テレビのせいで宿題がはかどりません[教えて!親野先生]

【質問】

 

うちの子はテレビが大好きで、毎日何かしら見たいテレビ番組があって、宿題に集中できません。しかも、日によって見たい番組の時間帯が違うので宿題を始める時間を揃えることができません。それに、見たい番組を見てから眠いのをこらえて宿題をやるので、寝るのが11時過ぎになることもあります。(せんとくんママさん:小学5年生男子)


テレビのせいで宿題がはかどりません[教えて!親野先生]

親野先生からのアドバイス

せんとくんママさん、拝読いたしました。

テレビのせいで宿題がはかどらないという話は本当によく聞きます。ところが、テレビの見方について何らかのルールを決めている家は意外と少ないのです。ましてや、ルールを明文化して張り出すなど、守るための工夫をしている家は極めて少数です。
困る困ると言いながら、親が毎日思いついたことをガミガミ言うだけという付け焼き刃的な対応が多いのです。本当に問題を解決したいと思ったら、やはりルールを決めることが大切だと思います。

たとえば、次のようなルールが考えられます。
●1日または1週間の上限時間を決めておく
・テレビとゲームを合わせて1日○時間まで
・1週間に○時間まで
・土日は特別に○時間まで
・親も同じように上限時間をつくる

●計画的に見るためのルール
・週間テレビ番組表で見たいものにあらかじめ赤丸をつける
・見たい番組は録画してから見るようにする
・親も同じように計画的に見る

●テレビの消し方
・見たい番組が終わったら5秒以内に必ず消す
・勉強しながら、食事しながら、カバンの仕度をしながら、などの『ながら見』はしない
・親も同じようにこれを守る

●見るための条件
・宿題は夕食前に済ませる
・お手伝いが終わったら見る
・録画しておいて、宿題が終わったら見るという一種のニンジンにする

●ルールを守るための工夫
・ルールが守れたら○、守れなかったら×をつける
・親も同じようにチェック表をつける
・チケット方式にして、テレビを見るときはチケットと引き替えにする(※参照)
・ルールは毎週見直す

※チケット方式
たとえば1週間に14時間と決めたら、週のはじめに子どもに30分券を28枚渡す。
テレビを見るときはこの券と引き替えに見ることにする。
残り時間が目に見えるようになるので抑制が働くようになる。

以上、いくつか羅列しましたが、これらはあくまでも参考例に過ぎません。
我が家の、そして我が子の実情に合わせて、必要なことを決めることが大切なのです。

ところで、「うちはルールを決めているのに一向に守られない」という話もよく聞きます。こういう場合、親が一方的に無理なルールを押しつけていることが多いのです。実効性のあるルールにしていくためには、ルールを決めるプロセスが本当に大切なのです。でも、多くの親がこの点を理解していないように思います。
私は、ここに指導がうまくいかない第一の根本原因があると思います。
ルールを決めるプロセスに子ども自身が関わって、その結果子ども自身が「自分の意見も十分聞いてもらえた」「納得できるルールができた。よしこれからしっかり守るぞ」と思えるようにしていくことが大切です。
もちろんこれは理想ですが、少しでもこういう状態に近づける努力は絶対に必要です。
ルールを決めた時点で既に子どもが「こんなルール嫌だな。なんでこんなの守らなきゃならないの」と思っているとしたら、その後も自主的に守ろうとするはずがありません。守らせるためにまたガミガミ言うことになり、同じことの繰り返しになるだけです。
ですから、まずは子どもの言い分を共感的に聞いてあげ、そのうえで親の意見も伝えてください。そして、親子で十分話し合いながら、お互いが納得できるルールをつくるのです。この話し合いの過程が大切なのだということを理解してください。

また、子どもに自制を要求する以上は親も同程度の自制を約束することも必要です。子どもにはテレビの上限時間を設けておいて、親はいくらでも見放題というのでは理不尽です。
でも、多くの親がこの点も理解していないように思います。私は、ここに指導がうまくいかない第二の根本原因があると思います。
そして、つくったルールはホワイトボードなどに明文化して目に見えるようにしておくことも必要です。これがないと、いつの間にかいい加減になってしまいます。
それと、ルールというものは何でもそうですが、実際に始めてみると現実に合わない点が出てくるものです。そこをそのままいい加減にしておくと、すべてがいい加減になってしまいます。ですから、そういうところは再度話し合って見直し、改めて明文化していくことも大切です。

ところで、私は、先ほど指導がうまくいかない根本原因を二つ挙げました。
一つは、ルールを決めるプロセスが大切だということを理解していないということです。もう一つは、親も子どもと同程度の自制が必要だということを理解していないということです。
これについて少し付け加えます。
今回はテレビのことでしたが、これ以外にも、ゲーム・お手伝い・勉強・言葉遣い・生活習慣などいろいろな面で同じ問題があります。
これらの中の一つのことがうまくいっている家庭は、ほかのこともうまくいっていることが多いのです。なぜかというと、どの指導においても同じように根本原因の二つの点をクリアしているからです。
納得ずくでないルールを子どもだけに一方的に押しつけていると、どの指導もうまくいきません。どれもうまくいかない家庭は、そこにこそ原因があるのです(簡単な例を挙げれば、「勉強しなさい」と言う親に限って親自身が勉強も読書も知的作業もしていないことが多いのです)。
もちろん、親が異常なほどの厳罰主義で子どもが罰や恐怖によって支配されているというなら可能かもしれません。でも、これでは弊害が多すぎます。親への恐怖心は他者一般への恐怖心につながり、人間不信になります。また、無力な自分に対する不信感、つまり自己無力感を持つようになります。
人間の土台をつくるべき子ども時代に、このようなものを植え付けられて良いはずがありません。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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