「大学受験生の親」経験者が語る、高1、高2のときにやっておくといい4つのポイント

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受験シーズンが終わり、新しい学年へ移行すると「うちの子も受験に向けて何か始めたほうが……?」と気になりますよね。
高1、高2の時期は何をしておくといいのか、保護者にできることはあるのか。
本日は私・中原絵里子が、コーチとしてよりも、前職で長く大学受験情報に携わり、子どもの大学受験も経験した母の立場からお伝えしたいと思います。
少しでもイメージを持つことができたり、参考になることがあれば幸いです。

この記事のポイント

1.部活や行事は最後まで思い切り頑張る

忙しい部活だと週6で活動したり、朝練があったりして勉強する時間は取れないし、帰宅後は疲れてすぐに寝てしまう。
こんなことでは受験勉強に遅れを取ってしまうかもしれないからいっそ辞めさせたほうがいい? と思うかたもいるかもしれません。
周囲でもテストで保護者と約束した成績が取れなかったために部活を辞めさせた、といった話を耳にしたこともあります。

でも、高校生活は受験のためだけにあるわけじゃない、貴重な青春の3年間。最後まで全力でやりきることで得られるものや、思い切り楽しんだからこそ乗り越えられるものもあるはずだと思います。
実際に私はこれまで数え切れないほどの受験生や大学生の話を聞いてきましたが、難関大学に合格しているかたでハードな部活や高3の秋まで生徒会で行事の中心を担いながらも、勉強と両立させた人は非常に多い印象です。
そういうお子さんほど切り替えたあとにぐっと伸びています。
「最後まで思い切りやりきったのだから、このあとは受験勉強をがんばろう」と自然と切り替えられるくらい、完全燃焼できるように応援してあげたいものです。

ただ、指定校推薦を視野に入れている場合は、忙しい分テスト勉強を早めに始める、授業中はより集中して取り組むなどを高1から意識しておくといいですね。

2.自分とした約束を自分で守る習慣を

高1、高2の間は学習量よりも「習慣化」のほうが重要です。大切なのは、自分で「これだけはやる」と決めて、その約束を守ること。「やろう」と思ったことを「できた」の繰り返しで、自信が形成されていくからです
たとえば高1の娘はテスト期間に入ると、かなり早めに寝て「まだ夜では?」と思うくらい早い時間に起きて勉強しています。
自分で決めたルール通りに起きられるたび、「今日もちゃんと起きられた」と自分への信頼が高まっていっているのがわかります。

「寝る前に10個英単語を暗記」「英語の予習だけは絶対にする」など、約束の内容はどんなものでも構いません。
決めたことをやり続ける、その実績を重ねていくことが、受験生になって大きな山に挑む際の心の拠り所になるのだと思います。

お子さんがルールをまだ決められていないようであれば、自分との約束を決めるように促してあげる。そしてそれを守るためのサポートを保護者のかたができるといいですね。

3.自分に合った勉強法やスタイルを模索しておく

他に受験生になる前に取り組んでおきたいこととして、「自分に合うスタイルを見つける」ことがあります。

たとえば英単語帳は何が覚えやすいか、受験本番までに最低3周する問題集はどれにするか、わからない時は誰に聞いて解決するかなど、自分に合ったやり方をあれこれ試しながら探しておくとスムーズです。
なぜなら、「自分にとって使いやすいものややりやすい方法」は人によって違うので、自分で決めるしかないから。
いろいろなアドバイスを聞いてもそれが自分に合うかどうかの判断は自分でしかできないわけです。

長男も、両親のアドバイスは一切スルーして「数学の解説がわかりやすいのはこのYouTube」「物理は塾の映像講義を基礎の復習と定着のために使い、演習はこの問題集を3周する」など、目的に合わせて自分が一番使いやすいものを選んでいました。
高3になってから探し始めたり変えたりしていると時間のロスになることも。早めにスタイルを確立しておけると安心です。

