親である私を飛びこえて子どもを叱る同居の祖母【前編】[教えて!親野先生]

 

小学3年生の女の子を持つ母です。私の実母と同居しているのですが、いつも子どものしつけが甘すぎると指摘されます。母は子どもに対して、「テレビを見ながらの食事はだめ」「テレビのアニメを1時間も見るのは長過ぎる」「勉強は毎日30分以上しなさい」「けじめがなく行動が遅い」など、いつもがみがみ怒っています。(がんばるママちゃん さん)

 

【親野先生のアドバイス】

がんばるママちゃんさん、拝読いたしました。

親として日々子どもと接していくなかで、同居の年長者からそのやり方についていろいろ指摘されるのはつらいものがありますね。
今回の場合は実母ということですが、義父母との関係で困っている方々も大勢いらっしゃいます。
また、今回の場合は、年長者のほうががみがみ怒っているということですが、その反対に年長者つまり実の父母や義父母が甘すぎるということで困っている方々も大勢いらっしゃいます。

いろいろな場合がありますが、いずれにしても、同居の年長者と教育方針が違うという点では同じ悩みとも言えます。
同居の年長者と教育方針が違うというのは、本当にやりにくいものだと思います。

それに、他のことなら我慢できても大切な子どもの育て方については譲れないという意識も働きます。
そして、この意識が双方にあるので、ますますやっかいです。
それまでは、まあ何とかやれていたのに、子どものことが原因でお互いが気まずくなるということもよくあることです。

おじいちゃん・おばあちゃんの孫に対する思い入れには、大抵の場合かなり強いものがあります。
「孫は子どもよりかわいい」と言われるくらい、おじいちゃん・おばあちゃんにとって孫は特別な存在なのです。
ですから、教育方針でいろいろ言いたい気持ちも当然といえば当然です。
でも、それはわかっていても、親としては頭にくることや心配になることも多いわけです。

さて、そこでどうするか、が問題です。
あまりがみがみがひどい場合は、スポーツ少年団・児童クラブ・習い事などでおばあちゃんとの接触時間を減らすという方法もあります。

また、休日などには親子だけで過ごす時間を増やすというのもいいかもしれません。
でも、あまり露骨にやると、おじいちゃん・おばあちゃんは良い気持ちがしませんが。

さらに、次のような選択肢もあります。
つまり、大きく分けて「1.同居を続ける」「2.別居する」の二つの選択肢です。
やるべき事を尽くして、それでもうまくいかない時は、別居するという選択肢もあっていいと思います。
または、ずっとではなく一時的に別居ということもあり得ます。

でも、ここに至るまでにやれることはたくさんあるはずです。
それに、同居にはそれなりに得難い利点もあります。
経済的負担の軽減、家事の軽減、子どもをみてもらえるので共働きがしやすい、子どもが熱を出した時もみてもらえる、親子だけで関係が煮詰まることが避けられる、多様な方向から子どもに働きかけることができる、子どもも多様な価値観に接することができる、などなどです。

というわけで、できるだけのことをしていくことが大切だと思います。
まずは、当然考えられるものとしては、大人同士の冷静な話し合いがあります。
子育てに関するお互いの考えを出し合い、話し合い、妥協点を見つけていくということです。

これについては、面倒くさいとか、どうせわかってもらえないとか、よけいもめるから避けたい、などという気持ちもあるかもしれません。
でも、やってみたら意外と良かったということになる可能性もあるのです。
たとえば、意外と腹を割って話し合えたとか、相手の気持ちがわかるようになったとか、納得はしていないけれど許せるようにはなったなどはあり得るのです。

大切なのはやり方です。
何か具体的なことでやり方が対立したとして、その時その場で言い合うというやり方だとうまくいきません。
なぜかというと、お互い感情的になってしまうからです。

何か決め事ややるべきことが特にない時にやるほうがいいのです。
しかも、お天気が良くて気分の良い日などがいいでしょう。
お茶やお菓子を楽しみながらやるのもいいでしょう。

まず、最初は、相手をほめたり日頃のお礼を言ったりして、良い雰囲気を作ります。
これは、絶対に必要です。
そのあとで、「実は、子どもの勉強時間のことでご相談したいことがあるのですが……」などと切り出すのです。
または、もっと気楽な感じで言うこともできます。
とにかく、下手に出ることが大切です。
何と言っても相手は年長者なのですから。

そして、相手の考えを聞く時は、受容的共感的に聞くことが大事です。
「はい」「そうですよね」「本当にそうですね」「なるほど……」などという感じです。
相手の考えを受け入れて共感的に聞くこと、これは本当に大事です。
それをしないで、いきなり相手を否定してしまっては、絶対にうまくいきません。

受容的共感的に聞いて、そのあとで自分の考えを言います。
でも、決して感情的にならず、和やかに穏やかに冷静に、です。

その後、意見のやり取りがあるかもしれません。
そこでもまた受容的共感的に聞き、なおかつ自分の考えも上手に伝えます。
つまり、「イエス、イエス…バット」です。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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