「学校選び」もう一つの視点 「コース」を選ぶときの注意点[高校受験]

■名称だけで選ばず授業内容まで知ることが重要

学校説明会に足を運ぶ、学校案内を開く、ホームページにアクセスする、そうした時に1つの学校の中に複数のコースがある学校が多いことに気付かれたかと思います。年々こうした「コース制」を採用する学校が増えています。そこで今回は、「コース制」の状況と「コース制」を採用している学校を選択するときの注意点を取り上げましょう。

■「コース」名は難関大学合格の姿勢を強調したものに

コースを設置する目的は、大学合格実績が応募者数に影響するという状況の中、少しでも学力が高い層に受験してもらうためです。したがって、当然のことながら上位コースの入試は、「特待生選抜」を兼ねていたりします。学力の高い層(難関大学を目指している層)に受けてもらいたいということで、コースの名称は当初は特別に大学進学に向けて指導しますということで、「特進コース」という名称が普通でした。ところが、だんだん「東大クラス」「スーパープレミアムコース」「難関特進クラス」(いずれも来年度新設されるコースの名称)といったインパクトのある名称を付けるようになってきています。どうでしょう。保護者のかたも、単なる「特進コース」よりはこうした名称のほうが、我が子が難関大学に受かりそうな気がしませんか。
以前は上位コースでないコースには「総合コース」とか「普通コース」とか「進学コース」とか付けるケースが多かったのですが(今でも多数ありますが)、最近では易しいほうのコースでも「難関大学に受からせますよ」という姿勢を強調するような名称になっている傾向があります。

■合格しやすいコースのほうが受験者が多くなる

 高校受験では下記の例のように、易しいコースのほうが受験者数は多くなるのが普通です。

◆埼玉県のB高校の2014年度のケース(数字は受験者数)

 コース名  偏差値  男子  女子  合計
 特進文理系 66  75  96  171 
 選抜 62  322  417  739 
 進学 57  463  497  960 

 多くの都道府県で、高校受験は公立高校1校、私立高校1校を受けるのが一般的ですから、「確実に受かる学校」を選択することになるからです。
もっとも、上位コースに不合格でも、下位コースの合格最低点を上回っていれば下位コースの合格を得られる「スライド合格」という制度を採っている高校もあるので、そうした場合には上位コースに積極的にチャレンジしても問題はありません。

■新しいコースが続々誕生

「コース」といえば、これまではここに述べてきたような難関大学合格に向けて指導する「特進コース」的なものが主流でした。が、ここ1、2年、生徒がこれからのグローバル社会を生きていくことを考え、そのための能力・資質を育ててあげたいと考える学校が増えてきました。東京都の学校ですが、2015年度に新設される例を挙げてみましょう。


 ・佼成学園女子 スーパーグローバルクラス
 ・千代田女学園 グローバルリーダーコース
 ・文化学園大学杉並 ダブルディプロマコース
 ・文京学院大女子 グローバルスタディーズコース
 ・武蔵野女子学院 国際交流コース
 ・桜丘 クリエイテイブ・リーダーズクラス
 ・帝京 インターナショナルコース
 ・目白研心 スーパーイングリッシュコース


新たな「コース」をつくるということは、カリキュラムの検討はもちろん、どんな教材を使用するのか、それを指導する教員は現在の教員で可能なのかなど、簡単なことではありません。保護者としては、生徒募集のための単なる名称変更なのか、名称にふさわしいきちんとした中身になっているのか、見極めることが必要です。
「特進コース」的な「コース」についても、単に名称で選ぶのではなく、名称に負けない充実した授業内容なのかまで、調べることが大切です。また、ハードなカリキュラムの場合は、我が子がそうした授業についていけるのか、我が子の学力、性格といった点からも検討する必要があります。いずれにしても大切なのは、「名称ではなく中身」だと思ってください。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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