ここで特に重要なのが「苦手科目との向き合い方」。自分の得意と苦手をきちんと把握し、受験科目に苦手がある場合は、逃げずにちゃんと向き合う癖をつけることがとても大事です。
何を使ってどんな風に取り組むことが一番効果的かを試行錯誤する、苦手への「向き合い力」が身に付いているかどうかは、高3になってから大きな差になってきます。
お子さんが苦手科目に取り組もうとしていたらしっかりほめてあげたいですね。
我が家では長男がとにかく英語が苦手で、高校入学後もずっと手を付けようとしていませんでした。
でもさすがに英語からは逃げ切れないと観念してやっと取り組み始め、夕飯前やお風呂上がりに単語を覚えている場面を見かけたら「おお、英語と向き合っていてエライ!」とちょっと大げさなくらいほめていました。

4.やりたいことを探し、自分の責任で選んで決める経験を

最後に一番重要なのが、「目標」と「目的」を明確にすること。ワクワクするような「目標」や、何をするためにその目標を目指すのかといった勉強の「目的」を決めると、それが受験勉強をがんばり続ける原動力になります。
大学や学部の情報を広く収集し、実際にオープンキャンパス等にも参加して、できるだけ広い選択肢の中から最終的に自分の責任で決めることが重要です。
それさえ決まっていれば、入試方式や併願先なども含めた受験戦略を立てるのは高3になってからで十分間に合います。

この時保護者として重要なのが、「資格さえ取っておけば就職先に困らない」などと前時代的なアドバイスをしてしまったり、「ここにしなさい」と保護者の意見を押しつけたりしないこと。
今はVUCA(Volatility:変動、Uncertainty:不確実、Complexity:複雑、Ambiguity:曖昧の頭文字)の時代と言われていて、変化が大きく先の見通しを持つことは難しくなっています。
国家資格でさえ、それを必要とする仕事がAIに代替されないとも限りません。

私は、だからこそ子ども自身が「(将来どんな仕事に生かせるかわからないけれど)大学でこの学問を学んでみたい」と自分で考えて意思決定することが大事なのだと思っています。
もしこの先環境変化があったとしても、「今この時点で一番学びたいこと」に基づいて自分で道を選んでいれば、後悔することなく状況に合わせて次の選択ができるはず。
お子さんが自分の責任で決める機会を保護者が奪わないように心がけたいものです。

たとえば我が家ではずっと建築に進みたいと言っていた長男が、調べていくうちに都市計画や都市環境を学びたいというので、それが学べる大学や学部はどこにあるか一緒に調べ、比較する観点だけアドバイスして最終的な志望大決定は任せました。
長女はまだ高1で「社会学って面白そう」「心理学にしようかな」と興味があちこちに飛んでいる様子なので、具体的にどんなことを学びたいのかイメージを聞きながら、制限することなくどんどん選択肢を広げるような声かけを心がけています。
本来進路を考えるのはワクワクすることのはず。
できるだけ自分の未来が楽しみになるよう、私も一緒にワクワクしながら話すようにしています。

まとめ & 実践 TIPS

今回は長く大学受験に携わってきた経験をもとに、高1、高2でやっておくといいことを4つお伝えしました。
今回の記事を読み返すと、「自分で」という言葉を何度も繰り返していることに気付きました。

大学受験に向けて親ができることは実はほとんどありません。
子どもが自分で選び、決めて実行していくものと心得て、見守ること。これは高1でも高3でも変わらないのだろうなと思います。
自分で選んだ道に進むために自分に一番合うやり方で、決めたことを実行する。それと充実した高校生活を両立させる。それをやり抜くことがVUCAの時代も生き抜ける力を育んでくれると信じています。

プロフィール


中原絵里子

トラストコーチングスクール認定コーチ。自分を信頼し、周りからも信頼されるためのコミュニケーションの技術を学ぶ講座「トラストコーチングスクール」を提供する傍ら、目標達成に向けて伴走するパーソナルコーチングセッションも行っている。ライター、編集者としても活動中。
https://erikonakahara.com/

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