子どもが納得する「家庭のルールの違い」の伝え方
- 育児・子育て
遊んでもよい時間が違う、急に家に泊まってもいいか尋ねられるなど「うちでは、それはダメなんだけど」と思う場面や、お子さまが友達の家のルールを知って「いいなあ」と言ってきた時、皆さんはどうしていますか?
家庭のルールの違いを説明しきれない、友達にどこまで求めてよいか迷うなど、戸惑う場面は意外とありますよね。今回は、相手の家庭のルールを尊重しつつ、こちらのルールもきちんと伝える工夫を教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。
違って当然、違いは良いことと教える
家庭には、さまざまなルールがあります。たとえばゲームひとつとっても、遊べる時間、通信してもよいか、してもよいゲームなどが家庭の考え方で変わります。
子どもは、自分よりもゆるやかなルールに引かれやすく、「どうしてうちはダメなの?」と言ってくることも多いでしょう。
相手の家庭の考え方はわからないので、伝えられるのは我が家の考え方です。
ただ、その前提として、異なるルールを否定しないということが大切。「多様性」という言葉をよく耳にしますが、家庭のルールもこのひとつで、お互いのルールを尊重することで、子どもの社会性も育つのです。
子どもから「〇〇さんの家では、こうなんだって」と言われたら、まずは「そうなんだ。そういうおうちもあるんだね」と受け止めます。
決して「それは変だよね」などと、よその家のルールや価値観を否定するのはやめましょう。そのうえで、たとえば門限なら「外が暗くなると危なくてお母さんが心配になるから」「うちは夕ごはんが●時からだから」など、約束を決める理由を説明してあげるといいですね。
わかりやすく伝えれば、子ども自身で友達に理由を説明することもできます。
他の家のルールについて、子どもが「おどろいちゃった」「いいなあ」などの感想を口にした場合も、否定するのではなく共感したり肯定したりしましょう。また、内容によっては「うちでもそうしてみる?」と試してみると新しい発見があるかもしれません。
ルールは大事! 自分の家のルールも伝える
相手の家庭にいる時は受け入れてもいいルール、それでも守ってほしい我が家のルールの線引きも、具体的に伝えておくと子どもが守りやすくなります。
我が家に来た友達に守ってほしいルールも合わせて考え、それをホワイトボードなどに書いておくのがおすすめです。たとえば
・冷蔵庫は勝手に開けないでね
・遊んでいいと言われた部屋以外は絶対に入らないよ
・遊びが終わったら片付けてから帰ろう
・お水が飲みたい時はおうちの人に声をかけてね
などと書き、子どもが遊びに行く時に確認させてから送り出すと安心です。
また、我が家に来た友達が見てもわかりやすいですね。先回りできることは先に伝え、それ以外は子どもが直面した時に一緒に考えて。成長に合わせてルールを変えていってもいいでしょう。
親どうしの関係性をつくる
親どうしがお互いの家庭のルールを理解し合っていることも大切です。
家庭の様子がわからないとどうしても警戒心がわくので、守りに入って相手のルールを受け入れにくくなったりマイナスな印象を持ちやすくなったりします。
顔を合わせる機会があったら「よくお泊まりに誘ってもらっているのに、行かせられなくてごめんなさい」などと伝えておくといいですよ。
会話のきっかけとして「うちの子、食べ物の好き嫌いが多くて…」「引っ込み思案で心配なんです」などと悩みを相談するのも、心を開きやすくなるコミュニケーションの方法です。
子どもが「〇〇ちゃんは、いいなあ」とうらやましがる時も、相手の家庭との方針の違いなどがわかっていると「〇〇さんのおうちはこうだけど、うちはこうだからね」と説明がしやすいでしょう。
ただし、まずは「そうか、それはいいよね」と子どもに共感して受け止めることも忘れずに。
そして「じゃあ、うちはあそこに遊びに行こうか」「あのレストランは無理だけど、次の日曜日は外食にしよう」など、実現可能な楽しみを考えてみてください。
自分にとっての楽しみができれば、子どもは案外すぐに気持ちを切り替えて忘れてしまうことも多いのです。
まとめ & 実践 TIPS
お互いの文化や考えを尊重しながら生活していくことでコミュニケーションがスムーズになり、社会が生きやすい場所になります。友達との違いは、そうした多様性を理解するきっかけになります。
子どもの素直な気持ちを受け止めながら、家庭ごとのルールを理解し合い、ゆずれるところはゆずり、折り合いをつけていく姿を伝えてあげてくださいね。
<親野智可能等先生の書籍紹介>
『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社 2023/7/10発行)
親野 智可等 (著), ぴよとと なつき (イラスト)
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