親である私を飛びこえて子どもを叱る同居の祖母【後編】[教えて!親野先生]
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いろいろな折に触れて、水を向けてみるといいでしょう。
実の父母なら「私を育てている時どうだった? 私が子どものころどうだった?」、義父母なら「○○さん(だんなさん)を育てている時どうだった? ○○さんが子どものころどうだった?」と聞けばいいのです。
こういう話は、おじいちゃん・おばあちゃんが最も話したい内容です。
そこにはかなりの思い入れがありますし、プライドもあります。
人によっては、後悔や反省の言葉が出てくるかもしれません。
いずれにしても、受容的共感的に聞いてあげるといいでしょう。
その中には、人生観や教育観や教育方針が自(おの)ずと出てくるはずです。
また、その人の「やむを得ない歴史と事情」も出てくるかもしれません。
そうすれば、おじいちゃん・おばあちゃんへの理解も深まり、許し受け入れることもできやすくなります。
また、何よりも大事なのは、話を受容的共感的に聞いてくれる相手に対しては、信頼感が育ってくるという点です。
もちろん、何の話でも、聞いてくれる人には信頼感が持てるようになります。
しかも、この場合は子育てに関する話を聞いてくれるのですからなおさらです。
この場合、自分が最も思い入れのある子育てに関する話を、お母さん(嫁や娘)がしっかり聞いてくれるのです。
すると、おじいちゃん・おばあちゃんは、お母さん(嫁や娘)に対してかなりの信頼感を持ってくれるようになるのです。
「この人はわかってくれているから大丈夫だ」という気持ちになれるのです。
たとえ「この人はまだまだ子どもに甘すぎる。もっと厳しくしなければならないのに」という気持ちがあったとしても、それを表に出して言うことは少なくなるはずです。
そして、実際に子どもを叱(しか)ることも少なくなるはずです。
その反対に、「この人は全然わかっていない」という気持ちになってしまったら、今まで以上にそれが言葉や態度に出てきてしまいます。
そして、時には、こちらからも腹を割って相談したり愚痴を聞いてもらったりするのもいいでしょう。
子育てのことでもいいですし、それとはまったく無関係な仕事や友人関係のことでもいいでしょう。
これは、心理学でいう自己開示というものです。
自分の心の中にある悩みやちょっとした秘密を打ち明けることで、二人の間の親密度を上げることができるのです。
打ち明けられたほうは、自分は信頼されている、頼られていると感じることができます。
そして、心を許してくれた相手には自分も心を許すようになります。
悩みや秘密を打ち明けてくれた相手には、自分も悩みや秘密を打ち明けるようになります。
こういうことで、だんだんいい関係ができていくのです。
とにかく、私は、北風よりも太陽だと思います。
自分が太陽になったつもりでやれるといいと思います。
「それではストレスが溜まる」という人は、いろいろ自分に合ったやり方でストレス解消に努めてください。
自分のストレスをうまく解消することは、自分のためにも、子どもやおじいちゃん・おばあちゃんのためにも大事です。
でも、私の経験だと、太陽のやり方のほうがストレスが溜まらないと思います。
太陽のやり方をしばらく続けていると、いろいろなことがプラスに回転し始めるからです。
つまり、しばらくやっていると、プラスの循環が始まるのです。
その「しばらく」の間を乗り切ることが大事です。
その反対に、北風のやり方だと悪循環が始まります。
そして、よけいにストレスが溜まることになります。
このようにしていけば、だんだん変わっていくと思います。
それと、言い忘れていましたが、おばあちゃんががみがみタイプでも、一番肝心なお父さんやお母さんが子どものありのままの姿や気持ちに寄り添った子育てをしていれば、まず大丈夫だということも言っておきたいと思います。
「かえってスパイスが効いていいかも」くらいに考えていればいいと思います。
最後に、がみがみ言う人には私の本やメルマガを読んでもらうという方法もあります。
本当に大変だとは思いますが、ぜひこのような太陽のやり方でやってみてください。
そのほうが絶対いいと思います。
これからもお互いに長いお付き合いをするわけですからね。
これをいい機会としてとらえ、望ましい人間関係に持っていけるようにがんばってみてください。
私も陰ながら応援しています。
私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
がんばるママちゃんさん親子とおばあちゃんに幸多かれとお祈り申し上げます。
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