機嫌が悪い思春期の我が子 どう接すればうまくいく?

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小さなことでもいちいち反抗的な態度をとる、自分で気付くべきなのに「どうして言ってくれなかったの!?」と親のせいにするなど、子どもの機嫌の悪さに困惑する場面では、親はどのように対応するべきなのでしょう。教育評論家の親野智可等先生にお聞きしました。

この記事のポイント

わけもなく不機嫌で不愉快な時期

ちょっと声をかけただけなのに機嫌が悪くなる。励ましたつもりなのに反発してくる……。一度機嫌が悪くなるとなかなか立て直せずイライラし続けることも。そんな様子が繰り返されると、親もどうかかわったらいいのかわからなくなってきます。

荒っぽい言葉や態度に親も気が立って、雰囲気が悪くなったり言い合いになったりしてしまいがち。穏やかに話せるように配慮したり、努めて機嫌よく言葉をかけたりと工夫はしていても、なかなかうまくいきません。

でも、こうした姿は思春期には珍しくないもの。思春期は成長の過程でホルモンバランスが変化し、心身ともに落ち着かない状態。自我の確立という人生の一大テーマに取り組んでいる時でもあり、苦労はあるものの、順調に成長していることの証ともいえます。

また、小学校の高学年以降は、みんなが思春期に入っていくため学校での友人関係や自己評価など、何かとストレスが多い時期でもあります。こうした心の揺れには個人差があり、本人もコントロールできない部分です。

家庭では、子どもにはわけもなく不機嫌で不愉快な時期があると理解して受けとめてあげてください。ぶつからず、時には流して子どもが自分自身で思春期を乗り越えていけるようにサポートしていきましょう。

不満なのではなく満足が足りていない

思春期の不安定な時期も、子どもがなるべく落ち着いて過ごせたり、親子のコミュニケーションを円滑にしたりするためにできること。それは、子どもが満足できる時間を十分につくってあげることです。

丁寧に話しかけるとかタイミングをうかがうなどということも大事ですが、それはある意味で表面的なことでもあります。その前に、土台となる部分に目を向けましょう。たとえば、子どもが何に不満なのか、ではなく十分に満足できているかを考えることが大切です。

自分がやりたいことを思う存分する時間がしっかりとれているかを見てあげてください。子どもは、本人も気付かないうちに、塾に部活にとやることが増えてキャパシティオーバーになっている場合があります。

親の価値観を優先させていないか、やらせることばかりになっていないかも振り返りましょう。少し詰め込みすぎて自由な時間が足りないなと感じたら「忙しそうだから塾に行く回数を減らしてみる?」「勉強ばかりでも疲れちゃうよ」と声をかけてみてください。

やることの量を調整する時も、押し付けにならないように気を付けて話し合い、子どもの意見を尊重しましょう。満足できる時間が確保されればポジティブでいられるし、自分の大変な状況を親が共感的に理解してくれていることがわかれば、親に当たることも減るはずです。

満足できる時間の中で意欲や問題解決力が育つ

あまり好きにさせるのも心配だというかたもいるかもしれません。
でも、自由な時間をつくることは放任とは違います。好きなことに没頭できる時間を確保したうえで、子どものしていることを気にかけ、必要ならサポートやアドバイスをしてください。

たとえばスマホに代表されるネット空間は有益な部分もありますが、うその情報や怪しいサイトなどもあるので心配にもなります。
スマホの使い方について親子で共感的かつ民主的な対話を続けることが大事です。
その中で、親として心配になることや気を付けてほしいことなども伝えましょう。使用時間の管理についても話し合いましょう。

好きなことができていれば子どもは聞く耳を持つようになります。
反対に、やらされることばかりだと感じている場合は、親の話が一方的な制限や指示に聞こえてしまい、衝突も生まれやすくなります。
特に勉強を話題にすると反発する子どもは多いので、「勉強の時間がなくなる」「勉強にならない」などと引き合いに出さないようにしたほうがいいですね。
成績のことなども、あまり口を出さず様子を見る姿勢も大切でしょう。

そもそも親が思うほど勉強をする子どもは少ないのです。
それよりも興味や関心を持てることの中で多くを学んでいきます。
意欲的に、自分から思考して、知識や経験を高めていきます。子どもがやりたいと思えることを大切に、満足な時間を過ごせることを一緒に喜んで、思春期の子どもを支えていきましょう。

まとめ & 実践 TIPS

子どもには、わけもなく心が揺れて不機嫌になる時期があります。
楽しい、心地よいと感じられる時間が必要なので、自由な時間が十分とれるようにしましょう。興味、関心のあることに向かう時間は、子どもの知識や経験を高めます。それを応援することで親子の信頼関係も深まります。

プロフィール


親野智可等
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・『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』(ダイヤモンド社)
・『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)


長年の教師経験をもとに勉強法・家庭教育・親子関係などについて具体的に提案。
Instagram、Threads、X、YouTube「親力チャンネル」、Blog「親力講座」、メルマガなどで発信中。ドラゴン桜の指南役としても著名。最新刊『子育て365日』などベストセラー多数。全国各地の教育講演会でも大人気。詳細は「親力」で検索

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