親である私を飛びこえて子どもを叱る同居の祖母【後編】[教えて!親野先生]

 

小学3年生の女の子を持つ母です。私の実母と同居しているのですが、いつも子どものしつけが甘すぎると指摘されます。母は子どもに対しても、「テレビを見ながらの食事はだめ」「テレビのアニメを1時間も見るのは長過ぎる」「勉強は毎日30分以上しなさい」「けじめがなく行動が遅い」など、いつもがみがみ怒っています。(がんばるママちゃん さん)

 

【親野先生のアドバイス】

前回に引き続き、がんばるママちゃんさんへのアドバイスです。

このご相談の場合、おばあちゃんは「いつもがみがみ怒っています」とのことです。
私の経験だと、こういう人は自分の気持ちが満たされていないのだと思います。
自分が育ってきた過程において、そして、その後、今現在、いずれかの時点で、またはそのすべてにおいて、自分の気持ちが満たされていないのです。

その満たされない部分が形を変えて一種の攻撃的な言動になって出てくるのです。
いつもがみがみ怒っているというのは、本人は自覚していなくても、攻撃以外の何物でもないのです。
それは、「しつけ」とか「教育」という飾り付けになっていますが、実は自分のうちに溜(た)まっている不満なのです。

でも、このことを相手に直接言って非難してはいけませんよ。
そんなことはしないと思いますが、念のために言っておきます。
私がこう書いたのはそれを相手に言ってほしいということではなくて、そこからいい方法が考えられるからです。

つまり、その満たされない部分を満たしてやることで、相手は自然に変わってくるということです。
ぜひ、おばあちゃんに温かく接するようにしてみてください。
一言で言えば、「北風と太陽」の太陽のようにするのです。

まず、いろいろなことで、おばあちゃんに「ありがとう」と言うようにしてみましょう。

時には、「助かります」「頼りになります」などもいいですね。
「ありがとう」の代わりに「すみません」と言う人がよくいますが、「すみません」より「ありがとう」のほうが言われるほうはうれしいと思います。
こういう言葉をかけてもらえば、誰でも気持ちが満たされうれしい気持ちになります。

そして、この他にもおじいちゃん・おばあちゃんをたくさんほめるといいでしょう。
何でもいいのです。
人は、何歳になっても、ほめられると気持ちが満たされてうれしい気持ちになるものです。

それに、おじいちゃん・おばあちゃんは意外とほめられる機会が少ないということもあります。

もちろん、子どもやだんなさんにも協力してもらいます。
子どもからも「ありがとう」や「おばあちゃん、すごいね」などの言葉が出るようになると、とてもいいと思います。
口で言いにくい場合は、手紙もいいでしょう。
手紙といってもそれほど改まったものでなく、よく子どもが書くミニ手紙のようなものでもいいのです。
特に、各学期や一年の終わりなどの節目は、「いつもありがとう」という感謝の気持ちを伝えるのにちょうどいい機会です。

こういう感謝の言葉や温かい言葉をたくさん浴びると、誰でも気持ちが満たされます。


写真を活用する方法もあります。
これは、私がいつも子どもを伸ばすための方法として言っているものですが、おじいちゃん・おばあちゃんを「伸ばす」のにも使えます。

孫と仲良く写っている写真、お母さん(嫁や娘)と仲良く写っている写真、家族みんなで仲良く写っている写真、仕事をがんばっている写真、趣味に没頭している写真、書道で入選した時の写真など、いろいろ考えられます。

これらの写真は、おじいちゃん・おばあちゃんの心に働きかけます。
孫、お母さん、家族などと仲良く写っている写真を毎日見ていると、自分たちは仲のいい家族なんだ、自分もその中の一員なんだ、かわいい孫もいる、生まれた時本当にうれしかったな、などという気持ちがわいてきます。
また、仕事や趣味の写真を見ていると、自分もがんばって生きているという満足感がわいてきます。
いろいろな面で、写真には心を満たしてくれる効果があるのです。

次に、おじいちゃん・おばあちゃんの仕事や趣味を応援してあげるのもいい方法です。
応援してあげると言ってもなかなか難しいかもしれませんが、要するに、そちらにエネルギーを注げるようにしてやることです。
書道が趣味なら、作品をほめたり書道展のチラシをもらってきてあげたりなども応援です。
そちらにエネルギーを注いでいれば、それ自体が楽しい時間になって、気持ちが満たされます。
そして、子どもにがみがみ言う時間も減ります。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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