8割以上の保護者は叱りすぎてしまったことを後悔している!
アンケート期間 2011/05/25~2011/05/26 回答者数:2,621人
アンケート対象:本サイトメンバー 小1~中3の子どもがいる保護者
※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある
注意してもなかなか聞いてくれない、言い訳ばかりする……。お子さまのこうした言動に堪忍袋の緒を切らし、つい大声で叱ってしまう。そんな経験、ありませんか? そして怒ったあとに「あんな言い方するんじゃなかった……」と後悔した覚えのあるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回のテーマは、子どもとの接し方について後悔していること。現在のお子さまとの関係、後悔している内容と理由、後悔しないよう気を付けていることなどを伺っています。
子どもとの接し方、女子のほうが大変!?
最初に、保護者とお子さまとの関係について伺いました。
【図1 あなたと一番上のお子さまとの関係は次のどれに近いでしょうか?(学年別)】
【図2 あなたと一番上のお子さまとの関係は次のどれに近いでしょうか?(男女別)】
どの学年を見ても、「子どもとの関係はよい」という保護者が9割以上を占めました(図1参照)。
もっとも、「とてもよい」という保護者の割合は、学年によって変わっています。「就学前」と「小1」では5割近くに達していますが、「小2」では約3割に減少。「小3」で約4割に増えるものの、「小4」でふたたび約3割に減るといった具合です。そして「小6」以降になると、おおむね学年が上がるにつれて減っています。お子さまが思春期に入り、関係づくりが難しくなるのかもしれませんね。
またお子さまの性別に見てみると、「子どもとの関係はまったくよくない」という保護者の割合にはっきりした変化が表れました(図2参照)。男子の保護者が約3割であるのに対し、女子の保護者は6割以上と2倍にはね上がっています。男子より女子との接し方に難しさを感じる保護者が多いようです。
保護者の後悔は「感情的になりすぎた……」!
続いて、子どもに対する言動で後悔していることがあるかどうかを伺いました。また、「後悔している」という保護者には、その内容もお聞きしています。
【図3 あなたがお子さまに対してやってしまった言動で後悔していることはありますか?】
【図4 図3の内容はどのようなことですか。近いものをお選びください。(複数回答可)】
「子どもに対する言動で後悔していることがある」という保護者は、全体の8割以上に達しました(図3参照)。
保護者の後悔の内容を伺った図4を見ると、「言い方が良くなかった」「感情的になりすぎた」「叱りすぎた」がともに6割以上を占めています。
中でも最も後悔していることとしては、「感情的になりすぎた」を挙げる保護者が目立ちました。具体的には次のような声が寄せられています。
●子どもが同じことをしても、そのときのわたしの気分によって叱り方に差が出てしまいます。イライラしていると、感情的な言葉をぶつけてしまうことも。良くないことだと自覚してはいるのですが……
●カーッとなって、目の前のこととは直接関係のない過去のことにまでさかのぼって叱ってしまうこと。冷静になって自分を振り返ると、「あんなに感情的になるんじゃなかった」と思うことがあります
●一度、わたしの虫の居所が悪いときに、子どものささいな失敗に対して自分でも驚くほど声を荒らげてしまったことがあります。「あれはヒステリックだった」と反省しました
●とても厳しく叱ってしまったのですが、あとで冷静に振り返ってみると、「そこまで言わなくてもよかった」と思うことがあります。子どもを思うあまり、つい感情的になりすぎてしまうんです
●勉強をサボったり、塾の帰りに寄り道したり……。いくら叱っても同じことを繰り返す子どもを見て、「何度注意したらわかるのッ!!」と大声をあげてしまうことがあります。感情的になってはいけないとわかってはいるんですが、イライラしてつい怒鳴ってしまうんです
●わたしは、冷静に注意するのが「叱る」、腹を立ててとがめるのが「怒る」だと考えています。なるべく「叱る」ようにしているのですが、ついイライラしてよく「怒る」になってしまうことも
「もう少し言葉を選ぶべきだった」など、「叱り方」に関する声が多いものの、そればかりではありません。
「学校からの連絡事項について、子どもが連絡帳に間違ってメモしたと、わたしが思い込んだことがあります。我が子を疑ってしまったことは一生の後悔です」など、子どもを信頼しなくて後悔したことや、「朝、少し熱があった子どもを、『がんばろう』と言って学校へ行かせたこと。夜には熱が上がり、2~3日寝込む結果になってしまいました。共働きで急に休みがとれない事情があったとはいえ、親の責任を果たせていなかったと後悔しています」など、後悔の声はさまざま。
そのほか、「子どもはどんなことでも、『最後はお父さんやお母さんが何とかしてくれる』と考えている面があります。厳しく接してこなかったわたしたちの責任を感じます」と、「甘やかしすぎ」を後悔する声もありました。
後悔した直後に「自分の考えを子どもに説明」する保護者が4割近く!
