負けず嫌いで何にでも優劣をつけたがる娘[教えて!親野先生]

今週の相談

 

小学1年の娘についての相談です。保育園のころから非常に負けず嫌いで、何でも人と比べて優劣をつけたがります。何でも一番になりたいという気持ちが大きいようです。5年生と3年生の兄がおり、日常生活でも「負けたくない」思いから何でもよくがんばる子です。先日、クラスでじゃんけんゲームをしたところ「勝負事は嫌いだから」という理由で参加を拒否したそうです。先生に促されて参加したものの、やはり負けたくなかったのか、ずるをしてトラブルになったようです。少し度が過ぎるようで心配です。家庭では、兄妹で比較して優劣をつけるような言動はしていないつもりです。(あやははさん)

 

【親野先生のアドバイス】

あやははさん、拝読いたしました。

大丈夫です。
そんなに心配することはありません。
小さいときは、よくあることなのです。
私もこのような子を何人も受け持ちました。

子どもが小さいときは、もともともっている気質がストレートに出るものです。
たとえば、一日に何度も「言いつけ」に来る子がいますが、それはまじめで正義感が強いという気質がストレートに出たものなのです。
ご相談のケースのように、非常に「負けず嫌い」の子もいますが、それは向上心が強いという気質がストレートに出たものなのです。

でも、日々のいろいろな経験を重ねるなかで、子どもたちはだんだん学んでいきます。
言いつけの多かった子も、小さいことで言いつけしても仕方がないとか、言いつけすると友達はいい気持ちがしないなどと、だんだんわかっていきます。

同じように、負けず嫌いの子もだんだん学んでいきます。
何でもかんでも勝てるわけではない、ずるをして勝っても良いことはない、結果だけがすべてではなくて過程も大事だ、勝ってあまり喜び過ぎると負けた人が良い気がしない……
このようなことが、だんだんわかっていきます。

この子の場合、5年生と3年生のお兄さんが目の前にいるので、持ち前の向上心に火がついているのでしょう。
そして、この燃え上がる向上心により、学校でも友達に負けたくないという気持ちでいっぱいなのだと思います。

今のこの子にとって、「負けたくない。勝ちたい」という気持ちは、「がんばりたい」という気持ちと切り離せないものです。
ですから、勝ち負けにこだわる気持ちを全否定してしまうと、この子の向上心そのものを否定してしまうことになりかねません。

ですから、まず、この子のがんばりをほめてやることが大事です。
結果が良いときは、結果とがんばった過程の両方をほめてやってください。
結果が良くないときは、がんばった過程をほめてやってください。
この子のがんばる気持ちを、受け入れて大切にしてやるといいと思います。

また、負けず嫌いの子は他の子と比べた言い方をすることがあると思います。
たとえば、「お兄ちゃんよりテストの点が良かった」とか、「クラスの○○ちゃんよりピアノが上手になった」などという言い方です。
これは、大人としては気になる言い方です。

でも、そういうとき、すぐに「お兄ちゃんもがんばってるんだから、そういう言い方はしないで」とか「○○ちゃんもがんばってるんだから、いばっちゃだめよ」などと言わないほうがいいのです。
まず、その子のうれしい気持ちを受容して共感してやることが大切です。
「テストがんばったね。おめでとう」とか「ピアノがんばって練習していたもんね。おめでとう」などと、一緒に喜んでやってください。
ただし、親が「お兄ちゃんより良い点で、おめでとう」とか、「○○ちゃんより上手になってよかったね」などという言い方をしてはいけません。

そして、一緒に喜んでやったあとで、次のように言ってやってください。
「今度お兄ちゃんが良い点取ったときに、「おめでとう」って言ってあげようね」
「○○ちゃんもがんばっているんだね。二人ともどんどん上手になってほしいな」
「○○ちゃんに、『私のほうが上手だね』って言ったら、○○ちゃんはどう思うかな?」

このときは、親に一緒になって喜んでもらったあとなので、気持ちが満たされています。

ですから、素直に親の話を聞くことができます。
また、素直に他の子も応援したいという気持ちになることもできます。

この順番が、本当に大事です。
まず、受容と共感があって、そのあとで指導という順番です。
受容と共感がないところで、いきなり指導をしようとしても絶対にうまくいきません。

これは、あらゆる人間関係の基本です。
いつも、この順番を心に留めておいてください。
相手の言動に条件反射的に反応する前に、これを思い浮かべてください。
「まず受容」これを、意識の最前列においてください。

ときには、勝ちたいあまりにルール違反をすることもあることでしょう。
じゃんけんのずるなども、その一つです。
そのときは、「そういうことはいけません」と教えてやればいいのです。
物事の是非について教えてやればいいのです。

決して、「ずるい子だね」というような、その子の人格を否定するような言い方をしてはいけません。
一度で直らない場合も、繰り返し物事の是非について教えてやってください。
たとえ何十回やったとしても、決して人格を否定するような言い方をしてはいけないのです。

「家庭では、兄妹で比較して優劣をつけるような言動はしていないつもり」とのことで、とても大事なことだと思います。
ぜひ、それを続けてください。

親がやるべきことをやって、やってはいけないことをやらないでいれば、それでいいのです。
そして、しばらく待つことです。
子どもは日々学んで成長しています。
大丈夫、この子の未来には、やる気と向上心に溢れた前向きな人生が待っています。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
あやははさん親子に幸多かれとお祈り申し上げます。

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A