「Minecraftカップ2021 全国大会」大賞決定! マイクラコンテストで子どもたちが伸ばせる力
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大賞・建築賞受賞を受賞した熊谷武晴さんの作品「EREC -地球蘇生実験都市-」。
「車が空を飛んで、ロボットと友達になって……」子どものころに思い描いていた未来は、いくつ実現しましたか? Minecraft(マインクラフト、通称マイクラ)なら、そんなイメージを形にすることができます。
Minecraftカップ2021全国大会のテーマは「SDGs時代のみんなの家、未来のまち」。幼稚園児から高校生までの子どもたちが未来を考え、作品づくりに取り組みました。アイデアいっぱいの受賞作品と、子どもたちがコンテストに参加することで伸ばせる能力を紹介します。
2022年1月30日(日)にオンラインで開催された、Minecraftカップ2021全国大会の最終審査会・表彰式。積水ハウスのモデルハウス「小林さんち」をイメージしたトロフィー授与会場。
大賞は中学生! 宇宙からヒントを得て地球を蘇生
2020年度とは異なり、チームと個人のどちらでも参加できるコンテストとなったMinecraftカップ2021全国大会。3,087エントリーのうち、最終プレゼンテーションに進んだのは20作品。大賞・個人部門優秀賞・チーム部門優秀賞を受賞した作品を紹介します。
・大賞&建築賞
「EREC-地球蘇生実験都市」 熊谷武晴さん(山口県・中3)
熊谷武晴さんの作品「EREC -地球蘇生実験都市-」。大賞・建築賞受賞。
熊谷武晴さんがMinecraftを始めたのは小学4年生ごろ。中学では技術部に所属。
2度目の挑戦で大賞に輝いたのは、山口大学教育学部附属中学校3年生の熊谷武晴さん。個人での参加です。作品名の「EREC」はEarth Revival Examination City(地球蘇生実験都市)の略。地球再生のヒントは地球外にあるだろうとの考えから、宇宙博物館をもつ未来の都市です。オゾンホール増加問題は、オゾン散布超高高度航空機で解決します。圧倒的な世界観で強い印象を残し、審査員満場一致で大賞を受賞。建築賞とのW受賞となりました。
「命の墓」には人間や動物の魂が納められており、内部に入ることができる。
鈴木寛さん(東京大学・慶應義塾大学教授)「よく考えられた作品。調査力・構想力・技術力全ての点でびっくりしました!」
熊谷さんによるアイデアスケッチ。
髙﨑正治さん(建築家)「作品もコンセプトワークもとてもすばらしい。将来が楽しみ」
・チーム部門 優秀賞
「つなげるココロ ~人も動物も植物も笑顔のまち~」 CoderDojo Ishigaki(沖縄県・小3~中3)
CoderDojo Ishigakiの作品「つなげるココロ ~人も動物も植物も笑顔のまち~」。チーム部門 優秀賞受賞。
Minecraftカップ常連である強豪チーム、CoderDojo Ishigaki。今回の作品は自然そのものをつくることにチャレンジしました。毎月1回SDGsオンラインセミナーを開催し、石垣島を中心とした企業、ネイチャーガイドさんたちへの取材も実施。Minecraftカップ2020全国大会の大賞受賞者、浦添昴さんのプレゼンテーションも会場を盛り上げました。
赤堀侃司さん(東京工業大学名誉教授)「クオリティーが高いチーム。インタビューに基づいた内容の深さにも感銘」
・個人部門 優秀賞&三菱地所賞
「~みどりあふれるふくしとクリーンエネルギーのまち~ふクリンシティ」 はやぶささん(大阪府・小1)
はやぶささんの作品「~みどりあふれるふくしとクリーンエネルギーのまち~ふクリンシティ」。個人部門 優秀賞・三菱地所賞受賞。
福祉とクリーンエネルギーをくっつけたキャラクター「ふクリン」がシンボル。クリーンエネルギーセンターからワープできる6つのクリーン発電施設があり、モンスターもお店で働けます。「いつか本当にこんな街をつくれればいいなと思います」とはやぶささん。
榑林康治さん(三菱地所)「街づくりの楽しさを思い出させてもらいました」
若宮正子さん(アプリ開発者)「知識だけではなく知恵が大事だと気付けるのがすごい」
Minecraftカップ2021全国大会、参加者が得られた力は
遊びや宿題の時間を調整しながら、数か月にわたり教育版Minecraftでの作品づくりに取り組んだ参加者たち。どんな経験や力を身に付けることができたのでしょうか。受賞した作品の一部とともに検証します。
・プログラミングスキル、プログラミング的思考