では保護者は、後悔した直後、お子さまに対してどう接しているでしょうか。
【図5 あなたは図4の後悔の直後、お子さまに対してどう接しましたか?(複数回答可)】
最も多かったのは、「後悔していることについて、自分の考えやそのときの状況を子どもに説明した」という保護者。全体の4割近くを占めました。
そして、「後悔していることについて、子どもに口頭・メール・手紙で謝った」「ほかのことで優しくしたり、歩みよったりするなど、フォローした」という保護者もそれぞれ3割近くいます。
具体的には、次のような声が寄せられています。
●冷静さを取り戻してから「さっきは言いすぎてごめんね」と謝り、そのうえで、なぜ叱ったのかを説明しました
●子どもが大きくなってから、「あのときは感情的になりすぎたね。ママが悪かったわ」と謝りました
●その日、お風呂に一緒に入って話をすることが多いです。その際、わたしがなぜ怒ったかを説明し、言い方が良くないと思っていたら謝ることにしています
●わたしの気持ちが落ち着いてから、声を荒らげてしまったことを必ず謝るようにしています。そのあと、子どもと二人で話し合います
●わたしも子どもも気分が落ち着いてから、じっくり話し合います。わたしは冷静に叱った理由を話し、子どもの言い分にもしっかり耳を傾けるよう心がけています
●叱ったあとは、なるべくよい良ころを見つけてほめるようにしています
●「ちょっと厳しく叱りすぎて傷つけてしまったかな」と反省していたため、慰めるつもりで、お菓子を買ってあげたり、遊園地に連れて行ったりしました
●「お菓子食べる?」と声をかけ、フォローしました
●わたしは怒る係、パートナーはフォロー係と、夫婦で役割を分担しました
●「ママはお前のことが心配だから叱るんだぞ」と、主人から子どもに伝えてもらいました
一方、「後悔していても、特に何もしなかった」という保護者も2割以上と少なくありません。理由としては、「子どものことが心配だから叱るという気持ちに嘘はないため」という声が多く挙がりました。
では、こうした「後悔直後の保護者の言動」によってお子さまの態度や、保護者との関係に変化は見られるでしょうか。結果は、「変化はないと思う」が6割以上、「わからない」が約2割。「変化があったと思う」という保護者は、1割弱に過ぎませんでした。強く叱ったあとのフォローがあってもなくても関係があまり変わらないのは、もともと強い信頼関係を築いているからこそかもしれませんね。
ほとんどの保護者が「今後は後悔しないよう気を付けている」!
