「友達から悪口を言われて、つらい」子どもがうちあけてきた時、どうすればいい?
お子さまから「友達に悪口を言われた」と打ち明けられたら、大切な存在が傷つけられて思わず感情的になったり、まるで自分を否定されたような悲しい気持ちになったりするかもしれません。
このような時、保護者としてどう振る舞えばいいのか。トラストコーチングスクール認定コーチであり、3人の子どもの母でもある中原絵里子が一緒に考えてみたいと思います。
この記事のポイント
必要以上に自己否定しない、させない
お子さまが悪口を言われたと聞くと、保護者のかたはまるで自分の子育てを否定されたようで、必要以上に感情的になってしまうかもしれません。また、お子さまもその言葉を丸ごと受け止めてしまって、深く傷ついているかも。
必要以上に自己否定してしまうことがないよう、お子さまのいいところをちゃんとわかっていることをしっかり伝えてあげてください。
お子さまの気持ちを聞く
「悪口を言われた」という前後の状況も含めて、お子さまはどう受け止めていて、今どんな気持ちでいるのか聞いてみましょう。
我が家の場合は、次男が小学校高学年のころ、友達と一緒にオンラインゲームをしているとき、エキサイトして互いにかなり強い言葉で言い合いになることがあり、ハラハラしていました。
友達が帰ったあと、「あんなふうに言われて、どう感じているの?」と聞いてみたところ、「別に、何とも思っていない。お互いさまだし、あれぐらいで怒ったり落ち込んだりする相手じゃないとわかってるから言ってる」とのこと。
相手の保護者にさりげなく聞いてみても、やはり同じような反応とのことだったので、これは口出ししなくてよいと判断。ただ、次男には「冗談のつもりでも、どれだけ仲良くても、越えてはいけないラインがあるから、気を付けて」と注意喚起しました。
同じ言葉でも、相手との関係性や言われた状況によって「悔しい」「これは気にしない」など、お子さまの受け止め方も変わるはず。事情に加えてそれをお子さまはどう感じているのか、途中でさえぎることなく最後まで話を聞いてあげてください。
相手の受け止め方が「正解」とは限らないことを伝える
前後も含めた状況やお子さまの気持ちを聞いたうえで、言われた「悪口」をどう受け取るか、お子さまと話してみましょう。
基本的にものの受け止め方は人それぞれで、何が「正解」とはいえません。たとえばお子さまが「あいつ、足遅いよな」と悪口を言われたとしたら、言った友達にとっては「足が速い=カッコいい」という価値観があるのでしょう。
体調が悪くて大掃除に参加できなかったことを「サボった、ずるい」と言われたとしたら、その子にとっては「人にずるいと思われることはしてはならない」という価値観があるのかも。
でも、それが「正解」なわけではなく、それぞれの価値観というフィルターを通した、一つのものの見方にすぎません。「そういうふうに感じる人もいるんだね、なんでそんなふうに言ったんだろうね」と相手の背景に想像を働かせ、「それに対してあなたはどう思う?」と聞いたうえで、相手と同じ価値観である必要はないと伝えてあげましょう。
相手との関係をこれからどうしたいかを考えさせる
人の数だけ価値観があり、自分と同じ価値観の人としか付き合わないのはもったいないもの。とはいえ、自分を攻撃したり否定したりしてくる相手と無理に仲良くする必要もありません。今後、お子さまが相手とどういう関係性を築きたいのかによって、対処法は変わってきます。
悪口を言った相手とこれからも仲良くしたいのか、なるべく傷つけられないように距離を取りたいのかなど、お子さまの気持ちを聞いたうえで、基本的には当事者同士で解決できるように見守りましょう。
一方、複数人で繰り返し言う、「やめて」と何度言ってもやめてくれないなど、いじめに発展しかねない状況であれば、先生に相談するなど、保護者のかたが解決のために動いたほうがいい場合もあります。お子さまはどうしたいか、どうしてほしいと思っているのか、話し合ってください。
気持ちを切り替えるサポートをする
悪口を言われたら、お子さまも大なり小なり傷つき、落ち込んでいるはず。いったん言われたことから離れて、気分転換できるようにサポートしてあげるといいですね。たとえば好きなアニメを一緒に見る、好きなお菓子を一緒に買いに行く、散歩に出かけるなど、ちょっと気持ちを他に向けられるような機会をつくってあげるのもオススメです。
そうやって、つらいことがあっても自分なりの受け止め方で乗り越えていくことで、レジリエンス(回復力)を身に付けられ、成長の機会になることでしょう。
まとめ & 実践 TIPS
まだ発達段階の途中だからこそ、自分が認められたくてつい悪口を言ってしまったり、言葉足らずで悪気なく言ったことだったりする場合もあります。一方で言われたほうは深く傷ついてしまったり、学校に行けないほど真剣に悩んでしまったりなど、深刻な場合も。
「気にしない、気にしない!」と軽く受け流してあげるほうがいいのか、つらい気持ちを受け止めつつ前を向けるようにフォローするほうがいいのかなど、慎重に判断する必要があります。
また、自分が言われて嫌だった言葉は、誰かを傷つける可能性があり、自分も使わないよう気を付ける必要があると伝えることも大切です。
大人になっていくにつれて、誰かに言われた心ない言葉を自分なりに消化し、そういう相手との適切な距離感を見極めてうまく関わっていく必要が出てきます。これから先、お子さまが自分自身を守れるよう、コミュニケーショントラブルのうまい流し方を身に付ける機会にすることができればいいですね。