「学校選び」もう一つの視点 海外研修の成否はふだんの家庭生活にあり

■海外研修で成果を上げるのは充実した制度選びと普段からの生活

今後はいや応なく海外の人との接触が多くなるということから、これからのグローバル社会を見据え、早い時期から外国人に慣れさせておこうと、高校でも国際理解、国際交流、海外研修といったことに力を入れる学校が増えています。そこで、今回は高校の国際交流制度についてお話しましょう。


■高校も国際交流に熱心に

公立高校の場合はご家庭の経済的負担からどうしても行先、滞在期間に制限がありますが、私立高校では希望者対象の語学研修、ホームステイなど、かなりな海外経験を積むことができます。3か月の短期留学から1年の長期留学(外国での単位を認めて3年で卒業できるようにしている学校が増えています)まで、さまざまな留学制度を整えている学校もあります。その逆に海外から留学生を迎え入れ、生徒と交流させる取り組みを行う私立高校も出てきています。

保護者のかたも、我が子が高校時代に、我が国とは異なる環境に身を置くという経験をし、異なる文化的背景のもとで育った人と交流する機会を持たせて、英語力の向上とともに、物おじしない精神力を育てたい、そう考えて、海外研修制度が充実したところを選ぶことが多いと思います。


■効果は本人次第

もちろん学校にそうした制度が整っているかどうかは重要ですが、私はそれはあくまでも必要条件だと思うのです。たとえば、一人一家庭のホームステイという最も恵まれた環境であったとします。ところが、現実にはそれがホテル泊とほとんど変わらないというケースも見られます。どうしてでしょう。英語力の乏しさがもちろん大きいのですが、ふだんから自分の家族と会話をしていないため、ホームステイ先のファミリーから聞かれる日本のことを話せない、共通の話題にできそうな世界情勢に関心がない……そうしたことも要因として大きいのではないでしょうか。さらに言えば、ホストファミリーとのやりとりのきっかけとなる、芝刈りとは言いませんが、食事の手伝い、掃除の手伝い……といったことを家でやっていないから、自分から切り出せない。そうした面もあると思うのです。
海外研修で成果を上げたいと考えるなら、ご家庭での今の生活の仕方が重要なのです。家の用事もどんどんさせてください。そうしてこそ十分条件になるのだと思います。
また、こうした制度も学校によってまちまちです。ですから、語学研修先が有名大学であるからいいなどと単純に考えるのではなく、高い費用がかかるのですから、内容をしっかり確認して選んでいただきたいと思います。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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