次に、お子さまとの接し方で後悔したことについて、保護者が今後は後悔しないよう気を付けているかどうかを伺いました。また、気を付けているとしたら具体的にどうしているかもお聞きしています。
【図6 あなたは後悔したことについて、今後しないように気を付けていますか?】
最も多かったのは、「今後は後悔しないよう気を付けている」という保護者。全体の8割以上に達しました。ほとんどの保護者が気を付けていることがわかります。具体的な行動としては、次のような声が寄せられています。
●怒りがエスカレートしないよう、叱っている最中に深呼吸をするようにしています
●わたしの体調が悪いときはあらかじめ、「今日、お母さんは具合が良くないからイライラしているかもしれない」と、子どもに伝えておきます。そして自分自身には、「今日は感情的になりやすいから気をつけろ」と言い聞かせるんです。どうしても子どもの言動が気になるときは、それ以上視界に入らないよう、わたしが別の部屋に移動します。子どもも大きくなって、目を離しても家の中で大ケガをする心配がなくなった今は、この方法がベストだと思っています
●とにかく感情的にならないよう気を付けています。まず、叱るときはなるべく短時間に、言うべきことを絞って伝えます。そして、子どもがすぐ言われた通りにせず、もたもたしている姿を見ると余計にイラッとして怒鳴りそうになるので、別の部屋に移動します。時間を空けて様子を見に行き、改まっていなかったらもう一度、冷静に注意するんです
●子どもには子どもの言い分があるでしょうから、それを極力聞くようにしています。わたしの考えを押しつけないよう心がけています
●頭ごなしに叱らないようにしています。まずは子どもの努力を認め、そのうえで「何が足りなかったのかな?」「もっとがんばるにはどうすればいいかな?」と考えさせるようにしています
●気を付けているのは、叱ったあとのわたしの言動です。「こうしなさい」と伝えるのではなく、「どうしたらいいと思う?」と子どもに考えさせるようにしています
●とにかく子どもを信じることを心がけています
●「もう半分くらいは大人なんだ」と考え、できる限り叱らないようにしています。子どもの自主性を大切にしつつ、でもしっかりと見守ることを心がけています
●「冷静でいよう」「叱りすぎないようにしよう」と考えています。それでも、ついカーッとなって言いすぎてしまい、反省して子どもに謝ることが多いです。かけ替えのない我が子だけに、どうしても気になってしまいます。わたしが大人になりきれていないのでしょうか……
後悔したときの相談相手はパートナー!
最後に、子育てや子どもとの接しかたについて後悔したとき、保護者は誰に相談したいかを伺いました。
【図7 「あなたが子育て、お子さまのことで後悔したとき、だれかに相談したり話したりしたいと思いますか?」という問いに「思う」と回答したかたに伺います。具体的にどんなかたに話をしたり、聞いたりしてみたいと思いますか?(複数回答可)】
子育てや子どもとの接しかたについて後悔したとき、「誰かに相談したり話したりしたいと思う」という保護者は、全体の8割近くに及びます。では、そうした保護者は、誰に相談相手になってほしいと思っているでしょうか。
結果は、「パートナー」が約7割とダントツ。「ともに子どもを育てている人に聞いてほしい」「どんなことでも話し合える相手」という気持ちが伝わってきますね。
「パートナー」以外では、「ママ友・パパ友」「自分の父親・母親」「親友」を挙げる保護者が目立ちます。
お子さまの将来に影響する接しかたやしつけにかかわる問題は、誰にでも相談できるわけではありません。「信頼できる」「悩みを共有できる」と感じた人を選んで相談する保護者が多いのではないでしょうか。
子どもに対する言動について、「後悔していることがある」という保護者は8割以上に上りました。その多くは、感情的になって叱りすぎたり、言いすぎたりしてしまっていました。子育てにはさまざまな局面があります。常に自分自身の感情を抑えることがいかに難しいかが、伝わってきますね。子どものことを思えばこそ、感情が高ぶってしまうということもありそうです。
そして、後悔している保護者と同じくらいの割合の保護者が、今後は後悔しないよう気を付けていました。「冷静になる」「客観的な意見を言う」ことに努める保護者が多く、その実現のために「叱っているときに深呼吸をしている」という保護者もいました。
子育ては、毎日が真剣勝負。お子さまとしっかり向き合うほど、意見がぶつかったり話し合いがヒートアップしたりすることもあるはずです。大切なのは、一人で悩んだり、問題を抱え込んだりしないことではないでしょうか。日頃からパートナーやママ友・パパ友といった信頼できる人たちとの意見交換を心がけたいものですね。もちろん、Webサイト上の掲示板、Benesse教育情報サイトの教育相談室も大いにお役に立てると思います。「しつけ・家庭のルール・くせ」の会議室で相談したり、「ちょっとやりすぎちゃった……」というときは、「わたしのザンゲ」で話を聞いてもらうことができます。