Minecraftでは、装置を動かすしくみであるレッドストーン回路やMicrosoft MakeCode for Minecraft(命令文がつくれるソフトウェア、通称メイクコード)などを使って、建築を効率化したりしくみを実現したりすることができます。プログラミングについて熟達している必要はなく、Minecraftカップへの参加をきっかけに、初めてプログラミングに挑戦した参加者も多くいます。
佐伯優樹さん(小4・神奈川県)の作品「トイレをつかったTNT発電」。コーディング賞を受賞。
レッドストーン回路を使ったTNT発電システムにより、自然豊かな場所でも住民が発電しながら暮らすことができる未来の家。「江戸時代の便による火薬づくりを調べました。たぶん相当臭かったと思います」と佐伯さん。
タツナミ シュウイチさん(マイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE))「みんなが大好きなTNTで発電をする、今まで見たことがないアイデア」
Coding Lab Japan(7~14歳・東京都ほか)の作品「New CodeTropolis」。クリエイティブ賞を受賞。
Microsoft MakeCode for Minecraft、Python(パイソン)、レッドストーン回路を使用してソーラーファームやチューブ状の線路をつくり上げた19名のプログラマーチーム。イギリス、オーストラリア、日本をMicrosoft Teamsで結び、毎週チームミーティングを行いました。高いアート性とプログラミングスキルに、Kazuさんも興味津々。
Kazuさん(動画クリエイター)「Good job! 日本人は《楽をしない》ところがありますよね。マンパワーで建設しがちなぼくらをプログラミングで助けてください」
・リサーチ力
今回のテーマに合わせ、参加者たちはSDGsやサステナブルな建築について調査。計画を立てるためにはまずリサーチが必要なこと、リサーチする対象の信頼性も大切なことなどを学ぶことができました。
SDGsクラフト Kids(年長と小2・千葉県)の作品「みんながしあわせに暮らせる家とまち~過去・空中道路でいきものたちを傷つけずに暮らす~」。アイデア賞を受賞。
フィンランドのゴミゼロレストランやインドネシアのゴミ銀行など調べたものを取り入れ、鳥や生き物たちと暮らせる街をつくった幼なじみ4人のチーム。「マイクラの中でお金をなくす」などのアイデアはふせんを使って整理しました。
小宮山利恵子さん(スタディサプリ教育AI研究所所長)「大人が思いつかないような発想!」
吉川岳人さん(小4・静岡県)の作品「歴史が溶け合うSDGsの街~過去・現在・未来の交差点~」。農林中央金庫賞を受賞
掛川市森林組合や積水ハウス展示場を訪れて、森の循環やバリアフリーについて学んだ吉川さんは、過去や伝統についても調査。「やることリスト」をつくることで、最初に想像した「科学と自然が共生する世界」をつくることができました。
爲井清文さん(農林中央金庫)「アヒルのふんの活用など、循環型農業についてよく考えられています」
・自信
アイデアから計画を練り、作品を完成させるのは大変な仕事です。協働作業をしたり、スケジュールを考えたりしながら完走した経験は、受賞したかどうかにかかわらず参加者たちの自信になったことでしょう。
チーム逸般人(12~15歳・東京都とマレーシア)の作品「私たちが考えた理想の街」。インプレスこどもとIT賞を受賞。
ヒートアイランド現象を防ぐため、地下の「世界一クールな」道路をつくった、マレーシアと東京に住む4人のチーム。「チーム名・逸般人の《逸》は逸脱の意味。私たちは学校に行きづらい、でこぼこのある子どもたちです。そのメンバーで思っていた以上の作品を完成させることができました。Minecraftのおかげです」(チーム逸般人・そうまめさん)。
佐々木勇治さん(インプレス)「ハーフブロックの使い方や高低差のある街並みなど、すぐにマーケットプレイスでポチッとできるクオリティー」
まとめ & 実践 TIPS
Minecraftのスキルだけでなく動画編集やプレゼンテーション力など、子どもたちの多くの可能性が感じられたMinecraftカップ2021全国大会。個人参加とチーム参加が混合だったこともあり、「一人でじっくり世界を構築」「チームで役割分担しブラッシュアップ」など、向き合い方がさまざまなところも興味深い大会となりました。
友達同士でも一人でも、初心者でも楽しめる。そんな自由なところもMinecraftの魅力です。Minecraftカップでは無料で教育版Minecraftを使うことができます。みなさんも作品づくりにチャレンジしてみてください。
執筆/樋口かおる
Minecraftカップ全国大会
https://minecraftcup.com/
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