割合は、「小5」から「中3」まで一貫して高くなりました。「小5」「小6」で80%以上、中学生でも70%前後です。
「まあ好き」の割合はどの学年でもさほど変わりませんが、「とても好き」の割合はおおむね学年が上がるにつれて低くなりました。最も高い「小5」が約34%であるのに対し、最も低い「中2」では約7%と、5分の1近くになっています。そして、「とても好き」が減った分、「やや嫌い」「とても嫌い」の割合が増えていました。


「家庭科」「技術・家庭」の授業で、保護者が困っていることとは!?

次に、「家庭科」または「技術・家庭」の授業で保護者が困っていることがあるかどうかを伺いました。あった場合は、何に困っているかを具体的にお聞きしています。

【図3 「家庭科」または「技術・家庭」の教科・授業で困っていることはありますか?(学年別)】

※「家庭科」の授業が始まる「小5」以上のお子さまをお持ちの保護者のみ集計しています。

図3 「家庭科」または「技術・家庭」の教科・授業で困っていることはありますか?(学年別)

「子どもの『家庭科』または『技術・家庭』の授業で困っている」という保護者は、どの学年でも1割前後。小学生の保護者よりも中学生の保護者のほうが、割合が少し高くなっています。
続いて、保護者が困っていることを見ていきましょう。

◎「家庭科」に困っている
●縫い物の課題が期日までに仕上がりそうにありません(小5・女子の保護者)
●家事のお手伝いをすれば、「家庭科」の知識も実技も自然と身につくと思うのですが、子どもにお手伝いをする気がまったくなさそうなので困っています(小6・女子の保護者)
●とにかく「家庭科」の授業を嫌がります。包丁がうまく使えないからのようです。だったら練習すればよいのに……(中1・男子の保護者)
●娘はいわゆる先端恐怖症で、針をとても怖がります。だから裁縫なんてとてもできそうにありません(中1・女子の保護者)
●子どもはミシンがうまく使えず、夏休みに補習を受けました(中2・男子の保護者)
●うちの子は左利きなので、針や包丁の使い方を教えるのが大変です(中3・男子の保護者)

◎「技術」に困っている
●学習内容を娘に聞いて、「そんなに難しいことを習っているの!」と驚きました。求められる知識も専門的なので、娘はついていくのが大変なのだそうです(中1・女子の保護者)
●木工など普段はまったくしないことを教わるので、抵抗があるようです。いろいろ専門用語を覚える必要があるのも大変だと言っています。それから、木工室が臭いとこぼしています(中2・女子の保護者)
●不器用だから、ノコギリをうまく使えないようです。製作に時間ばかりかかって少しも進まず、苦労していると聞いています(中2・男子の保護者)

◎「技術・家庭」に困っている
●息子は「技術」が大好きで、「家庭科」が大嫌い。成績は両方を合わせて「技術・家庭」として評価されるので、つらいです。「技術」だけなら良かったのに……(中2・男子の保護者)
●「家庭科」はまあ得意だけれど、「技術」が好きになれないし苦手だと言っています。「技術」はペーパーテストの設問も「家庭科」より多いそうです(中2・女子の保護者)

目立ったのは、「子どもは手先が器用でないから困っている」という保護者です。一方、「火を怖がる」「とがったものを怖がる」といった声、「『技術』の専門用語が覚えにくい」といった声も聞かれました。


各家庭にこんな工夫あり!

最後に、「家庭科」または「技術・家庭」の教科のためにご家庭で心がけていることや、お子さまにすすめていることを伺いました。

☆「家庭科」または「技術・家庭」の教科のために、お宅で何か心がけていることや、お子さまにすすめていることがあれば教えてください。

●お料理をよく一緒につくったり、裁縫の仕方を教えたりしています(小5・男子の保護者)
●小さいころからときどき、お米をとぐのを手伝わせています。最近はおいしく炊きあげるためのとぎ方を心得たようです(小5・女子の保護者)
●料理と裁縫は自立した人間として必要な知識と技能だから、しっかり身につけるよう伝えています(小6・男子の保護者)
●わたしの趣味が手芸なので、材料や道具はそろっています。ところが、娘はほとんど興味を示しません。時間があるときに「一緒にしない?」と声はかけるのですが、たいてい断られます(中2・女子の保護者)
●新学期に学校へ持って行くぞうきんは、自分で縫わせるようにしています(中3・女子の保護者)
●料理やボタンつけなど、できることは自分でするように言っています(中3・男子の保護者)
●小学校低学年まで造形美術教室に通わせていました。ノコギリや電気ノコギリなどの使い方を覚えていたので、「技術」は割と得意なようです(中3・女子の保護者)
●本人が料理好きなので、調理実習の前日に、家庭で実習と同じ料理をつくってリハーサルをする。これが我が家の恒例です(中3・男子の保護者)


手先が器用になってほしい……。今回のアンケートで目立ったのは、そうした保護者の声でした。「裁縫が苦手」「ミシンが使えない」「ノコギリの使い方が危なっかしい」といった理由で、お子さまが「家庭科」「技術・家庭」の実技がうまくできないことを気にかける保護者がたくさんいらっしゃいます。
また保護者は、お子さまにさまざまな働きかけをしていました。「男の子と一緒に料理をするようにしている」「女の子を造形教室に通わせる」といった保護者も少なくありません。多くの保護者が、子どもの性別に関係なく、「家庭科」「技術・家庭」の知識やスキルを生活に必要なものと捉えているようです。


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