遅刻に罪悪感がない娘をどうする?[うちの子、どう接したらいいの?]

今週の相談「遅刻に罪悪感がない娘をどうする?」


遅刻に罪悪感がない娘をどうする?[うちの子、どう接したらいいの?]

相談者

性別:女子
相談者:母
学年:中2


相談

中2の娘ですが、遅刻が目立つようになりました。朝、何度か起こされて起きてきて、髪を整えるのにモタモタし、ぼーっとテレビを見ているうちにいつの間にか時間が過ぎて、ギリギリに出ていきます。「急ぎなさい」「もう7時30分だよ」など、声はかけているのですが、生返事。遅刻しそうなのに走っていくでもなく、急ぐわけでもありません。遅刻したっていいや、という態度に腹が立ちます。「遅刻しちゃだめだと思わないの?」と聞いたら「だって、しかたがないじゃない、間に合わないんだもん」「がんばってるけど、無理」と言います。最近、元気がないですし、口数は少ないです。何かあるんだろうかとは思いますが、内申点も気になるので遅刻はさっさとやめさせたいです。どうしたらよいでしょう。


福谷先生のアドバイス

遅刻についての認識を変えるきっかけをつくる「進路検討」

遅刻しても平気……と思っているお子さんが許せないということですね。
中2女子のお子さんに対して最も効率的に理解してもらう方法としては「遅刻は当然いけないことで、もし遅刻したら自分の評価が減点されるのでマズイし、極力避けなくてはいけないことである」と遅刻を認知してもらえば良いわけです。
そうは言ってもいまのところ彼女(中2女子)の世界は狭く、通学している学校の同学年であったり、学級・クラスであったりです。その限られた世界での遅刻に対する概念しか彼女は持っていないのです。その限られた世界の中で遅刻は「まあまあ、マズイ……」などと考えているのです。特に仲の良い友達が遅刻の常習でしたら、「遅刻はマズイが皆で一緒に学校に入れば平気、平気……」となってしまいます。
そこで、提案ですが中2の夏から進路にむけて親子で進路先見学活動を始めてはいかがですか。

中2からの学校選びには大きなメリットがある

通常、進路活動は中3からと思っている子が今でも少なくありませんが、中2の人はお断りされる高校や合同学校説明会はあまりないでしょう。中2のうちに多くの学校を回り、中3になったら回る学校を絞ることで、体験入学や体験授業を多く経験することになります。

なぜ、中2からの進路活動をおすすめするかということですが、以下のような点が挙げられます。
 ・ 今のままの限られた世界ではなかなか出会えない「良い刺激」が体験できる
 ・ 進路活動中に出会う中2の同学年の子を見て自然に自分とその子を比べる体験ができる
 ・ 遅刻の概念だけでなく、制服の着方や現在の成績について他校生と自分を比べることができる
 ・ 今の自分に何が不足しているか見比べる対象があることで、場合により自己反省も起こる
 ・ 合同学校説明会などでは各学校の制服展示もあり、正論以外の理由で関心を持てる
 ・ 希望する学校に入学するには何を強化しなければいけないか、自分で発見できる
 ・ 入試の傾向を見て推薦入学等を検討するうえでも中2の勉強も大切と認識できる

いかがでしょうか。上記の経験を積むことにより「自ら」入試に向けて評価は上げないといけない、そして遅刻しないこともその評価につながっている……と自ら気付くことが大切です。

中2くらいになると男女共に、親の言うことに対して反抗的になるのが正常な発達ですので、一方的な親の意見や指示に従いません。「遅刻厳禁」もそのひとつです。
しかし、希望校に入学する手段として「遅刻」は自ら「マズイ」と考えれば、自主的に遅刻をしないように努力するはずです。

今の環境の中で「良い刺激」を子どもに与えることは決してマイナスにはなりません。


プロフィール



臨床心理士。臨床心理士コラボオフィス目黒理事 。二松學舎大学附属高等学校スクールカウンセラー。著書に『男の子の上手な育て方』。ご自身は、中学生のお父さま。

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